吉野源三郎が書いた「君たちはどう生きるか」は中学生時代に読んだことがあるが、その書名とこの映画は内容に全く関係なかった。
ただ母親がかって主人公(宮崎?)に勧めた本と言うことで映画の中に一瞬登場しただけだった。
事前に予備知識を全く仕入れず、宮崎さんの最新作というだけで映画館に行った。
東宝シネマ錦糸町オリナスでは15時一回きりの上映になっていてこの作品を上映するスクリーン8の観覧者は10数名だった。
見終わった後の感想は
「宮崎さん一人で原作脚本監督をやっているので 好き放題だ。これは隠居した職人頭が自分のかってやりたかったことを
請負注文もないのに集大成としてやってしまった道楽作品だ」ということだ。
だから筋書きを追っても主題を追っても無駄だ。
「壮大で大胆でスピーデイで目まぐるしく美しい画面は宮崎アニメーション作品が作った極限のワザをこれでもかと見せつける」そういう映画だと思う。
私はこのおそらく宮崎さんの最後の監督作品で彼はそれまでやってきた「道楽」の最終仕上げをやったと思う。
そう言えば「道楽」とは面白い字面だ。「道を楽しむ」と書くのだから。
今書きながら宮崎さんは異才ではなく 天才職人だと思った。
映画を見終わったいま一つだけしかし宮崎さんのメッセージを感じた。「悪意を持つ人間になるな」だ。