阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
  1942年生まれが東京都江戸川区から。

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2023年01月16日 | ある日のランチ

 

 

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戦争を知らない軍国少年たち

2023年01月16日 | 「過去の非日乗&Shot日乗」リターンズ
2010年09月21日(火)「阿智胡地亭の非日乗」掲載

♪ 尖閣諸島の中国漁船衝突問題が起きると、NHKは中国政府は丹羽大使を深夜零時に「呼びつけた」とニュースで放送し(後に呼んだと言い換えた)、

また外務省高官は「中国の態度は無礼だと発言した」とマスメディアが新聞テレビで報道した。

そして折りも折とて、自衛隊の定員増の計画が出てきた。

官僚とマスメディアのいつもながらのタッグチームが、新しいプロジェクトを静かに起動したのだろうか。
 
 ところでNHKさんの考査室が、しっかり機能していることがわかっていささかほっとしたが、ニュース部門の責任者を「呼びつけて」なぜ公共放送が対外関係ニュースでこのような、

下世話な用語を使ったのかしっかり調査するべきだ。

下野新聞から引用開始・・防衛省が流動化する東アジアの安全保障情勢や国際テロ、災害への対処能力を向上させるとして、

陸上自衛隊の定員を現在の15万5千人から16万8千人へ1万3千人増やす方向で調整していることが分かった。

複数の防衛省、自衛隊関係者が19日、明らかにした。

年末に策定する新たな「防衛計画の大綱」に盛り込みたい考えで、来年度から増員すれば1972年度以来、38年ぶりの規模拡大となる。

 定員増は陸上幕僚監部の強い意向を踏まえ、防衛省内局で検討。陸幕は日本近海での中国海軍の動きの活発化に伴い、

中国沿岸から距離的に近い南西諸島での島しょ防衛強化が特に必要と説明。天然ガスなど東シナ海の資源獲得をめぐる日中摩擦も生じており、政府、与党の理解が得やすいと判断したようだ。

 具体的には、中国が領有権を主張する尖閣諸島(沖縄県石垣市)への対応を視野に、防衛態勢が手薄とされる同県の宮古島以西への部隊配備を検討。

沖縄本島の陸自部隊は現在約2千人だが、これを2020年までに南西諸島を含めて2万人規模とする構想も浮上している。・・引用終わり

♪ これからますます、村木元厚生労働省局長裁判報道のように、戦前と変わらないお上のご意向に沿ったマスメディアの報道が増加するような予感がするが、

内橋克人さんの以下の体験などに軸足を置いて抵抗力を保持していく。

 今週中でNHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」が終わるが、水木しげるの「総員玉砕せよ」はつい最近この列島に住んだふつうの「くにたみ」の出兵と戦闘の実態記録として貴重な本だ。

ご一読を勧める。

「いまこの時代に」   内橋克人

「わたしのふるさと神戸は二度の大空襲と空前の大震災に撃たれた。戦争とは火塊の下を逃げまどうことであり、爆風に吹き寄せられタール色した屍の間を縫って走ることであり、

わたしの身代わりのようになって焼夷弾の直撃に逝った女性の魂に詫び続けることのほかに戦後もなかった。

 木造家屋の密集する神戸の市街地に米軍が降らせた焼夷弾は、油脂に水素を添加させた集合焼夷弾と呼ばれる新型のもので、

おびただしい数の市民を手際よく火焔地獄のただなかに追い込んで殺戮した。B29一機で三千八百四十発をばらまき、一発の親弾はさらに四十八発の子弾となって飛び散った。

子弾には火を噴く麻製のリボンがつけられており、広範囲にヒラヒラと舞い降りては、焼夷弾の直撃を免れた家屋までも焼き尽くした。

敗戦後、まだ中学一年生に過ぎなかった少年のわたしが、アメリカの持ち込む文化、教育、それを受けて教師らの口にする新規な言葉、

そのすべてに違和感を抱き続けたのは、敵国市民を殺戮する彼らの手法の余りの残虐性をこの目の奥底に刻んだからだ。

 昭和二十年三月十七日未明の空襲では、まず一機飛来した敵機が照明弾を投げ、次にとりかかったのが、街の北側、すなわち山裾に沿って真っ先に焼夷弾の雨を降らせることだった。

人びとの逃げ道をふさいでおいて次に海側の攻撃に移った。無防備、無抵抗の市民は北と南から火焔の挟み撃ちに遇い、雪崩をうって街の中心部に吸い寄せられた。

それを待って最後にその中心街に焼夷弾の雨を降らせた。戦後の教室で、長い間、わたしは民主主義というかけ声に和することができなかった。

* ***************
 ジョン・ダワー著『敗北を抱きしめて』(岩波書店刊・三浦陽一 高杉忠明訳)にアメリカによる日本爆撃の様相が記述されている。

 「首都の中でも貧民層の住居や小規模な商店街や町工場は徹底的に破壊されていたのに、高級住宅街の金持ちのための家は多くが焼けずに残った」

「アメリカの空襲は、日本に存在する上下関係をそのまま肯定したかのようであった」

 神戸においてもなぜ山の手に家々が残り、なぜ海沿いの下町が破壊されたのか。ジョン・ダワーによれば、戦争終結後、日本占領に有効な施設、

リトル・アメリカをつくるのに便利な東京の金融街、あるい占領軍の将校らが住まうための高級住宅、そして発電・水道施設などが空襲の対象外にされたという。

 戦中、アメリカのマスコミが日本人を指して最も頻繁に使った呼び名は「猿人間(monkey-men)」というものであり、それは米軍用ハンドブックでも使われていた。

ドイツ・ナチズムは成熟した西欧的社会に巣食ったガン細胞であるのに対し、日本のそれは文明にも達しない奇妙なナショナリズムとみなされた。

 いま、アメリカ主導の「世界市場化」にとって最大の障害物は厳しい戒律を持つイスラムの世界である。そこでは利子・利息の概念は禁じられ、

人は「正当な労働の報酬」以外、受け取ってはならないとされる。

 巨大なマネーがマネーを生む「マネー資本主義」の汎世界化を目指すアメリカにとって、イスラムが脅威でないはずがない。

イラクで進んでいる「事の本質」は民主化ではなく市場化というべきであり、米軍はその手始めを飲料水の商品化から始めた。

 事実はフランスのNGOが世界に伝えている。その地で、いまどのような破壊が進んでいるか、及ばずながらわたしには察しがつく

原爆、枯れ葉剤から劣化ウラン弾へ。戦争のロボット化、民営化へとアメリカは突き進み、その後を日本が追い縋る。先頭を走っているのは日本の「戦争を知らない軍国少年」たちに違いない。

* **************

 アメリカでは1%の高額所得層が所得全体の40%を独り占めする。あとを追うように日本でも、その所得格差の大きさを示す数値であるジニ係数が無限に〇・五に接近中だ。

〇・五と言えば上位四分の一の世帯の所得が、残り四分の三の世帯の所得に匹敵する状態を意味する。

 日米に共通する最大の特徴は「所得格差」拡大テンポの余りの速さなのである

 アメリカにおいてイラク派兵の米兵のうち、上下両院議員の子息は一人しかいないという(マイケル・ムーア)。

フリーランチ・プログラム(無料給食)の施しを受けていたもの、さらに移民の子息が圧倒的に多い。

 戦後日本を貫いた戦争放棄の思想は尊重されることのなかったわたしたちの命の代償として戦い取ったものだったのであり、

「乏しきを憂えず、等しからずを憂う」の精神を岩盤としていた。南を含む世界はその日本に学ぼうとした。

 日米同盟が重要というが、同盟こそは互いへの尊重を欠いてなり立つはずがない」

 西日本新聞2004年8月13日掲載より

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