コロナ対策が示す安倍・菅政権の二つの欠陥~2021政治決戦、何が問われるのか⑤ - 星浩|論座 - 朝日新聞社の言論サイト https://t.co/pFXHdFYEh6
— achikochitei (@achikochitei1) August 12, 2021
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一部引用・・・
8月に入っても感染拡大は収まらず、病床のひっ迫が起き始めている。コロナ失政への批判も強く、菅首相は9月に予定される自民党総裁選と、その前後に設定される衆院の解散・総選挙を控えて、「総裁選出馬か、解散で局面打開か、それとも退陣か」という切羽詰まった局面に追い詰められている。
総裁選にせよ、総選挙にせよ、コロナ対応が最大の争点になるのは明らかだ。だが、安倍・菅政権の一連の対策から見えてくるのは、
①感染症の全体像を把握せず、中長期的な展望を示せなかった、
②アベノマスクに見られるような場当たり的対応が続いた、
③国民の不安や疑問を解消するような発信ができなかった、
などの点だ。
さらに、具体的な政府の対応には、
①初期の段階で感染をチェックするためのPCR検査が進まず、感染状況を把握できなかった
②水際対策の不備が指摘され続けたにもかかわらず、改善されなかった
③感染拡大時に患者を受け入れる病院の態勢が不十分なまま第5波を迎える事態となった
などの問題点がある。
緊急時には適さない霞ケ関の「掟」
政権のこうしたコロナ対応の問題点を明確に指摘する意見がある。政府の基本的対処方針分科会のメンバーでもある小林慶一郎・慶大教授が、水際対策などについて具体的な指摘をしているのだ(『文藝春秋』8月号)。
小林氏によると、厚労省はインド株の流入を防ぐための水際対策の強化に消極的だった。その理由は、「ホテルの手配や宿泊者の管理等すべての業務を、厚労省と検疫所が一手に引き受けており、マンパワーが足りないことが大きなネックでした」という。そこで小林氏らは、国交省の協力を進めるべきだと提言するが、厚労省が受け入れず、「インド株の水際対策は失敗」としている。
小林氏は、「厚労省にしてみれば、そんなこと(国交省からのサポート)になれば仕事を投げ出したと言われかねないので、厚労省から国交省に仕事を依頼するなど、組織のプライドが許さない」と結論付けている。そもそも霞が関の中央省庁には、国民の要請よりも、自分たちの能力や都合に応じて政策を進める傾向がある。役所の予算や人員の範囲内で政策を実行し、できないものはやらない。できないからと言って他省庁や民間に応援を頼むのは、官僚として失格という「掟」である。
平時ならこの「掟」にも意味があるかもしれないが、コロナ感染という緊急時には適さない。むしろ、国民の要請を最大限受け止めて政策の全体像を描き、必要に応じて各省庁の協力や民間からの応援も受け入れなければならない。厚労省の動きを見る限り、緊急時の対応ができていないことが、小林氏の指摘で明らかになった