以前ヨーロッパ諸国へ何度か行きました。仕事で行ったのですが週末は暇です。美術館にでも行くかと思い訪ねてみました。するとつまらない宗教画が溢れているのです。何故つまらないかというと宗教と美術は別物なのに無理して一緒にしているからです。私はカトリックの信者ですが下手な宗教画に辟易しています。
一般的に宗教画は芸術的でなく、そに上に描かれているもののキリスト教的意味が分からないと全く面白くないのです。
しかし宗教画はヨーロッパ文化にとって非常に重要な分野なのです。ですからこそ美術館に宗教画が満ち溢れているのです。これこそヨーロッパ文化の重要な分野なのです。
そこで今日はヨーロパ諸美術館に溢れている宗教画をご紹介したいと思います。優れた宗教画を選んで5点お送りします。
1番目の写真はフレスコ画フラ・アンジェリコの名作の「受胎告知」(1442年頃)です。
「受胎告知」は、左の大天使ガブリエルが右の聖母マリアに、イエス・キリストの母になることを伝えている新約聖書の場面です。天使はダ・ヴィンチの代表作である受胎告知の宗教画にも登場します。天使(angel)は神々と人間の中間の霊的存在のため宗教画には欠かせない存在です。
16世紀までの宗教画に天使が多いのはキリスト教では天使の存在が信じていたからなのです。現在のカトリックでは受胎告知は信じていますが天使は重要ではありません。
2番目の写真はラファエロ(Raffaello Sanzio)の「牧場の聖母」です。ウィーン美術史美術館に所蔵されています。
赤いドレスと青いローブをまとい、優しく幼子らを見守る聖母マリアが描かれています。聖ヨハネが片膝をつき細長い十字架を支え、幼子キリストはその十字架を握り視線を送っています。ラファエロはそれまでの芸術手法を統合し洗練された優雅な様式を確立しました。
カトリックでは洗者ヨハネが水でイエスに洗礼を授けたと信じられています。この絵には洗者ヨハネとイエスの幼い姿が描かれているのです。
3番目の写真はダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)の「最後の晩餐」です。
イタリアのミラノにあるサンタ・マリア教会にある壁画です。この絵では、弟子の裏切りを予言するイエス・キリストと聞いて動揺する弟子たちの様子が写実的に描かれていています。
最後の晩餐でイエスはパンを裂き弟子たちに、「これは私の体」と言って食べさすます。葡萄酒を「これは私の血」と言って飲ませます。現在のカトリックではミサの終り頃に神父が「イエスの体」と言って信者一人一人へパン片を食べさせます。ミサで一番重要な場面です。
4番目の写真はベラスケスの「聖母戴冠」でスペインのプラド美術館にあります。
ベラスケスの代表的な宗教画です。この絵は、復活した聖母が再び昇天し、神と神の子イエスから戴冠を受ける場面を描いたものです。現在のカトリックでは聖母戴冠の話は出てきません。当時のマリア信仰の強さが聖母戴冠感じられる絵です。
5番目の写真はフェルナンドの「聖カタリーナ」でプラド美術館にあります。
聖カタリーナはアレキサンドリアの知事の娘でした。3世紀頃の話です。当時の最高の教育を受けたカタリーナは母親の影響でキリスト教徒になります。ローマ皇帝マクセンティウスがキリスト教を迫害します。聖カタリーナがそれを非難したため逮捕されます。手足を車輪に括り付けて転がされるという拷問にかけられそうになります。しかしカタリーナが車輪に触ると車輪はひとりでに壊れたのです。
彼女は最後に斬首刑になりました。この絵の聖カタリーナの足元に壊れた車輪が描かれています。この絵の重要な部分です。
現在のカトリックではこの聖カタリーナは登場しません。しかしヨーロッパでは有名な話なのでしょう。
今日ご紹介した宗教画の出典の文献は、https://www.religio.jp/religious-painting/ とhttps://tabispain.com/category/arte/atribute/ です。
また写真の説明にはこれら2つの文献を参考にしました。記して感謝の意を表します。
今日はヨーロッパの宗教画をご紹介しました。宗教画はヨーロッパ文化の一つの分野なのです。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)