トランプ次期大統領は選挙運動中に労働者の雇用を大幅に拡大すると何度も言ってました。
そして企業への課税も所得税も非常に小さくすると言明していました。海外へのアメリカ企業の流失を防止し、アメリカ国内の会社の利潤を守ると言っていました。
しかしアメリカ人の貧富の差を縮小するとは一切言いませんでした。アメリカ人同士の経済格差を減少するなどという事には一度も言及したことがありません。個人の所得格差を正確に反映している「ジニ係数」などという言葉を取り上げたことは皆無でした。
アメリカの労働階級は自分達の雇用には強い関心がありますが、「個人の所得格差の統計」には無関心なのです。成功した会社の経営者が莫大な給料を貰うのは当然だと思っているのです。
これと対称的に日本では個人の所得格差が拡大する一方だと騒いでいます。すくなくとも所得格差が拡大することを非難する人が多いようです。
今日はトランプ大統領でアメリカの貧富の差が益々拡大するという予測を書いてみます。
その前に各国の個人の所得格差を正確に反映した「ジニ係数」を簡明に示した図面を見てみましょう。この棒グラフの棒の長い国ほど個人の所得格差が大きいのです。貧富の差が大きいのです。
尚、ジニ係数とはどのようにして計算するかは「ジニ係数」を検索すると明快な説明が幾つも出てきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/a9/f868d0fbb0d17e03e0de1895d837ad7c.jpg)
1番目の写真の図面の出典は、http://tmaita77.blogspot.jp/2012/05/blog-post_08.html です。
ジニ係数の大きな国、従って所得格差の大きさから先進国だけを見ると大まかに3つのグループになります。
(1)アメリカ、シンガポール、香港、イギリス、ノルウエイなどの所得格差の大きな国々
(2)ドイツ、韓国、日本、デンマーク、ベルギーなどの所得格差の中ぐらいな国々
(3)スウェーデン、スイス、フランス、フィンランドなどの所得格差の少ない国々
このように分かれる原因は複雑ですが、非常に大雑把に言えば弱肉強食的な自由な資本主義の国ほどジニ係数が大きくなっています。
一方、スウェーデン、スイス、フランス、フィンランドなどの所得格差の少ないのは社会主義的な考えの影響で所得に大きな累進課税を実行している国です。そこでは個人の所得はなるべく平等であることが良いと信じられているのです。尚、シンガポールや香港の貧富の差が大きいのは長い間のイギリスによる統治の影響もあるかも知れません。
さてトランプ大統領の政策はアメリカ企業の隆盛と拡大によって労働者階級の雇用数を増大するという明確な方針です。
これが推し進められるとアメリカの労働者の所得は他の発展途上国の労働者よりも高くなるでしょう。例えば中国に発注していた服装品をアメリカ国内で作れば中国に失業者が増えます。結果として中国の労働者の所得が下がります。
アメリカの労働者の所得が増えますが、一方会社経営者の所得もますます巨大になります。アメリカの富裕階級の所得も拡大するのです。
その結果、ジニ係数が何処まで増加するかは誰にも予測は困難です。しかしアメリカのジニ係数が現在よりも減少するとは考えられないのです。アメリカの最近の歴史を見ると富める者はますます富んで来たのです。
そうした結果としてアメリカ全体の経済力が進展すると考えられます。
トランプ氏の思想はアメリカの富める者をますます富める者にし、その結果、労働者階級の所得を底上げして他国を引き離すというもののようです。それを別の言葉で言えば「アメリカはアメリカのことだけを考える」という表現になります。
我々日本人は所得格差が大きいことは悪だと信じ過ぎているのかも知れません。もしアメリカ人が所得格差が大きいことは善だと信じていたとしたらその社会は日本の社会とは随分と違うのではないでしょうか。
今日のこの問題提起にいろいろな視点からコメントを頂けたら嬉しく思います。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)