後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

三隻の空母体制の中国、国際関係波高し!

2019年12月18日 | 日記・エッセイ・コラム
中国で初めてとなる国産の空母「山東」が12月17日、就役しました。
これで2012年にウクライナから輸入して就役している空母「遼寧」と合わせて2隻の空母になりました。
3隻目の空母は目下上海で建造中です。それが完成すれば中国海軍は三隻の空母体制になるのです。
日本を取りまく国際情勢はますます波が高くなっているのです。

1番目の写真は遼寧省大連にある造船所を離れる、中国初の国産空母「山東」です。写真はIMAGINECHINA提供です。(2019年11月14日撮影)
空母、「山東」は排水量が6万トン級の通常動力型で、「遼寧」に比べて甲板の面積を拡張して、より多くの艦載機を積載する能力を持ちます。
中国は「世界一流の海軍の構築」を掲げ、将来的に少なくとも4隻の空母の保有を計画しているとみられています。
また大手の国有企業は去年、初の原子力空母の開発を進める計画も明らかにしています。
中国は中東やアフリカなど中国から離れた遠洋での権益の確保と影響力の拡大をねらっているのです。

そこで今日は軍備拡大を支える中国の経済成長と中国の一帯一路政策を考えてみます。
最近の中国のGDPはアメリカに迫り、2025年には追い抜くとも言われています。
中国は南沙諸島に軍事基地を作り、航空母艦を太平洋に巡航させてアメリカ海軍に対抗しています。
日本は日米安保条約に従って自衛隊の軍備増強をせざるを得ない状況になりました。
アメリカと中国の対立、抗争が激しくなるこの情勢で日本の立場は厳しいものになりつつあります。
日本が真剣に考えるべき問題の中心は中国の経済成長と中国の一帯一路政策です。
中国のGDPは世界2位に急上昇し2025年に世界一位になりアメリカを抜いてトップの座につこうとしているのです。

2番目の写真は世界の主要国のGDPの1980年から2021年の推移を示す図面です。
この図の出典は,各国のGDP、http://www.garbagenews.net/archives/1335765.html です。
図を見ると中国のGDPの増加は驚異的で、2025年には間違いなくアメリカを抜いて世界一になる勢いです。
従来、アメリカのGDPを抜いた国は皆無だったのです。これは破天荒なことです。
日本はアメリカと安保同盟を結び、軍事的にはアメリカ依存が続きますが、経済分野では日本はアメリカから離れ中国に依存する運命にあるのです。
そして経済情勢に影響を与えるのが中国の一帯一路政策です。この政策は世界に中国の巨大な経済圏を作る可能性があるのです。

3番目の写真は世界全体のGDPに占める各国の2017年の比率です。出典は1番目の写真と同じです。
中国の15.5%と日本の6.4%とインドの3.1%とを加算すると25、0%になります。この数字はアメリカの24、4%よりも多いのです。
この中国、日本、インドの合計の25%に韓国と台湾のGDP加えればアメリカのGDPを遥かに抜いてしまうのです。さらにインドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ミャンマー、バングラデシュなどのDGPを加えれば中国の一帯一路経済圏は既に巨大な経済圏なのです。
米国内ではキャタピラー社などといった米国企業、カリフォルニア州などが独自に一帯一路構想への参加を表明しています。
中国は共産党独裁の国だから付き合いは止そうという考えは現実的でありません。国際経済はイデオロギーや宗教とは関係無くダイナミックに動いて行くものです。
一帯一路の一帯とは陸路でつなぐ経済圏で一路とは海路でつなぐ経済圏です。

4番目の写真は中国が進めている巨大経済圏の地図です。青い色の国は一帯だけでつなぐ国で、褐色の色は一路でもつなぐ国です。
この図面の出典は、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E5%B8%AF%E4%B8%80%E8%B7%AF です。

5番目の写真は陸路の一帯と海路の一路の見取り図です。陸路の一帯も海路の一路の計画はまだ具体的には出来ていません。自動車高速道路の具体的な計画もまだ発表されていません。コンテナ船を航海させる航路もまだ決まっていません。暫くは複数の自動車道路や鉄道をつないで貨物の輸送をします。航路も同様です。
この一帯一路巨大経済圏構想に従って中国政府は外交活動を展開しています。
すでに100を超える国と地域から支持あるいは協力協定を得ており、さらに国際連合安全保障理事会、国際連合総会、ASEAN、EU、アラブ連盟、アフリカ連合、アジア協力対話などの場で盛んに宣伝、勧誘を展開しているのです。
その結果、上海協力機構など多くの国際組織が支持を表明しているのです。

日本の立場はどうなのでしょうか?
2012年度からは日本の一番重要な国は中国です。2位がアメリカなのです。そして中国との貿易額はますます増大しているのです。将来アメリカは日本の貿易相手国としては重要ではなくなるのです。
輸出・輸入を合計すれば、日本の最大の貿易相手国は中国です。2012年度の貿易総額は約130兆円ですが、その2割が中国で、2位のアメリカの1.5倍以上の割合です。今の日本経済にとって、中国はアメリカ以上に影響力の大きな存在なのです。
日本は経済活動分野ではアメリカを見限り、中国の味方にならざるを得ない趨勢です。
しかし日本は安保条約の強化と軍事力拡大の努力し中国の3隻の空母体制に対抗しなければなりません。

今日の記事の表題にある・・・国際関係波高し!・・・はこういう背景を意味しているのです。来年は中国の習近平主席を日本の国賓として招待していますが国際関係の厳しさが少しは緩和するでしょう。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)