575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

ゴッホの星空を眺めながら  竹中敬一

2016年09月09日 | Weblog
この写真は平成7年、テレビの仕事で南フランスのアヴィニョンへ行った時のものです。
アルルに今もあるゴッホの「夜のカフェテラス」の題材となったお店です。
同じアングルで撮っています。

「夜のカフェテラス」は、平成17年、愛知県美術館で開かれた
ゴッホ展にも出品されて、私も初めて本物を見ました。
その時のカタログと比較して写真を入れてみました。

平成7年9月5日の取材メモ帳です。(アルル)

「撮影クルー5人で夕方、歩いてホテルから旧市街へ。
路が狭く、中世の世界に入り込んだ感じ。
オレンジ色にライトアップされた古い建物の間から、
星がまたたいている。空が深い青色だ。ゴッホの絵そっくりだ。」

確かに、星々は目が痛いほどチカチカと輝いていたように記憶しています。
ゴッホが「夜のカフェテラス」と同じ年の1888年9月に描いた作品に
「ローヌ川の星月夜」があります。
二つの作品に描かれた紺青の空と星の輝きは、あながち誇張ではないように思います。
私も現地で夕方、星空を見て感じたと同じ光景だったのです。

奇しくも、私が星空を見たのは、ゴッホと同じ9月。
土地の人の話では、この時期が最も星が輝いて美しいく見えるのだそうです。
1888年2月、パリからアルルに移り住んだゴッホはすっかり星月夜に魅了されたようです。

ゴッホの伝記によれば、この二作品を描いた後の10月、ゴーギヤンとの共同生活を始めますが、
間もなく「耳切り事件」を起してしまい、自ら進んでサンレミにある療養院へ。
ここに入院中、戸外での制作を許されて描いた作品に「星月夜」があります。
この作品は、先の二作品に比べて、筆遣いが烈しくなっています。
星々は一段と丸みを帯びて、大きく描かれています。
ここまで来ると、現実の星空というよりは、ゴッホの頭の中で昇華された星空のように思えます。

コメント
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