紫草の・・・巻一・二一 天武天皇
紫草の・・・巻一・二一 天武天皇
「紫草の にほへる妹を 憎くあらば 人妻ゆゑに われ恋ひめやも」
校訂原点(漢字)
「紫草能 尒保敝類妹乎 尒苦久有者 人嬬故尒 吾戀目八方」
現代語訳と解説
「紫草のように美しいあなたが憎かったら、あなたは人妻だのに、どうして恋いしたうことがあろう」
額田王への想いを歌ったのは、天武天皇です。
巻一の二〇「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」。額田王のこの歌に応えて詠んだのです。
袖を振るのは、愛している証拠。だから、どうしても振りたかった。例え、とがめられたとしても。
人妻であるあなたが憎かったら、私は恋に苦しむことなどない。私があなたを憎んでいると思っているだろうか。それは違う。憎くない、しかしあなたが人妻だからこそ私は恋に苦しんでいるのだ。
人妻を想う歌は数多くあります。しかし、人妻に恋をするのは、万葉時代のタブーでした。越えてはいけない境界線。抑えようとすればするほど、あふれてしまう想いはひそかに、共感されていたのかもしれません。
紫草の・・・巻一・二一 天武天皇
「紫草の にほへる妹を 憎くあらば 人妻ゆゑに われ恋ひめやも」
校訂原点(漢字)
「紫草能 尒保敝類妹乎 尒苦久有者 人嬬故尒 吾戀目八方」
現代語訳と解説
「紫草のように美しいあなたが憎かったら、あなたは人妻だのに、どうして恋いしたうことがあろう」
額田王への想いを歌ったのは、天武天皇です。
巻一の二〇「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」。額田王のこの歌に応えて詠んだのです。
袖を振るのは、愛している証拠。だから、どうしても振りたかった。例え、とがめられたとしても。
人妻であるあなたが憎かったら、私は恋に苦しむことなどない。私があなたを憎んでいると思っているだろうか。それは違う。憎くない、しかしあなたが人妻だからこそ私は恋に苦しんでいるのだ。
人妻を想う歌は数多くあります。しかし、人妻に恋をするのは、万葉時代のタブーでした。越えてはいけない境界線。抑えようとすればするほど、あふれてしまう想いはひそかに、共感されていたのかもしれません。