575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

季語について・夏しぐれ  

2019年06月30日 | Weblog

害鳥と 指さす雛に 夏しぐれ 殿

この句の季語・夏しぐれ。私はこう書きました。

 時雨は冬の季語。夏の時雨という季語。
 緑雨、青時雨は聞いたことがあります。
 夏しぐれは初めてです。
 やさしく降る夏の雨といった感じでしょうか。
 青しぐれ。これも良いと思いますが。
 みなさんはどうお考えですか。(遅足)

殿さまからメールをいただきました。

 句は雨に濡れ死にゆく雛の生命を詠んでいます。
 そのため体温を奪う冬の「時雨」がふさわしいのですが、
 季に合わせ「夏しぐれ」としました。
 青時雨は、青葉の木立から落ちる水滴を時雨としたもの。
 生命力を感じる「青葉」とは真逆の情景と思われます。

さらに。写真とともに。

 害鳥は駆除。死を意味します。さらに「指さす」は名指しでの非難。
 「雛」は卵から孵ったばかりの幼鳥。
 雨に濡れ体温を失うことは死を意味します。
 しぐれは「しとしと」とした雨。
 時の経過がゆっくり。
 つまり、ゆっくりと死の訪れを待つ雛の情景を詠んでいます。

季語にこれだけの意味を持たせることが出来るのですね。
読み手の力量も問われます。ハイクってコワイですね。遅足


コメント
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