この度のロシア軍のウクライナへのミサイル攻撃と東部の占領でロシアは世界中の非難を浴び孤立無援です。
その結果、ロシア人は全て悪という風潮です。しかしこれは間違った軽薄な社会風潮です。ロシアの権力者と一般のロシア人個人は別の存在です。違う性格を持っている人々なのです。
今日は良いロシア人として日本に在住したニコライをご紹介します。そして私の大好きな画家のレーピンと作曲家のチ ャイコフスキーも紹介したいと思います。
さてニコライとは神田にニコライ堂を建てたロシア人、ニコライ・カサートキンのことです。彼は終生日本人を愛したのです。
ニコライは1836年にロシアのある農村で生まれ、明治維新の7年前の1860年、24歳の時日本へキリスト教の宣教のために行く決心をします。翌年、函館に着いてから終生日本に居ました。
日本に着いた1861年はまだ江戸時代です。それから51年後の1912年、75歳で永眠し、上野の谷中の墓地に葬られ日本の土になりました。
函館着任後に書道も研鑽し、日本の歴史や佛教も勉強しました。古事記や日本書紀も読破する勉強家でした。
ニコライの日本を愛する心は強く、数々の感動的なエピソードが残っています。その中から一つをご紹介します。
1904年と1905年には日露戦争が続きました。戦争勃発とともに在日ロシア人は一斉に帰国して行きます。ロシア公使のローゼン男爵もニコライに帰国するように薦めます。ニコライは静かに言うのです、「私はロシアに仕える者ではない。主ハリスト(主キリスト)に仕える者である。」と。
日露戦争の間、ロシア正教の日本人信徒は「露探」(ロシアのスパイ)と罵倒され、聖堂や集会所が暴徒の襲撃を受けたのです。
この時、ニコライは教書を発表し信徒を慰めます、
「我々には地上の祖国の他に、天に国がある。天の国には民族の別無く皆が平等に生きている。なぜなら全ての人々は皆同じ父(神)の子であり、お互いは皆兄弟であるからです。我々の属する国は主である神が作った教会なのです。信者は平等な会員なのです。天の神、すなわち我らの父の一つの家族としてとどまり、その家族としての義務をそれぞれに果たすようにしようではないか!」
ニコライは日本人信徒の一人一人を強く愛していたのです。ロシアへ逃げ帰るなど考える筈がありません。
1912年、持病の心臓病が悪化し、天に帰りました。
ニコライ堂から上野の谷中の墓地まで、葬列を見送る人垣が沿道の両側を埋め尽くしました。多くの日本人がニコライの死を悲しんだのです。
明治天皇からの「恩賜の花輪」を抱きかかえた人が葬列の写真に見えます。私は葬列と沿道の人々の光景の写真を10枚持っています。ニコライ堂の売店から買って来たのです。
ニコライは明治天皇を尊敬し、深く日本の信者を愛していたのです。日本人を愛すことは「隣人を愛せ」というイエス様の教えなのです。私はニコライの愛は日本民族に対する「深遠な愛の心」だったと信じています。
さてロシアの画家、イリヤー・レーピンをご紹介します。私の胸を打つ感動的な油彩画を描いた画家です。暗い絵ですがロシアの深い芸術性を感じます。
彼は 1844年に ハリコフ近郊 で生まれ、 1930年に亡くなりました。 心理的洞察を描き込んだ写実画が感動的です。私の感動した船曳きの絵を示します。
1番目の写真は「ヴォルガの船曳き」です。
そして続けてもう3枚の油彩画をお送り致します。
2番目の写真は「クルスク県の復活大祭の十字行」です。
3番目の写真は「トルコのスルタンに手紙を書くザポロ-ジャのコサック」、1880年作です。
4番目の写真は「思いがけなく」、 1883年 - 1898年作です。
さて最後に作曲家のピョートル・チャイコフスキーを簡略に紹介致します。私の大好きな作曲家です。
チャイコフスキーは1840年5月7日、ウラル地方ヴォトキンスクで、鉱山技師イリヤ・チャイコフスキーの次男として生まれました。 1893年11月6日に没しました。 叙情的で流麗な旋律と華やかなオーケストラ曲で有名です。
私は若い頃からよく聞きました。懐かしい作品を列挙します。
作品についてはチャイコフスキーの楽曲一覧をご覧ください。
幻想序曲「ロメオとジュリエット」
バレエ音楽「白鳥の湖」 作品20
ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23
スラヴ行進曲 作品31
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
「四季」- 12の性格的小品 作品37a
弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
大序曲「1812年」 作品49
バレエ音楽「眠れる森の美女」 作品66
バレエ音楽「くるみ割り人形」 作品71
交響曲第6番 ロ短調「悲愴」 作品74
あわせてチャイコフスキー名曲 10選、https://www.youtube.com/watch?v=uti8sOBlV7s もお聞き下さい。
今日は日本人を愛したロシア人、ニコライをご紹介しましました。そしてレーピンの油彩画と チ ャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲などをご紹介しましました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)