![]() | 異形の日本人 (新潮新書) |
上原 善広 | |
新潮社 |
【一口紹介】
◆内容(「BOOK」データベースより)◆
虐げられても、貧しくとも、偏見に屈せず、たくましく生きた人たちがいた。
哀しい宿命のターザン姉妹、解放同盟に徹底的に弾圧された漫画家、パチプロで生活しながら唯我独尊を貫く元日本代表のアスリート、難病を患いながらもワイセツ裁判を闘った女性、媚態と過激な技で勝負する孤独なストリッパー…社会はなぜ彼らを排除したがるのか?
マスメディアが伝えようとしない日本人の生涯を、大宅賞作家が鮮烈に描く。
【読んだ理由】
「日本路地を旅する」の著者の作品。
【印象に残った一行】
二十一年ぶりの再会も、初めは他人の目もあって気丈に振舞っていたが、部屋を出た途端、ヨーコの瞳から滂沱と涙があふれた。廊下のベンチに座ったまま、ヨーコは静かに嗚咽をこらえながら泣いていた。私は持っていたハンカチを出して渡した。
子は親を選べないけれど、与えられた決して平凡とはいえない環境のでできるだけ真っ直ぐに生きてきた。一人の女の横顔だった。狂気と正気の狭間で、綱渡りをするかのように生きてきたのだ。私はヨーコのために涙を流した。
【コメント】
落語好きの私には第六章 皮田藤吉伝ー初代桂春団治が興味深かった。

