「取り調べ適正化指針」が警察庁から公表されました。公表された文言をそのままの裏を返せば、 このような「取調べ」が日本の各県の警察署でなされていることを、警察と言う国家組織が初めて公に認めたことがわかります。
(1)容疑者の身体への接触 (2)直接・間接の有形力の行使 (3)不安を覚えさせ、困惑させる言動 (4)一定の動作や姿勢を取ることの強要 (5)便宜供与(の申し出)や、その約束 (6)容疑者の尊厳を著しく害する行為 (7)警察本部長や署長に無断で行う一定時間外の取り調べ」
この公表も富山県警の強姦事件の冤罪や鹿児島県警の選挙違反(取調べに踏み絵強制などがあった)の冤罪に危機感を抱いた国家公安委員会の是正勧告
(なんと委員会の創設以来始めての勧告とか)を受けて出されたものです。
日本の官庁組織は内部からの自浄改革はまずありえませんが、このような外圧があっての適正化指針の公表には、警察本庁の幹部たちはハラワタが煮えくり返っていると思います。
国家公安委員会にしても、事を荒立てたくなかったのが本音でしょうが、富山と鹿児島の県警の手口があまりに荒っぽすぎて、さすがに見過ごす訳にはいかなかったということでしょう。
もっと言えば取調べの可視化(全てビデオで記録する)の動きが力を得るのを阻止するためかもしれません。
もう主要国では取り調べは殆どがビデオに記録されることが実施されています。(勿論国民の人権を認めているとは見えないロシアと中国は別ですが)
ところで、日々国民の安全のため奮闘している前線の警官と事を構える気は毛頭ない人が99%でしょうが、
言葉の行き違いや思いがけないことで突然逮捕され留置場へ入れられることはないとは言えません。
そんな事態に備えて、このHPから「取り調べを受ける心構え・・もし突然逮捕されたら」をダウンロードして熟読しておいたらどうでしょう。
逮捕されたら国選弁護士など法治国家に備わるありとあらゆる手立てを利用するにしろ、まずは「自分で自分を支える」というのが第一歩のようですから。
「指針」については、実はとっくに「犯罪捜査規範」が警察庁により全警察官に示されています。
わかりますなあ、「ああ、あれは書いてあるだけのこっちゃ。あんなん守ってたら誰もゲロ吐かへんで。
お前らの仕事は、下手人(?江戸時代と違うヤろ)をはよう落とすことやで、わかっとるやろな」なんでしょう。
せいぜい事前に「心構え」読んでおいたほうがいいと思いますよ。
(捜査の基本) 第二条 捜査は、事案の真相を明らかにして事件を解決するとの強固な信念をもつて迅速適確に行わなければならない。 2 捜査を行うに当つては、個人の基本的人権を尊重し、かつ、公正誠実に捜査の権限を行使しなければならない。 (法令等の厳守) 第三条 捜査を行うに当たつては、警察法 (昭和二十九年法律第百六十二号)、刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号。以下「刑訴法」という。)
その他の法令および規則を厳守し、個人の自由及び権利を不当に侵害することのないように注意しなければならない。 (関係者に対する配慮) 第十条 捜査を行うに当つては、常に言動を慎み、関係者の利便を考慮し、必要な限度をこえて迷惑を及ぼさないように注意しなければならない。
そういえば「会社のエライさんは、あない言うとるけど、オレはオレのやり方で仕事するからな。わかってるやろな、阿智胡地亭!」という上司がかなりおりましたゎ、会社時代ですが・・。
なんぼ紙に書いたのが出ても、結局は現場のオヤカタがその気になるかどうかに全ての運用はかかっている!
警察庁本庁のエライさんたち、これから「適正化指針」を本気で全国の捜査部門の全中堅幹部と前線の全警官に遵守させる覚悟はありや。
文書で指示出したから自分らの仕事は終わりではネエ。
警察庁のまとめた「適正化指針」は、取調官に対し、供述の信用性を疑わせる原因となりかねない言動を「監督対象行為」として禁じた。
深夜や長時間の取り調べも原則禁止し、中でも「午後10時~午前5時」「1日8時間超」は、本部長か署長の事前の承認を必要とすることにした。 指針が守られているかをチェックするため、総務部門に設ける監視・監督部署は、定期や抜き打ちの調査を行い、不適切な行為が見つかれば、取調官を代え、指導や懲戒処分の対象にする。 外から状況を点検できるように全取調室1万余に透視鏡を設置。容疑者や代理人弁護士らから苦情を受けた場合も、監視・監督部署が調べるとしている。
同庁は「取り調べの監督は体制の整った都道府県警から順次始めたい」としている。 一方、指針策定に先立ち、同庁は、両県警の調査結果の精査と聞きとり調査をもとに検証報告書をまとめた。ただ、元被告らは調査対象としなかった。
同庁が捜査過程の検証結果を公開するのは初めて。 それによると、富山県警の捜査の問題点は、アリバイを示す電話の発信記録、犯行現場の足跡、凶器の特定など証拠に基づく捜査が不十分だった▽容疑者を特定する際に被害者証言を過大評価した▽自白の真偽についての検討を慎重にすべきだった▽幹部の捜査指揮が不十分だった、とした。 そのため、男性が犯行時間帯に自宅から兄宅に電話をかけた記録を得ていたのに、気づかずにアリバイを見逃した。また、脅しに使った刃物の種類が被害者証言と違っていたという。自白に頼りすぎたことなどが原因とした。 鹿児島県警の問題点は、長期間・長時間にわたる追及的・強圧的な取り調べや捜査員の不適切な言動▽供述の信用性の検討などが不十分▽本部長や志布志署長らの指揮監督が不十分、を挙げた。 任意の調べが最長1日13時間40分(休憩を含む)に及んだり、10日間続いたりした人もいたと指摘。体調不良の人を簡易ベッドに寝かせながら調べたりしたという。
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