人外花境

暇人の何でも自然観察日記

主に野歩き山歩き.たまに旅歩きの写真ブログ

久高島のウタキ

2007年06月29日 | 島旅:沖縄本島・端から端へ

 安座真港の久高海運の事務所で高速船のキップを買ったら「はい、これ」と言って手渡されたのがこの絵図 面です。代表的ウタキと聖地が記されています。▲17とあるのは島の最高標高と三角点です。

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 無神論者と唯物(タダモノと読んで下さい)主義者を自認する私ですが、島に上陸すれば何か荘厳な雰囲気 と畏敬の念を感ずるのではないかと期待していたのですが、ハッキリ言って有りませんでした。以下の三箇所 は久高島の代表的ウタキ、説明は絵図面参照して下さい。

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 外間殿

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 久高殿

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 大里家

 今まで八重山諸島で見てきたウタキと比べれば何か変、そうです立派な建物・拝殿が有るのです。本来ウ タキには拝殿などの建造物は有りません。何もない森の中の小さな空間、海の彼方を向いた浜辺や岬などが自 然崇拝と祖先崇拝が統合した古代琉球文化独特の聖域であったはずです。「何もない空間」その向こう側に人 は無限の世界を見ることが出来るはずです。

 久高島のウタキがなぜ日本本土の神社仏閣の様な形態に成ったのか、それは1470年宮廷クーデターによ って第二尚氏の王位に着いた尚円王(金丸)の祭政一致の統治形態に久高島が取り込まれたことによるので す。琉球の古代から中世への転換を象徴しています。

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 これに対して、琉球王府から遠く離れた八重山諸島では、古代琉球の聖域「何もない空間」がウタキ(八重 山ではウガン・オン・スクと呼ぶ)として残っている。これは鳩間島のウタキ、素朴ですよね。ヤッパ下々を王の権 威の前に平伏さすためには、それなりのシカケが必要だったてことでしょうね。


久高島とは

2007年06月28日 | 島旅:沖縄本島・端から端へ

 久高島とは神様が沢山居り、12年に一度行われていた「イザイホー」の島である程度の知識しか無かった が、那覇で泊まった民宿のオカミサンが「久高島はいいよ~っ、石垣の道に古い家並みが残っていて・・・」なん て言うもんだから、例によって主体性のカケラも無い行動に出てしまった。那覇からバスと船を乗り継いでの日 帰りであったが、小さな島とは言え納得するまで見て歩くにはやはり島内に一泊が必要でした。

 沖縄大好き人間は勿論知っていると思いますが知らない人のために、久高島とはこんな所に有ります。面 積1.37k㎡人口277人(平成16年現在)。南城市(合併前の知念村)の安座真港から高速船で15分です。

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 高速船ニューくだかは、島の南端に有る徳仁港へと入ります。まあ離島の港風景は何処でも同じ様な物。

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 久高島がなぜ「神の島」と呼ばれているかは、琉球の国造り神であるアマミキヨという女神が最初に天から 降り立った地であるという開闢神話に基づく他、祭政一致の政治形態であった琉球王朝が深く関与している。琉 球王府最高の聖地とされる「斎場御嶽(セイファーウタキ)」は、久高島からはすぐ目前に見える。(画面中央の 手前の丘の上)

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ニトヌプリは霧の中だった

2007年06月27日 | 今日の雑感雑記

 昨日は一日ニセコのニトヌプリ(1080m)へ行ってきた。パノラマライン登山口からのコースだと、登りに30分な ので余りにも寂しいので五色温泉からのコースとした。画面右がニトヌプリ(北峰)左が南峰である。登山道は イワオヌプリ分岐から一旦硫黄川源頭の沢へ降り、その後ジグを切って頂上へ至る。どんなにゆっくり登っても 五色温泉から一時間半である。

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 頂上に着いたときはキリの中、何も見えず。

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 頂上で昼飯食っていると、一瞬キリが晴れイワオヌプリ(1116m)が姿を現す。手前は小イワオヌプリ (1039m)。

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 五色温泉の急坂を登り切ったあたりから、道端にツバメオモトの白い花が多く見られる。秋になれば瑠璃色 の宝石みたいな小さな実を付ける。その頃また会いに来ようかな。

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 ニトヌプリの登りにかかるとアカモノが咲いていた。

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 ニトヌプリの中腹に一株だけウコンウツギが有った。

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 下山後ニセコ山の家で汗を流す。露天風呂が広く大きく成ったようだ。温泉とは何と言っても硫化水素の臭 いがほのかに香り、白濁した硫黄泉が由緒正しい温泉であると私的には思っている。その点ここの温泉は正しい 温泉である。

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南大東島その他あれこれ

2007年06月25日 | 島旅:南大東島

 南大東島で忘れてならないのがこのバリバリ岩。島の北端北港の近くに有ります。島が曲げ応力または引 っ張り応力を受け、パカッと割れた大きな直線状の開口亀裂です。これは入り口付近の写真ですが、長さは 150m~200m位有ったでしょうか。亀裂の先端は地中に潜り、鍾乳洞状に成っています。他にも何カ所か有る ようですが、一般に開放されているのはここだけです。フイリピン海プレートに乗った南北大東島は、年間7cm の速度で北西へ移動しているため、250万年後には琉球海溝の中へ消えゆく運命にあるとか。

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 シュガートレインです。昔は島を一周した鉄路が有り、サトウキビを積んで製糖工場まで運んでいました。貨 物専用とは言え、沖縄県下ゆういつの鉄道でした。

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 その当時の石造りの機関庫です。

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 では最後にもう一度島の全景を見てから南大東島を後にします。さえぎる物の無い風景の中、とにかく空が 広い。次回は沖縄本島知念岬の沖にある神の島、久高島から。

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乙女の滝とニセアカシア

2007年06月24日 | 今日の雑感雑記

 今日は日曜日、午前中に乙女の滝から滝ノ沢コースでテイネオリンピアへ抜けるつもりで出かけた。実はこ のコース、現在工事中で日曜日しか通ることが出来ない。車で砕石場下の駐車場に着いたとたん、大粒の雨 が降り始めたので引き返す。まあ家から5分だからいいんだけど。

 午後天気が安定してきたので、また出かける。乙女の滝に立ち寄り、少し歩いたらヤブ蚊の猛攻撃に遭い 数カ所刺される。払っても払ってもしつこくまとわりつかれ、たまらず引き返す。今日は最悪であった。

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 この時期はニセアカシアの花が満開、頭の上から甘い香りが降ってくる。せめてもの慰め。

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南大東島の野の花

2007年06月24日 | 島旅:南大東島

 南大東島の固有種というわけではありませんが、たまたま見掛けたので写真に撮りました。琉球列島なら ば何処にでも咲いています。沖縄本島とその周辺および宮古・八重山諸島で目にする花は、その大部分が外来 種です。

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クダモノトケイソウ(別名:パッションフルーツ)ブラジル原産

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ゲットウ(方言名:サンニン)鹿児島県以南から東南アジアに分布する

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コガネノウゼン(別名:キバナイペー)ブラジル・コロンビア原産

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トウワタ(方言名:セーヤン)熱帯アメリカ原産

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オヒルギ:南大東島では内陸の淡水池のほとりに生育している、国指定天然記念物

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不明:道端に咲いていた、私の図鑑には載っていなかった


南大東島の池と月

2007年06月23日 | 島旅:南大東島

 南大東島にはこの様な淡水の池が大小100以上有ります。ドリーネ(陥没地形)に水が溜まったものでしょ う。淡水ではありますが、潮の干満に同期して水面が上下するそうです。無数の鍾乳洞によって、島の地下が スカスカに成っている証拠です。

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 これらの池の一つに掛かる月見橋と月の道です。月は世界中何処で見ても月は月なんですが、フィリピン海 プレートに浮かぶ小さな珊瑚礁の島から見ていると思えば、何か不思議な感じがします。「今自分の居るところ が世界の中心」と言う有名な言葉が有ります。これは認識の主体の存在(各自各々)を意味する場合と、日常 生活の基盤が何処に有るかを指す場合の二通りの解釈が出来ると思います。旅人にとっては、非日常の空間 に認識の主体が有る訳ですから、同じ月でも何か違った感慨を持って見る事になるのでしょう。

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 「ヤシの木陰に十字星」てな写真を撮りたかったのですが、オリオン座で我慢して下さい。

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南大東島の港

2007年06月22日 | 島旅:南大東島

 南大東島の海岸風景はだいたいこんなもんで、砂浜は無い。水深2000mの火山島の頂上に出来た環礁で あるから、当然と言えば当然である。裾礁や堡礁の様に水深の浅いイノー(礁池)の部分が無いので、外洋の 波は直接海岸に打ち寄せる。

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 西港の岸壁であるが、水深が深いため防波堤を築くことが出来ない。船を着岸させると岸壁に打ち付けられ るため、岸壁から少し離れて停泊し、物資は元より乗員乗客までもクレーンでつり上げ上陸する。

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 北港に打ち寄せる波、特に海が荒れているわけでは無いがこのとおりである。よほどの凪でないかぎり、使 用不可能。台風が近づけば、数十mの波しぶきが上がるそうです。この時は打ち付ける波によって、島全体が 揺れ地震計の針が振れるとのこと。画面右端に写っているのが8km先の北大東島です。

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南大東島の石灰岩

2007年06月21日 | 島旅:南大東島

 南北両大東島は100%石灰岩から出来ており、その厚さは413mまでは確認済みですが1000m以上は有る だろうと推定されています。石灰岩は何種類かに分類されますが、大部分は下部層の古大東石灰岩です。こ れは南大東島北部の古大東石灰岩の露頭です。

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 間近で見るとサンゴの化石を残していますが、大部分は白色の結晶質石灰岩です。ガサガサした感じの琉 球石灰岩とは明らかに異なり、より古い時代の堆積物であることが解ります。

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 この古大東石灰岩の露頭には、レインボーストーンと呼ばれる縞状の石灰岩が所々に含まれています。空 隙や割れ目に炭酸カルシュウムが沈積したものです。島北部の切土のり面によく見られますが、島外持ち出し禁 止とのこと。ビジターセンターである島まるごと館に、キレイに磨き上げたレインボーストーンが飾ってありまし

た。

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 実は2~3日前に長万部町に有る二股ラジュウム温泉へ行ってきましたが、すっかり様変わりしてしまい昔 の面影はありませんでした。ここの石灰華の断面は、レインボーストーンと瓜二つです。もっとも成因こそ違え、 同じ炭酸カルシュムですからね。

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南大東島の鍾乳洞

2007年06月20日 | 島旅:南大東島

 南大東島には大小120もの鍾乳洞が有ると言われている。これはその中で一般に公開されている星野洞 (星野さんの畑の中に有るのでそう呼ばれている)です。沖縄本島や石垣島で見た鍾乳洞と比べれば、ここが最 も美しい鍾乳洞であった。鍾乳石の色が白く、形も多様性に富んでおり、洞内全てが鍾乳石・鍾乳管・石筍など で埋め尽くされている。琉球石灰岩よりも時代の古いことが伺える。

 ここの鍾乳洞はめったに観光客が来ないとみえて、受付で入館料800円を支払うとカセットテープを渡され、 入り口まで案内され洞内の電気を点灯してくれる。洞内の所々には番号札が張ってあり、番号順に説明のテ ープを聴きながら一巡するシステムになっている。テープ通りに回るとかなり急がされるが最後に「お帰りはもう 一度ごゆっくりとご覧下さい」だって。洞内の気温は23°であるが湿度100%のため汗ダクになる。

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 道路の切土のり面にはこんな「小乳洞」も有る。

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