575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

雨戸繰るそこに金星冬の山    朱露

2010年11月21日 | Weblog
   日の出前に起き南の雨戸を開ける。
   東の多米連峰の低く暗い山脈の肩。
   そこに明けの明星金星が独り輝く。
   此処から僅か四千万キロの近さだ。

            

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燃えてゐる火のところより芒折れ  高野素十

2010年11月20日 | Weblog
客観写生の句は良いと思う句と、なにそれ?と思う句とに
極端に分かれます。
この句は良いと思う句に入ります。
しかし・・・と思っていたら、
「現代俳句の鑑賞事典」に、句についてこんな解説が。

      

こういう句を読む時は、読み手は心に余裕を持たねばならない。
燃えて折れた芒。
それがどうした・・・と
考えたりすると全くつまらないと思ってしまう。

作者とともに、詠まれている情景を楽しむ気持ちがなくては、
この句を味わうことは出来ない。

一読、情景は明確。読み手が勝手な思いを入れても
揺るぐことはない。
客観的な句のよさはここにある。

      

なるほど!
直ぐに意味を求めたりせずに、ゆっくりと味わう。
心に余裕がないとダメなんですね・・・

                  遅足





 

   
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浜名湖は静かに揺れて山眠る    朱露

2010年11月20日 | Weblog

     浜名湖は宍道湖同様海続きの汽水湖。
     海水が流れ込む為に大きい波が立つ。
     この時はモーターボートの為だった。
     冬の季語「山眠る」だが喧しかった。

               

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タコノアシ                  草女

2010年11月19日 | Weblog
11月初旬、湖北へいくことができた。琵琶湖は水鳥で一杯だが、白鳥がいない。そこで2kmほど長浜寄りにある早崎ビオトープへ行くことにした。元は水田であったが、白鳥のために掘り下げ水を張ったものだ。大きな長方形のため池4つと葦原がある。
ため池の間は車1台がやっと通ることができる道幅になっている。そこへ車を乗り入れたのは、「P」の文字が見えたから。しかし、パーキングは無いし以前は向こうの道路へ曲がれたのが、柵が作られ行き止まりになっている。どうあってもバックするより方法がない。人の世話になるのが嫌いな連れ合いも誘導しようかという提案に頷く。
私はまっすぐバックすることが苦手であるが連れ合いも同様であること発見。両側が池でタイヤと水の間が5,60cmではプレッシャーも相当にかかるだろう。必死に誘導している最中、目に飛び込んできた草がある。初対面だけれど、タコノアシに違いない。
図鑑でしか見たことがないが、間違いない。[ストップ!」まずは写真に撮り観察しなければ・・・ともかくこの場から早く逃れたい連れ合いと滅多にお目にかかれい草に興奮している私のやりとりはちゃちなお笑いよりおかしいのもがあったろう。
 タコノアシはユキノシタ科という説とベンケイソウ科という説、タコノアシ科にすべきという説がある。どの科になってもタコノアシ属の多年草で国、県ともに絶滅危惧2種。100年後の絶滅確率は約2%で300年後には絶滅すると言われている。湿地性で河川敷、沼、水田のふち、休耕田に生える。こうした場所は開発される可能性が大きいから、もっとはやく絶滅する可能性があると私は考えている。

 茎はまっすぐ5,60cmのび、先が枝分かれして花が並んで付く様子が吸盤の付いた蛸の足のように見えるからの名前。11月では全身が真っ赤に紅葉し、ゆでダコ状態であり実も赤く吸盤がずらりとならびなんともユーモラスな様子でネーミングの良さに感心する。しかしタコノアシを知らない知人に写真を見せて連想するものなに?と尋ねてみたが、蛸のたの字も出てこなかった。一般受けはしないらしい。

 花の時は9月だそうだ。来年の9月にまた行けるといいな!
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神無月いつも頷く夫(つま)とゐて    値遇

2010年11月19日 | Weblog
世の中には様々な夫婦のカタチがあります。
この句のような、いつも、どんなことにも、頷く夫。
ご主人はどんな方なんでしょうね?
きっとヤサシイ性格なんでしょう。

妻のコトバにあまり頷かない私などは想像もつきません。
出雲の国に集まった神様たちが
赤い糸で結びつけた良縁だったのでしょう。

でも、妻としてなんとなく、いつも頷く夫に
小さな不満を感じているようにも。

  つれあいにやさしくなりぬ神無月

これは能登さんの句。
長く連れ添ってきて、フッと結婚当時を思い出したりして。

夫婦ってフシギなカンケイですね。   遅足

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11月句会の最終結果です。   遅足

2010年11月18日 | Weblog
11月句会、6人の出席。ちょっとサミシク。でも賑やかに。
亜子さんと立雄さんの選句がまだですが、とりあえず。

       

兼題「神無月」

①神無月いつも頷く夫(つま)とゐて(値遇)能登・鳥野
②神無月天突き抜ける御柱(麗子)遅足・狗子・立雄
③効能をすこしうたがふ神無月(晴代)値遇・童子・狗子
④居酒屋でニーチェと笑う神無月(朱露)鳥野・狗子・静荷・郁子・立雄
⑤神無月カボチャオバケの目が光る(郁子)値遇・静荷・麗子・立雄・亜子
⑥COP10成果半ばぞ神無月(愚足)亜子
⑦つれあいにやさしくなりぬ神無月(能登)愚足・鳥野・朱露・晴代・郁子・麗子
⑧投函をこぼれし思ひ神無月(遅足)晴代
⑨ずかずかと寄りくる鴉神無月(亜子)能登・愚足・朱露・遅足・静荷
⑩幣(ぬさ)立てて葦舟は行く神無月(静荷)朱露・亜子
⑪また一つ閉店したり神無月(立雄)能登・愚足・郁子
⑫ぶな林に路の明るき神無月(結宇)晴代
⑬新粒子まだ見つからず神無月(狗子)値遇・童子・遅足・麗子


自由題
 
①脚むくみ独り灸する冬の暮(愚足)能登
②雪雲や縄文列柱日時計す(結宇)
③小春日に夢見る銀の穂の調べ(郁子)
④鵯の寝首を掻いて付け焼きに(朱露)
⑤新豆腐水したがへて沈みゆく(値遇)能登・愚足・鳥野・童子・遅足・晴代・静荷・麗子
⑥発酵のパン生地寝かす冬時間(麗子)鳥野・童子・郁子・静荷・亜子
⑦小春日やベンチに並ぶ懐旧談(晴代)値遇
⑧村を黄に染めて銀杏(ぎんなん)日和かな(亜子)愚足・麗子・立雄
⑨小春日やこわごわ孫と逆上がり(立雄)能登・値遇・鳥野・郁子
⑩ポケットのなかにポケット冬立ちぬ(遅足)値遇・朱露・晴代・麗子・狗子・立雄・亜子
⑪道鏡と太き署名や奈良の秋(静荷)朱露・遅足・狗子
⑫秋の蚊の弱るふりして人を刺す(狗子)
⑬熊の眼が殺されたわけ訊いている(能登)愚足・朱露・童子・遅足・晴代・郁子・静荷・狗子・立雄・亜子

       

次回は12月15日(水)安田屋。
題詠は「セーター」です。

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「缶拾い」お早うと笑う冬の朝    朱露

2010年11月18日 | Weblog

    夜が明けてすぐコンビニへ歩いた。
    空き缶を自転車に積んだ男が来る。
    「お早う」と笑うので返事をした。
    ここまで書いたらヒューズが飛ぶ。

             

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旧暦神無月句会   麗

2010年11月18日 | Weblog
安田屋さんで湯豆腐の注文が増えた昨日の句会。
お風邪の方が多く6名の参加でしたが遅足さんが来て下さり
おしゃべりに花が咲きました。

旧暦の神無月。神様は出雲におでかけでお留守中。
そんな神様を意識した人もそうでない人も。

なんの打ち合わせもしていないのに伴侶を句にしたお二人。
値遇さんの

   神無月いつも頷く夫といて

能登さんの

   つれあいにやさしくなりぬ神無月

新婚さんの値遇さんと人生の先輩の能登さん。
「優しくしよう」という日頃の反省の気持ちからか能登さんの句に票が集まったのが
夫婦の溝が伺えて面白かったです。


朱露さんの

   居酒屋でニーチェと笑う神無月

これは「神は死んだ」のニーチェの思想をふまえているとの遅足さんの
解説を聞き納得。でも「ニーチェ」という音が笑い声に聞こえるという説も出て
これまた深みのある句に思えました。

狗子さんの

   新粒子まだ見つからず神無月

イトカワの微粒子が見つかったというタイムリーなニュースにわきましたが
実はスイスの研究所で発見されるかもという新しい原子のこととわかりました。
作者の意図とは違いましたがそれもまた面白いところですよね。

晴代さんの「効能」はインフルエンザワクチンのこと。
遅足さんの「投稿」は奥様が書かれているお手紙のこと。
郁子さんのカボチャオバケはもちろんハローウィンのお祭り。
日本の祭りは外資に奪われているとの説に一同危機感を抱きました。
神様のいないのをいいことに我がもの顔のカラス(亜子さん)
愚足さんのCOP10や静荷さんの伊勢へ向かった葦船。
年を越せない個人商店を詠まれた立雄さん。ブナ林の明るさを詠まれた結宇さん。
いろんな神無月が出てきました。

自由題を席巻したのは
値遇さんの「新豆腐」の句。「水したがえて」という表現がすばらしいと絶賛。
能登さんの「熊の目」の句。熊に責任はないのだけど異常気象で食べ物がない。。。

来月は遅足さんの好きな「セーター」がお題です。
手編みの思い出が出るかな?お楽しみに。
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天上へ頭突き出す貝割菜   遅足

2010年11月17日 | Weblog
船団・岡野ドクターの診断です。

土の中から芽を出したばかりの双葉、
小さく可憐なものとしての印象がありますが、
この貝割菜は力強いのではないでしょうか。
貝割菜の生態そのものを詠んだともとれ、
当たり前とも言えるのですが、
芽が突き出したところが単なる地上ではなく、
一気に天上まで行ってしまった飛躍がいいと思います。

ありがとうございます。
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品川の妹が来て冬の酒    朱露

2010年11月17日 | Weblog

  春来れば春の酒になるだけだが。
  この妹は若い時亭主に死なれた。
  この男碁は強かったが酒は弱い。
  一男一女を残したのは出来過ぎ。

          


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ヤマトタケルは俳句の祖?  鳥野

2010年11月16日 | Weblog
友人夫妻と甲府への旅をしてきました。当方の夫のゆかりの地です。
異常気象とはいえ、南信から甲斐にかけては、まさに晩秋。紅葉の真っ盛りでした。
鮮やかな紅と言えないものの、褐色めいた赤と針葉樹の緑のコントラストは格別の風情。

帰路に立ち寄ったのは「酒折宮」。人影まばらなJR酒折駅の裏手に、ひっそりと鎮まっています。
ここは、連歌の、ひいては俳句の発祥の地。

ヤマトタケルが東征の帰り道に宿りして、

 ・ 新治筑波をすぎて幾く夜ねる
とよんだを受けて、かがり火守の翁が

 ・ かがなべて夜は九夜日には十日
と続けたという故事が伝えられています。

のちに冷泉為綱が詠んだ歌は

 ・ 暮れぬ間の嵐はたえて酒折にまくらかる夜の雨になる音


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血圧が錦の御旗冬籠り    朱露

2010年11月15日 | Weblog
  「錦のみ旗は」朝敵討伐の官軍の旗。
  この冬も高血圧を振りかざして休養。
  「この血圧が眼に入らんか馬鹿者」。
  血圧が高くないとこんな芸は出来ぬ。

            

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11月句会の投句が集まりました。   遅足

2010年11月15日 | Weblog
13人の句が集まりました。
なかなか良い句がそろいました。


兼題「神無月」

①神無月いつも頷く夫(つま)とゐて
②神無月天突き抜ける御柱
③効能をすこしうたがふ神無月
④居酒屋でニーチェと笑う神無月
⑤神無月カボチャオバケの目が光る
⑥COP10成果半ばぞ神無月
⑦つれあいにやさしくなりぬ神無月
⑧投函をこぼれし思ひ神無月
⑨ずかずかと寄りくる鴉神無月
⑩幣(ぬさ)立てて葦舟は行く神無月
⑪また一つ閉店したり神無月
⑫ぶな林に路の明るき神無月
⑬新粒子まだ見つからず神無月

自由題
 
①脚むくみ独り灸する冬の暮
②雪雲や縄文列柱日時計す
③小春日に夢見る銀の穂の調べ
④鵯の寝首を掻いて付け焼きに
⑤新豆腐水したがへて沈みゆく
⑥発酵のパン生地寝かす冬時間
⑦小春日やベンチに並ぶ懐旧談
⑧村を黄に染めて銀杏(ぎんなん)日和かな
⑨小春日やこわごわ孫と逆上がり
⑩ポケットのなかにポケット冬立ちぬ
⑪道鏡と太き署名や奈良の秋
⑫秋の蚊の弱るふりして人を刺す
⑬熊の眼が殺されたわけ訊いている

さて、どの句に票が集まるのでしょう・・・
楽しみです。
選句に悩みそう。

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みんな俳句が好きだった②     石川啄木

2010年11月15日 | Weblog
 歌人啄木は、詩や文章も多く作ったが、俳句は、渋民村時代の手紙か日記に記された十句足らずのようである。
 啄木にとって溢れる想いを込めるには、俳句は短すぎたのだろう。

    小障子に鳥の影する冬日和
    茶の花に淡き日差しや今朝の冬
    冬火と一日火に親しみて暮れにけり
    思ふ事なし山住みの炬燵かな
    白梅にひと日南をあこがれぬ
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直線で山切る冬の団地かな    朱露

2010年11月15日 | Weblog
   
    夜明け前東の低い山並みを見渡す。
    二十年前は遥か山裾まで見通せた。
    いずれ山全部隠れるのではないか。
    「敗軍の将兵を語らず」は違うか。

           


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