今回のコロナウイルス問題で多数の会社が倒産しました。多数の人が解雇されました。交通機関を運営している会社や、ホテル、旅館業や、居酒屋などの外食産業や、接客サービス業などなどで数多くの人が解雇され、また多数の会社が倒産しました。
今日は日本の非正規雇用の人の解雇とベンチャー企業の倒産の問題を取り上げて考えたいと思います。
日本社会では何故失業する人が多いのでしょうか?
結論を先に書けば次の2つが原因になっています。
(1)非正規雇用の人口の拡大
(2)経営基盤の脆弱なベンチャー企業の数の拡大
最近の日本人は正規雇用で大会社で働くことを嫌います。会社によって個人の自由が束縛されることが嫌いなのです。
仕事が気にくわない時にはすぐに辞められる非正規雇用のほうが理想的という社会風潮なのです。
そして大会社で奴隷のように働くなら自分でベンチャー企業を作り大会社の束縛から離れ自由に企業活動をした方が良いと考える人が増えたのです。
しかしこの2つの考え方には大きなリスクがあるのです。今回のコロナ問題がこの2つの考え方のリスクを浮き彫りにしたのです。
そこで上記の(1)と(2)の問題を考えてみたいと思います。
(1)非正規雇用の人口の拡大と日本の貧困率の増大
生活に充分な厚生年金を貰っている高齢者と毎月5万円の国民年金だけを貰っている人の間の格差は増大しています。
正規社員と非正規社員の間の格差も増大しています。能力主義による正規社員の間の年収の格差も増大しつつあります。
日本の貧困率は先進国の中ではアメリカについで2位です。日本より貧困率の低い国はオーストラリア、イギリス、カナダ、ドイツ、フランスなどなどです。
そして正社員の比率が大きい製造業は生産拠点の海外移転などで雇用が減り、パートの多い小売やサービス業で働く人の割合が高まっているのです。
なかでもパートやアルバイトとして働く人が多い女性は、2012年にはすでに非正規の比率が57.5%と、半数を大きく上回っているのです。現在はもっと増えています。
さらに 正社員だった人が転職の時に非正規になる流れも強まっています。
ある調査では過去5年の間に転職した人を見ると、転職前に正社員だった人のうち40.3%が非正規になったのです。
この状態でコロナ問題で経営の苦しくなった会社が非正規社員を辞めさせるのです。その数は非常に多くなります。辞めさせられた非正規社員は文句も言えません。それが日本社会の現状なのです。
(2)経営基盤の脆弱なベンチャー企業の数の拡大の問題
1990年ころのバブル経済の崩壊によって日本は長い不況に苦しみました。
政府や経済産業省などの省庁では何故不況が長期になるかを研究しました。
そのなかで経済産業省はアメリカの経済社会構造を調査しベンチャー企業が経済活性化の鍵になるという考えを出したのです。
特に日本の大学、官庁、民間の協力によるベンチャー企業の創出が重要と判断し、それを促進するいろいろな政策を実行しました。
所謂「産学官連携推進運動」の諸政策です。とくに平沼氏が経済産業大臣のとき全国の大学からベンチャー企業を1000社創出させる社会運動を起こし、関連諸政策を進めてきたのです。
社会運動としては非常に意義深い方針でしたが大学発1000社運動は失敗に帰しました。
日本の大学は教育や研究の閉鎖的な組織なのです。アメリカの大学の人々のように気軽に大学を辞めてベンチャー企業を起こす人などは非常に少なく、皆無と言っても過言ではないのです。
ですから「大学発1000社運動」は机上の空論でした。
そして政府はベンチャー企業に対する強力な資金援助はしませんでした。その上日本の銀行は安全主義で大会社とのみ取引しベンチャー企業を見向きもしません。
この状態でコロナ問題が起きれば多数のベンチャー企業が倒産するのは当然ではないでしょうか?
今回のコロナ問題で日本で貧困になり食物に困っている人が増大する原因は日本社会の在り方にあるのでしょう。
それでは非正規雇用の人口とベンチャー企業の数の多いアメリカではどうなっているでしょうか?
コロナ問題で失業する人が多いのは日本の状態と同じです。しかしアメリカの社会では慈善事業が非常に盛んなので貧困の故に食べ物が無いという悲劇は少ない筈です。
また倒産するベンチャー企業は多いでしょうがアメリカの銀行はベンチャー企業を支援する文化なので再起は容易なのです。アメリカの銀行は担保がなくてもベンチャー企業の企業計画が独創的で有望ならば資金を提供します。そういう精神がアメリカの銀行の文化です。アメリカでは倒産の悲劇が緩和されていると考えられます。
今日は日本の非正規雇用の人の解雇とベンチャー企業の倒産の問題を取り上げて考えまっした。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
今日の挿絵代わりの写真は私が好きなトルコキキョウの花です。
1番目の写真の出典は、http://floatbridge.blog61.fc2.com/blog-entry-42.html です。2,3,4番目の写真の出典は、
https://horti.jp/2287 です。5番目の写真の出典は、
www.aoyamahanamohonten.jp/blog/2017/08/07/トルコキキョウの日本一の生産現場を訪れました/ です。
今日は日本の非正規雇用の人の解雇とベンチャー企業の倒産の問題を取り上げて考えたいと思います。
日本社会では何故失業する人が多いのでしょうか?
結論を先に書けば次の2つが原因になっています。
(1)非正規雇用の人口の拡大
(2)経営基盤の脆弱なベンチャー企業の数の拡大
最近の日本人は正規雇用で大会社で働くことを嫌います。会社によって個人の自由が束縛されることが嫌いなのです。
仕事が気にくわない時にはすぐに辞められる非正規雇用のほうが理想的という社会風潮なのです。
そして大会社で奴隷のように働くなら自分でベンチャー企業を作り大会社の束縛から離れ自由に企業活動をした方が良いと考える人が増えたのです。
しかしこの2つの考え方には大きなリスクがあるのです。今回のコロナ問題がこの2つの考え方のリスクを浮き彫りにしたのです。
そこで上記の(1)と(2)の問題を考えてみたいと思います。
(1)非正規雇用の人口の拡大と日本の貧困率の増大
生活に充分な厚生年金を貰っている高齢者と毎月5万円の国民年金だけを貰っている人の間の格差は増大しています。
正規社員と非正規社員の間の格差も増大しています。能力主義による正規社員の間の年収の格差も増大しつつあります。
日本の貧困率は先進国の中ではアメリカについで2位です。日本より貧困率の低い国はオーストラリア、イギリス、カナダ、ドイツ、フランスなどなどです。
そして正社員の比率が大きい製造業は生産拠点の海外移転などで雇用が減り、パートの多い小売やサービス業で働く人の割合が高まっているのです。
なかでもパートやアルバイトとして働く人が多い女性は、2012年にはすでに非正規の比率が57.5%と、半数を大きく上回っているのです。現在はもっと増えています。
さらに 正社員だった人が転職の時に非正規になる流れも強まっています。
ある調査では過去5年の間に転職した人を見ると、転職前に正社員だった人のうち40.3%が非正規になったのです。
この状態でコロナ問題で経営の苦しくなった会社が非正規社員を辞めさせるのです。その数は非常に多くなります。辞めさせられた非正規社員は文句も言えません。それが日本社会の現状なのです。
(2)経営基盤の脆弱なベンチャー企業の数の拡大の問題
1990年ころのバブル経済の崩壊によって日本は長い不況に苦しみました。
政府や経済産業省などの省庁では何故不況が長期になるかを研究しました。
そのなかで経済産業省はアメリカの経済社会構造を調査しベンチャー企業が経済活性化の鍵になるという考えを出したのです。
特に日本の大学、官庁、民間の協力によるベンチャー企業の創出が重要と判断し、それを促進するいろいろな政策を実行しました。
所謂「産学官連携推進運動」の諸政策です。とくに平沼氏が経済産業大臣のとき全国の大学からベンチャー企業を1000社創出させる社会運動を起こし、関連諸政策を進めてきたのです。
社会運動としては非常に意義深い方針でしたが大学発1000社運動は失敗に帰しました。
日本の大学は教育や研究の閉鎖的な組織なのです。アメリカの大学の人々のように気軽に大学を辞めてベンチャー企業を起こす人などは非常に少なく、皆無と言っても過言ではないのです。
ですから「大学発1000社運動」は机上の空論でした。
そして政府はベンチャー企業に対する強力な資金援助はしませんでした。その上日本の銀行は安全主義で大会社とのみ取引しベンチャー企業を見向きもしません。
この状態でコロナ問題が起きれば多数のベンチャー企業が倒産するのは当然ではないでしょうか?
今回のコロナ問題で日本で貧困になり食物に困っている人が増大する原因は日本社会の在り方にあるのでしょう。
それでは非正規雇用の人口とベンチャー企業の数の多いアメリカではどうなっているでしょうか?
コロナ問題で失業する人が多いのは日本の状態と同じです。しかしアメリカの社会では慈善事業が非常に盛んなので貧困の故に食べ物が無いという悲劇は少ない筈です。
また倒産するベンチャー企業は多いでしょうがアメリカの銀行はベンチャー企業を支援する文化なので再起は容易なのです。アメリカの銀行は担保がなくてもベンチャー企業の企業計画が独創的で有望ならば資金を提供します。そういう精神がアメリカの銀行の文化です。アメリカでは倒産の悲劇が緩和されていると考えられます。
今日は日本の非正規雇用の人の解雇とベンチャー企業の倒産の問題を取り上げて考えまっした。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
今日の挿絵代わりの写真は私が好きなトルコキキョウの花です。
1番目の写真の出典は、http://floatbridge.blog61.fc2.com/blog-entry-42.html です。2,3,4番目の写真の出典は、
https://horti.jp/2287 です。5番目の写真の出典は、
www.aoyamahanamohonten.jp/blog/2017/08/07/トルコキキョウの日本一の生産現場を訪れました/ です。