今日で2005年も終わり。サラリーマン生活が長かった私にとって、暦年の変わり目は実
生活上あまり意味が無く、会計年度である3月31日が実質的年代わりであった。でもここ
は日本人、明日の夢は、一富士二鷹三茄子としておこう。
先ほど藤原正彦の「国家の品格」を読み終えた。今売れている本だそうだが、理由が良 く解った。①講演記録をもとに書いたもので、話し言葉で読みやすい(二時間で読んでしま った)②専門家にありがちな難しい用語を使用していない(著者は数学者)③欧米批判を 適度に組み込み、読者の気持ちをスカッとさせている④何よりも、日本人の気持ちの奥底 に眠っていた「日本人的な物」に訴えている。著者が、日本人として失った物、故に失った 国家の品格、としているそのものである。これは、随筆などで用いられる「ある、ある、ヘ ー」の法則をうまく利用している。さすが蛙の子は蛙である。
藤原正彦氏は、新田次郎の息子だそうであるが、顔写真を見て驚いた。息子と言うより は、本人のクローンである。まさにウリ二つ。
第二章の「理論」だけでは世界は破綻する、では数学理論により実に理論的に説明して いる。つい数学者の本音が出てしまったようで、ちょっと笑える。
この本の内容は、今世界的に湧き起こっている反グローバリズム≒反米運動を、日本 人の視点から解説したものと受け止めた。したがってこれと同じ論調は、各文明・各民族 毎に複数存在する。著者が最後に「この世界を本格的に救えるのは、日本人しかいない と私は思うのです」と締めくくっているが、数学者にあるまじき理論の矛盾に陥っているよ うな気がするのは、私だけでしょうか?