後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

秋の紅葉を待ちつつ読む漢詩と白秋の「からまつ」

2015年10月02日 | 日記・エッセイ・コラム
10月に入るといよいよ紅葉の季節です。北海道の白樺林も美しく黄葉していることでしょう。小生の住んでいる関東地方の平野部は11月の初め頃が黄葉の季節です。
毎年、10月になると甲斐駒の麓の小屋に行って、散り敷いた落ち葉を集め小さな焚火をします。落ち葉の燃える良い香りが林間に漂います。
そうして白楽天の「林間に紅葉を焚いて、酒を煖める」という漢詩をゆっくり読みます。
私の秋の年中行事です。秋になるとこうして自宅に居ても落ち葉の燃える香りを想像しながら、下の漢詩を読むのです。

寄題送王十八帰山仙遊寺   白居易(白楽天)

曽於太白峰前住
数到仙遊寺裏来
黒水澄時潭底出
白雲破処洞門開
林間煖酒焼紅葉
石上題詩掃緑苔
惆悵旧遊復無到
菊花時節羨君廻

訳:その昔、私が太白峰の麓に住んでいた頃はよく仙遊寺へ出かけたものだ。
水が澄む秋の季節には、川淵の底まで透けて見え、白雲が切れた辺りに仙遊寺の山門があった。また仙遊寺の林間では散り落ちた紅葉を焚いて酒を煖めたり、緑苔を払った石の上に詩を書いたりしたものだ。
ああ残念ながら、昔遊んだあの地に私はもう二度とは行くことはないだろう。
菊の花の咲くこの季節に、そこに帰っていく君が羨ましいよ。

(以上の出典:http://plaza.rakuten.co.jp/1492colon/diary/200812110000/で、
白楽天のことは、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E5%B1%85%E6%98%93にあります。)
それからどういう訳か白秋の下の「からまつ」という詩を読みます。

「からまつ」    北原白秋

     一

 からまつの林を過ぎて、

 からまつをしみじみと見き。

 からまつはさびしかりけり。

 たびゆくはさびしかりけり。

      二      

 からまつの林を出でて、

 からまつの林に入りぬ。

 からまつの林に入りて、

 また細く道はつづけり。

      三

 からまつの林の奥も

 わが通る道はありけり。

 霧雨のかかる道なり。

 山風のかよふ道なり。

      四

 からまつの林の道は、

 われのみか、ひともかよひぬ。

 ほそぼそと通ふ道なり。

 さびさびといそぐ道なり。

      五

 からまつの林を過ぎて、

 ゆゑしらず歩みひそめつ。

 からまつはさびしかりけり、

 からまつとささやきにけり。

      六

 からまつの林を出でて、

 浅間嶺にけぶり立つ見つ。

 浅間嶺にけぶり立つ見つ。

 からまつのまたそのうへに。

      七

 からまつの林の雨は

 さびしけどいよよしづけし。

 かんこ鳥鳴けるのみなる。

 からまつの濡るるのみなる。

      八

 世の中よ、あはれなりけり。

 常なれどうれしかりけり。

 山川に山がはの音、

 からまつにからまつのかぜ。
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紅葉の季節は何故か心が華やぎます。
車を駆って奥多摩や裏高尾の山々に紅葉はまだかと何度も行く毎日です。
皆様のお住まいの所の紅葉は何時頃が見ごろでしょうか?
下のはじめの3枚の写真は甲斐駒岳の麓にある小屋の近辺の黄葉の風景です。写真は2013年10月30日に撮りました。
続く2枚は2012年の10月29日に上高地を散策しながら撮った風景写真です。
梓川の上流に向かって右側のカラマツ林が白秋の「からまつ」の詩の情景にそっくりでした。
梓川の向こう側の遥か上の方には穂高連山が見える筈です。雲が多く、わずかに時々雪山の稜線が見えていました。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)










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