後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

北海道からのエゾシカ肉と連載記事、「狩猟の趣味の深さ」

2017年10月21日 | 日記・エッセイ・コラム
インターネットを通して知り合った三重県の『でいしゅうさん』は若い時から狩猟の趣味を持っています。毎年、10月になると北海道の中標津や別海町のある道東地域に滞在してエゾシカ猟をしています。
昨日、エゾシカのロースやモモ肉を今年も沢山送ってくれました。早速、ロースの一片を直火で焼いて食べたら鹿肉の風味が実に美味しいのです。その野生の味から北海道の大自然を思い出しました。
子供や孫達や近所の人に新鮮な鹿肉を贈りました。
この『でいしゅうさん』に昨年お願いして「狩猟の趣味の深さ」という連載記事を7回に渡って書いて頂いたのです。
その連載記事をもう一度読んでみました。
狩猟の趣味は猟銃を使うので一般には近づきがたい趣味です。多くの人はその内容をご存知ありません。
そこで今日は狩猟の趣味とはどのような趣味なのかご説明したいと思います。
そしてその後で、でいしゅうさんが書いた7回の連載記事を紹介したいと思います。

まずご理解頂きたいことは、鳥猟と、エゾシカ猟と、イノシシ猟とは全く違うということです。
鳥猟では良く訓練した小型の猟犬一匹だけを連れ、独りで静かに、静かに山を歩き雉やコジュケイやヤマシギなどを猟銃でとるのです。
この孤独な趣味の面白さは猟犬を愛し、根気よく訓練する過程にあります。
そしていよいよ山に分け入った時には、人間と猟犬と鳥との間の抜き差し無い緊張感が漂うのです。
猟犬が藪に飛び込む。鳥が飛び立つ。その一瞬にバーンと銃声がこだまします。それだけで全て終わりです。
鳥猟は孤独です。静かです。しかし奥の深い趣味です。
驚くべきことに猟犬にとってはウズラも雉も遊びであって、食物でないという事実です。
そこが大切です。褒めたり、ビスケットはやりますが、猟犬の生涯では一度も肉は食べません。

1番目の写真はでいしゅうさんが鳥猟に使っていたココという名の猟犬の写真です。2014年に老衰で死にました。そのことをでいしゅうさんは次のように書いています。
・・・「 ココには小綬鶏、ヤマシギ、ウズラも獲らせてもらいました。
そのココは沢山の楽しい思い出を作ってくれて、13年間の生涯を終えたのです。
思い出すと可哀想です。そしていろいろな動物に囲まれている釈迦の涅槃図を思い出します。ココのそばには私しかいませんでした。それは2014年のある夏の日でした。
ココの墓は美しい自然石で作りました。」・・・

2番目の写真はでいしゅうさんが鳥猟に使っていた水平二連銃の写真です。一発だけで仕留めていたそうです。

さて次に本州でのイノシシ猟をご紹介します。
イノシシ猟は騒々しいい猟です。数人の勢子と犬たちが山裾からイノシシを追い上げて来ます。山上の獣道の脇に隠れた撃ち手が身じろぎもしないで根気よく待っています。
イノシシが獣道を駆けあがって来て、近くまで来ても撃ちません。10m以内に来た時、落ち着いて静かに引き金を引きます。ドンと低い銃声一発で大きなイノシシが転がります。
これがイノシシ猟です。
この猟では勢子たちと撃ち手の人間的な信頼関係が猟の成果を決めるのです。
でいしゅうさんは孤独な鳥猟を十年以上してから、イノシシ撃ちを始めました。
小さな鳥を狙うでいしゅうさんの猟銃の腕を信頼している勢子たちが、彼が待っている位置にイノシシを追い上げるのです。

3番目の写真は仕留めたイノシシを担いで山を下りようとしている勢子たちの写真です。

三番目に道東の中標津町や別海町での蝦夷鹿猟の内容をご紹介します。
この鹿猟では現地に短期間ながら住み着いて農家や牧場の人々と仲良くなることが一番重要なのです。人間的な信頼関係が出来るとエゾシカの出る場所と時間帯を教えてくれるのです。禁猟区と猟区の境界を正確に教えてくれます。そして自分の畑や牧草地に彼が4輪駆動自動車を乗り入れて、猟銃を発砲することを許してくれるのです。
厳寒の猟期に畑の端や牧場の端に林の中から出てくる大きな雄のエゾシカを射程の長い猟銃で仕留めるのです。
何日も吹雪の農道や林道を4輪駆動車で一人で走り回ります。角が3段にもなった大きな雄のエゾシカだけを選んで撃つのです。
静まり返った白樺林に一発の銃声が木霊します。
・・・「憎しみの微塵もなくて鹿を撃つ」 泥舟・・・
これがエゾシカ猟です。
撃ったエゾシカの血が畑や牧草地を汚したら、でいしゅうさんはスコップで叮嚀に土をかけ綺麗にしてから立ち去ります。
そして鹿は現地の仲間の家の隣のに運び丁寧にロースやモモ肉を取り出すのです。
でいしゅうさんは撃った鹿やイノシシは全て食べます。友人へ贈って食べて貰います。これが死んだ動物に対する供養だと信じているのです。

4番目の写真は北海道の禁猟区で悠々と草を食べているエゾシカの姿です。

5番目の写真はでいしゅうさんがエゾシカを撃っている道東の疎林の風景です。

あまり長くなるのでこれでお終いにします。
最後に「狩猟の趣味の深さ」と題した7回の連載記事の題目と掲載月日を示します。

でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(1)品性の良い犬の訓練」
2016年10月04日 
でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(2)猟犬への深い愛が狩猟の決め手」
2016年10月05日
でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(3)山間部集落の獣害とイノシシ猟」
2016年10月06日 
でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(4)猟銃の種類と狩猟文化」
2016年10月08日 
でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(5)勢子と撃手の緊迫した連携」
2016年10月09日 
でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(6)猪と鴨を美味しく食べるこだわりの料理法」
2016年10月10日 
でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(7)正しい狩猟文化への諸問題」
2016年10月16日

ご興味のある題目の記事をお読み頂けたら嬉しく思います。
 
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたしす。後藤和弘(藤山杜人)