孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

”きょら島”奄美を去る

2009-01-11 22:04:07 | 身辺雑記・その他

(4年余り暮らした奄美を去る飛行機から眺める“きょら島”)

今日、職場の事情で、奄美のアパートを引き払い鹿児島・川内の自宅へ一旦もどりました。
明後日、新しい仕事場の宮崎・五ヶ瀬町(阿蘇も近い山奥の町です)に向かいます。

昨夜からの荷造りで疲れた体を飛行機のシートに沈め “きょら島(美しい島)“奄美を眼下に眺めました。
もちろん一緒に仕事をした人への思いはありますが、正直なところ、それ以上の特別な感慨はありませんでした。

別に島での暮らしに不満があった訳でもありません。
特に自分から希望してという訳でもありません。

ただ、人との付き合いが少ない私の場合、地縁・血縁の濃い島にあっては、結局、部外者・旅人の立場を超えることはなかったということでしょうか。
海外への旅行や、海外の話題を扱った毎日のブログに夢中になって、島への視線が深まることもなかったこともあるかも。

旧盆の日、墓参りに集まる大勢の島の人達、若い人、子供、年寄り・・・を見ていて、よそ者がうかがい知ることができない土着の世界があるのを感じたこともありました。

まあ、そうした世間・地域との希薄な関係は、今に始まったことではなく、これまでも同じです。
故郷の鹿児島、そして広島、東京、金沢、長野など移り住んできましたが、大体において、今回同様淡々としたものでした。
“故郷”というのも、確かに慣れ親しんだ気楽さはありますが、それ以上の特別なものでもありません。

ですから、島の地縁・血縁が・・・ということではなく、やはり私自身の生き方の問題です。
おそらく、これからもそんな日々を送るのでしょう。
とにかく、今日は少し疲れました。
自宅のこたつで横になり、ぼんやりとTVでも眺めていたい気分です。
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イスラエル  圧倒的国民が軍事作戦続行を支持

2009-01-10 17:52:46 | 国際情勢

(イスラエル軍によるガザの学校攻撃によって死亡した犠牲者を悼むパレスチナの人々 “flickr”より By PRIMAVERA®
http://www.flickr.com/photos/primavera2000/3181144762/)

パレスチナ・ガザ地区での軍事衝突に関して、アメリカの棄権はありましたが、とにもかくにも国連安全保障理事会は8日夜、停戦要求決議を採択しました。
アメリカは賛成する意向を示していましたが、採決直前にライス国務長官に(棄権するよう)新たな指示が入ったとか。【1月10日 産経】
棄権したライス米国務長官は採択後の演説で、米国は決議の趣旨や目的には賛同するとしたうえで、「エジプトによる調停の結果を見てから判断したかったため、棄権した」と述べています。よくわからない言い様ですが、国際社会とイスラエルの間で板ばさみ状態にあるようです。

しかし、イスラエル・ハマス双方ともこの受け入れを拒否しており、戦闘は続き、犠牲者は増え続けています。
そんななか、軍事的に圧倒的優位な立場にあるイスラエル軍への批判が強まっていますが、イスラエルの国内世論はまったく別のようです。

****停戦拒否、世論が後押し=9割超がガザ軍事作戦支持-「壊滅」に恐怖・イスラエル****
パレスチナ自治区ガザで大規模な軍事作戦を展開するイスラエルは9日、国連安全保障理事会の停戦決議を「役に立たない」(オルメルト首相)として拒否した。背景には、イスラム原理主義組織ハマスのロケット弾攻撃への対処だけでなく、イスラエルを敵視する周辺勢力の「戦略的脅威」に対する恐怖が国民の間で広がり、強硬姿勢を世論が後押ししているという事情がある。

9日付のイスラエル紙マーリブが掲載した世論調査結果によると、ハマスに対する軍事作戦について、ユダヤ人市民の91.4%が賛成。反対はわずか3.8%だった。この極端な世論動向は、2月10日に総選挙を控えるイスラエルの政治家にとって、8日に採択された同決議より圧倒的な重みを持つ。
同国のユダヤ人社会にとっての戦略的脅威とは、特に「イスラエル壊滅」をうたう勢力を指す。南隣ガザのハマス、北隣レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラ、そしてハマスやヒズボラを支援し、核開発を進める東方のイランだ。

こうした中、ハマスが支配するガザに強圧的な対応を取ることに社会は寛容だ。ガザ軍事作戦で、子供や女性多数を含むパレスチナ人犠牲者は、イスラエル側の100倍近いペースで増加しているが、自己批判の声はほとんど聞かれない。 【1月10日 時事】
***************************

6日には、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する避難民が集まる学校が攻撃され40人が死亡する事件がありました。

9日には、下記のような報道もありました。

****イスラエル軍:住民を住宅に集め砲撃…30人死亡 ガザ****
国連人道問題調整事務所(OCHA)は9日、パレスチナ自治区ガザ地区のガザ市近郊のザイトゥン地区で5日、イスラエル軍が約110人のパレスチナ人市民を1軒の住宅に集めた上でそこに複数回砲撃を行い、子供を含む約30人が死亡したと発表した。負傷者が運び込まれた同市のシーファ病院は死者数を32人としている。
OCHAは住宅内にいた半数は子供だったとし砲撃を非難、同病院の救急医療部長も「虐殺だ」と非難している。イスラエル軍は毎日新聞の取材に対し「情報を持っておらず、調査する」とコメントしている。(中略)
砲撃から生き残った主婦、オーラさん(29)が、ガザ市在住の毎日新聞助手に語った話によると、数十人の武装イスラエル兵が4日朝、ザイトゥン地区の一角に固まって住む市民100人以上を、銃を突きつけ1軒の建設中の平屋建て住宅に集め、「動くな。何もするんじゃない」と言い残し、立ち去った。
ところが5日朝、戦車が住宅を砲撃、1発は住宅を直撃し、もう1発は敷地内に着弾した。オーラさんの子供6人のうち2人は死亡。オーラさんと夫は、負傷した他の子供たちを抱きかかえ外へ避難したという。(中略)
赤十字国際委員会は7日、3時間の攻撃停止時間中に初めて同地区に入り、3軒の住宅で15体の遺体を発見、負傷者18人を含む生存者計30人を救出した。しかし、同地区内には依然として相当数の死傷者が取り残されたままとみられる。【1月9日 毎日】
*************************

そのままは俄かには信じがたい記事で、書かれていること意外に、何か別の事情・要素もあると思われます。
しかし何か事情があったにせよ、6日の学校の件といい、上記9日の件といい、多数の市民を犠牲にしている結果において、これを正当化する理由はない非道な行為に思われます。

そうした見方はイスラエル国民には理解されないのもまた現実です。
あるイスラエル国民の「相手が倒れるか、こちらが倒されるか-。これが戦争だ」という声が紹介されていました。

“民主主義”とう価値観が普遍的なものとなった現代では、強権的な、あるいは、一党支配的な政治体制であっても、多くの政権は国民の声、世論、あるいは選挙というものを意識して動きます。
しかし、一旦激高した国民の声というものは往々にして相手を思いやる想像力を欠いています。

こうしたことは、ひとりイスラエルだけの問題ではありません。
“民主的”というものが、はたして私たちを本当により良い方向に導いてくれるものなのか、疑問に感じることもあります。


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パレスチナ・ガザ衝突  ヒズボラは“関与せず” エジプトの“悪夢”

2009-01-09 17:45:34 | 国際情勢

(12月30日、ロケット弾発射地近くでロバ車に乗っていたところイスラエルの爆撃にあい死亡したガザ地区の少年(4歳)の埋葬 “flickr”より By Amir Farshad Ebrahimi
http://www.flickr.com/photos/farshadebrahimi/3159836888/)

【生命線のトンネル】
パレスチナ・ガザ地区での衝突は、エジプトの仲介で停戦交渉が具体化しつつあるようです。
イスラエル軍は7日夜、境界の地下に掘られたトンネルを狙った攻撃を強めており、停戦の流れが固まる前に最大限、密輸基盤を破壊しようとの思惑とか。
エジプト側への国際部隊の配置のほか、境界一帯に水路を建設したり、コンクリート壁を地中深く埋め、ガザ・エジプト間を遮断する案も検討されていると報じられています。【1月8日 毎日】

トンネル網の破壊に使われたのが、正確な攻撃能力を誇る米国製のスマート爆弾だそうで、イスラエル議会は昨年9月の段階で、最大で1000基のSmall Diameter Bombs(SDB)『GBU-39』を米国から購入することを認めています。
【1月6日 WIREDVISION】

これまでは“ガザ封鎖”と言いつつも、エジプト側からの大小さまざまなトンネルがあって、武器弾薬だけでなく、市民の生活物資の輸送ルートともなっていました。
今後、このトンネルが機能しなくなると、文字通りの“封鎖”状態となって、これまでも厳しかった生活が食料・医療など、本当に窒息状態になってしまうのではないでしょうか?

【冷静なヒズボラ】
昨日の記事で目についたのは、レバノンのヒズボラとエジプトの動向。
パレスチナ、周辺国ではイスラエルの侵攻に激高し、自らも武器を手にとろうとする若者などの様子が伝えられていますが、イスラエルと激しく対立しているヒズボラは比較的冷静なようです。

*****イスラエルにロケット弾攻撃、レバノン国境でも交戦状態*****
イスラエル軍によると、レバノン国境に近いイスラエル北部ナハリヤに8日朝(日本時間同午後)、少なくとも2発のロケット弾が着弾、2人が負傷した。
イスラエル軍は即座に発射元のレバノン南部に対し、砲撃を加えた。パレスチナ自治区ガザでのイスラム原理主義組織ハマスに対する掃討作戦に続き、レバノン国境でも戦端が開かれれば、イスラエルは南北2正面の交戦を強いられることになるため、緊張が高まっている。

レバノン南部からのロケット弾攻撃は、12月27日にガザへのイスラエルの軍事作戦が始まってから初めて。
2006年夏のレバノン紛争では、レバノン南部を実効支配するイスラム教シーア派組織ヒズボラが多用した戦術だが、ヒズボラは今回の攻撃について「関与していない」と否定した。同国のミトリ情報相がAFP通信に明らかにした。在レバノンのハマス幹部も8日、攻撃を否定した。【1月8日 読売】
*************************

レバノン国境も緊張云々より、ヒズボラがこの機に「関与していない」と静観を崩していないことに目がいきました。
ヒズボラとしてもイスラエルと事を構えることは組織の存亡をかけた行為となりますので、そうそう一時の感情で動くわけには行かないということでしょうか。
その冷静さは事態の不拡大には好ましいことです。

【沈静化を望むエジプト】
一方、仲介に乗り出しているエジプトには、これ以上ハマスに騒いでほしくない国内事情があります。
エジプト国内にはムスリム同胞団というイスラム原理主義組織があって、事実上の最大野党勢力です。
宗教政党が禁じられているため非合法化され、無所属で立候補する形をとっていますが、近年の世界的イスラム運動の高揚を受けてエジプトでもその影響力が増しており、ムバラク政権を脅かす存在となっています。
ハマスはもともと、このムスリム同胞団から派生した組織ですから、ハマスの活動が活発化すると、エジプトのムスリム同胞団の活動も刺激されることになります。

*************
停戦案を提示したムバラク・エジプト大統領はハマスに対し、「停戦の実現にはロケット弾攻撃の停止が不可欠だ」と説得を続けている。その最大の理由は、パレスチナ自治区の分断が固定化することへの懸念だ。
米国のボルトン前国連大使は最近、「ガザをエジプトに、ヨルダン川西岸をヨルダンに戻す」とのパレスチナ分断策を提唱した。ハマスはエジプトのライバル・イランと関係が深く、国内の「野党勢力」ムスリム同胞団の流れをくむ。そのハマスが支配するガザをエジプトが抱え込むことは「悪夢」と言える。
エジプトにとって、停戦の仲介は第1段階にすぎず、アッバス議長の出身母体ファタハとハマスの和解をどう実現させるかに真の関心がある。 【1月8日 毎日】
**************

普通は領土が手に入ることは歓迎されることですが、上記のような事情で、エジプトにとってはハマスの温床となっているガザ地区を押し付けられることは“悪夢”とのことのようです。
なんとしてもガザが沈静化し、ハマスとファタハが和解して情勢が落ち着くことが、エジプト・ムバラク政権にとっては最優先される事項です。


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ウクライナ・ロシア:ガス戦争  プーチン首相周辺の権益関与?

2009-01-08 19:47:24 | 国際情勢

(よくわかりませんが、ウクライナとロシアの兄弟関係を記念したモニュメントのようです。今もこうしたものがあるのだろうか?とも考えたのですが、親欧米のユーシェンコ大統領に対し、ウクライナ国内には親露派も多いと聞きます “flickr”より By tgraham
http://www.flickr.com/photos/tgraham/2702255576/)

(引越し、業務引継ぎ等でここしばらくは大忙しのため、気になった記事を簡単に紹介するだけにします。)

ロシアのプーチン首相は「ウクライナが欧州向けガスを抜き取っている」として、ウクライナ経由のガス供給削減を指示していましたが、ウクライナ国営天然ガス企業ナフトガスは7日、ロシア側がウクライナ領内のパイプラインを経由した欧州向けのガス供給を完全停止したと表明しました。

EUはガス輸入の4分の1をロシアに依存し、うち全体の2割にあたる8割がウクライナを経由しています。
今回の価格交渉決裂・ウクライナ経由ガス停止で、EU加盟国27カ国のうち、17カ国に影響が広がっています。
特に、オーストリア、チェコ、ルーマニア、スロバキアなど少なくとも11カ国でロシア産ガスの供給が完全停止となっています。なお、ロシアはベラルーシや黒海経由のガス供給は増量して対応しているとしています。

ガス供給量大幅低下の影響は独、仏、伊にも及んでいますが、06年のロシアとウクライナの同様のガス紛争の反省から3カ国ではそれぞれ数週間~40日間分のガス備蓄があり、今のところ大きな影響は出ていないようです。

ロシアとウクライナのガス価格交渉のトラブルは今に始まった話ではありませんが、背景としては、NATO加盟を急ぐウクライナに対するロシアの牽制、ロシアの周辺国支配意欲に対するウクライナの不信感があることは、連日報じられているところです。
ウクライナの場合、かつてのオレンジ革命の同志であるユーシェンコ大統領とティモシェンコ首相の間で政治的確執があり、ガス交渉を更に困難にしているようです。

いろんな意見のなかには、プーチン首相の周辺の権益が関与しているという見方もあります。

****天然ガス紛争:原因「露首相周辺の権益に抵触」…露専門家*****
ロシアとウクライナの「ガス紛争」は欧州諸国にも波及し、深刻さを増している。両国の思惑や対立の背景について、ロシアのエネルギー問題専門誌「ロスエネルギー」のミハイル・クルチーヒン編集長に聞いた。【モスクワ大前仁】
 --ロシアとウクライナの天然ガス供給をめぐる交渉が決裂した理由は?
ウクライナ側は交渉で、ロシア政府系天然ガス独占企業ガスプロムの周囲に存在する幾つもの不透明な仲介企業を排除するよう求めた。しかし、ガスプロムとこれらの仲介企業は、プーチン首相の周辺が租税回避先として利用しており、ウクライナの要求は機微に触れる格好となった。ガスプロムは仲介業者を排除するのならば、ウクライナが従来の割安な価格でなく、欧州並みの価格を支払うべきだと通告し、交渉が暗礁に乗り上げた。

 --ロシアがウクライナへのガス供給を停止したのは、グルジア紛争でロシアを批判したウクライナのユーシェンコ政権に圧力をかける思惑もあったのか?
そう思わない。仲介企業を排除しろというウクライナの要求が、プーチン首相周辺の金銭的な権益に抵触したため、ガスプロムが迅速に動いたといえる。

 --両国とも当初は欧州向けの天然ガス供給を保証すると強調していたが、実際は供給の停止や低下が起きている。
ウクライナが欧州向けのパイプラインからガスを抜き取っていると思われる。一方、ロシアが契約通りの分量のガスを欧州へ送っているのかどうかを確認することも難しい。
ロシアは今回、ウクライナ経由のパイプラインの国際的な信用を低下させ、ノルド・ストリーム(ロシアからバルト海経由でドイツを結ぶ)やサウス・ストリーム(ロシアから黒海経由でバルカン半島を結ぶ)など、ウクライナを迂回(うかい)する新パイプライン計画をアピールする狙いがあるのかもしれない。【1月7日 毎日】
************************

“プーチン首相の周辺が租税回避先として利用している仲介企業”の存在が、どれだけ影響しているのかは、さだかではありません。
さだかではありませんが、ロシア最大の権益に多くの関係者が群がっているであろうことは、想像に難くないところです。
まあ、国内の話なら、この種の話の信憑性はある程度推測することもできるでしょうが、なにぶんロシアの話ですから。

いずれにしても、氷点下10~20度の厳冬期を迎えるEU諸国にとっては大迷惑な話で、ウクライナのNATO加盟にも影響しそうです。まあ、それはロシアの期待するところでもある訳でしょうが。

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パレスチナ  イスラエルの学校砲撃で犠牲者多数  映画「イーグル・アイ」の“誤爆”シーン

2009-01-07 16:22:27 | 国際情勢

(12月29日、北部ガザ地区の難民キャンプへのイスラエル爆撃によって、4歳の娘と4人の姉妹を亡くした女性が、葬儀を待ちます。
“flickr”より By Amir Farshad Ebrahimi
http://www.flickr.com/photos/farshadebrahimi/3158999711/)

【ハマスのメンバー2人】
イスラエルのガザ侵攻に関して、多くの市民が避難していた国連運営学校への砲撃による大きな被害が国際的非難を呼んでいます。

****イスラエル軍「迫撃砲への反撃」と説明 国連学校攻撃で*****
パレスチナ自治区ガザを攻撃しているイスラエル軍は6日夜(日本時間7日未明)、ガザ北部の国連運営学校を砲撃して多数のパレスチナ人が死亡したことについて、「イスラエル軍を狙った迫撃砲が同校から発射されたことに対する反撃だった」と説明した。
イスラエル軍は、5日夜から6日にかけて国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営するガザ北部のジャバリヤ難民キャンプ内の学校やガザ市内の学校など3校を砲撃し、AFP通信によると、ジャバリヤの学校で43人が死亡するなど計48人が死亡した。学校は逃げ場のないガザ住民の避難場所で、ジャバリヤの学校には約350人、ガザ市の学校には400人以上の避難者がいた。
イスラエル軍が発表した声明によると、この攻撃による死者の中にイスラム過激派ハマスのメンバー2人が含まれていたとしている。

パレスチナ自治区担当のゲイラード国連人道調整官は6日、声明で、国連がイスラエル軍によるガザ攻撃前から、イスラエル当局にガザ地区内の国連施設の位置を知らせていたことを明らかにし、「150万人近い住民が戦闘にさらされているが、安全な避難場所はどこにもない」と危機感をあらわにした。
また、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は6日、ニューヨークの国連本部で学校攻撃について「全く受け入れられない」と強く非難した。
6日現在、UNRWAはガザ地区内に23カ所の避難所を開設し、1万4千人以上のガザ住民が避難している。 【1月7日 朝日】
***********************

昨日のブログでも書いたように、今回衝突の原因としてハマスのロケット弾攻撃があり、ハマスのような共存を否定し武装闘争に固執する勢力がガザを実効支配する状況を変えていかないと、今後のパレスチナに安定的な平和はないと考えます。
そのために、今回のようなハマスの軍事力をそごうとする行動は、心情的に理解はできるが、ただ、方向としては逆ではないか・・・といったことを昨日書きました。

それはともかく、どういう立場に立つにしても、記事のような攻撃は“過剰”なものと非難されるべきでしょう。
43人の死者の中でハマスメンバーが2名・・・
常識的な感覚では“残り41人の死は何だったのか?”という問いかけになりますが、およそ戦い・戦争という場では、こういうこともあるのでしょう。

【“誤爆”ということ】
先日の正月はタイを旅行していましたが、帰国のフライトで、映画「イーグル・アイ」の最初のほうを観ました。
映画冒頭で、アフガニスタンらしきところで行われる米軍の“誤爆”によって民間人が犠牲になるシーンがあります。
長年探し求めていたテロリストが表の世界に現れたのを把握した米軍は、無人飛行機の赤外線装置だとか、携帯電話への進入による音声確認などで本人かどうかの識別を行おうとしますが、コンピュータ解析では本人確率は51%と低く、作戦回避が指示されています。
テロリストと疑われる人物は大勢の市民と一緒に葬儀に参列しています。
このテロリストを捕らえる機会は2年に1回ほどです。

国防長官のもとへ大統領からの電話。
長官「参謀本部は攻撃したがっていますが、本人確率が低くシステムからは作戦回避が指示されています。」
大統領「君はどう思うのだ?」
長官「・・・市民の犠牲者が出ないようにすべきだと思います。」
大統領「しかし、彼が本物なら、アメリカ国民に今後犠牲者が出る。」

上のようなやり取りの結果、作戦が決行され、大勢の市民に犠牲者が出ます。
飛行機が目的地に着いたため最初のほうしか観ていないので定かではありませんが、これは“誤爆”だったようで、市民の犠牲に対する復讐のテロ攻撃が行われ、それに対して・・・・という映画のようです。
映画の本筋部分は「・・・」の部分ですが、まだの方は映画をご覧ください。

上記冒頭シーンのようなことは映画の世界の話であり、現実にはありえないことなのでしょう。
ただ、本当の“誤爆”なのか、“はっきりしないが、この際やってしまえ”という意図的な“誤爆”なのか・・・という問題は、現実世界にもありそうな気がします。
繰り返しになりますが、人間同士で殺しあう、相手を殺さないと次は自分が狙われるという戦い・戦争にあっては、それはそういうものなのでしょう。
重要なのは、私たちの世界をそういった状態に持ち込まないこと、そうした狂気の世界に踏み込まないことです。


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パレスチナ  止まぬガザ衝突 和平・共存の道は?

2009-01-06 21:32:13 | 国際情勢

(12月27日、イスラエルによるガザ警察施設爆撃の犠牲者 “flickr”より By Amir Farshad Ebrahimi
http://www.flickr.com/photos/farshadebrahimi/3158999985/)

パレスチナ・ガザ地区へのイスラエル軍の侵攻が続いています。

【フランスの仲介】
フランスのサルコジ大統領が5日からイスラエルやパレスチナ自治区などを訪れ、停戦に向けた仲介を本格化させていますが、イスラエル側は要求を拒否し、イスラム原理主義組織ハマスへの攻撃を継続する考えを示しています。

*******************
AFP通信によると、オルメルト首相はサルコジ大統領の停戦要求に対し、「作戦の成果はハマスのロケット弾攻撃を停止させるだけでなく、攻撃できなくさせることでなければならない。ハマスの攻撃を許容するような妥協案は受け入れられない」と述べた。
 イスラエルのリブニ外相も5日、エルサレムで開かれた欧州連合(EU)外相代表団との合同記者会見で「イスラエルは攻撃されれば報復する。これはテロとの戦いであり、テロリストとは合意を結ばない」と述べ、即時停戦を拒否した。
 一方、アッバス議長はヨルダン川西岸ラマラでのサルコジ大統領との会談にあたり、「ガザ住民に対するイスラエルの侵略の即時・無条件停止」を求めた。サルコジ大統領は会談後、「できるだけ早期の停戦を望む。暴力を止めなければならない」と述べた。【1月6日 毎日】
********************

フランスはイスラエル・パレスチナ双方へのパイプを従来から持っており、政権移行期で動きが鈍いアメリカを出し抜いて中東での存在感を示したい意向とも報じられています。
なお、“フランスは伝統的にアラブ寄りの姿勢で知られ、イスラエルから懐疑的な目で見られていた。だが、サルコジ氏は就任前から親イスラエルの立場を隠さず、イスラエル側から好意的に受け止められていることも、調停役としての期待につながっている。”【1月4日 朝日】

サルコジ大統領は新聞社のインタビューで、イスラエルのパレスチナ自治区ガザへの地上侵攻を非難するとともに、ハマスがイスラエルに対して続けているロケット弾攻撃を受け入れることのできない挑発行為として非難して、停戦の継続を拒み、ロケット弾攻撃を再開したハマスもガザ地区のパレスチナの人々の苦しみへの大きな責任を負っていると述べています。

【アメリカの思惑】
一方のアメリカはイスラエル寄りの姿勢を明確に出しており、マコーマック報道官は3日声明を発表し、イスラエル軍地上部隊によるパレスチナ自治区ガザへの侵攻を米政府として容認する、また、ガザ情勢悪化の原因はハマスにあるとする姿勢を明らかにしています。

アメリカは、今回の戦闘でハマスを一層孤立化させ、イスラエルとパレスチナの2国家共存路線を軸とする中東和平の進展につなげたいとの期待が強いとされますが、“米国のイスラエル擁護姿勢は、アラブ世界などでイスラム過激派が反米世論をあおる口実に利用するのは確実。”【1月4日 読売】とも見られるなかで、不透明な先行きです。

マコーマック報道官は5日の記者会見で、停戦に向け、“イスラム原理主義組織ハマスによるロケット弾攻撃の停止”、“封鎖中のガザ地区検問所の再開”、“ガザ地区への武器密輸の取り締まり”の3条件を示しました。
ブッシュ政権が主張してきた「持続可能な停戦」の具体的内容を明らかにしたもので、ライス長官はこの3条件をもとに、関係国と調整を続けているようです。【1月6日 毎日】

イスラエルはこの機に、ハマスの軍事基盤を一掃したい思惑で、“イスラエル側には、国際社会は「ハマスを弱体化させるためにイスラエルに時間的猶予を与えようとしている」(イスラエル紙ハアレツ電子版)との読みもあり、時間の許す限り軍事的な打撃を与えることを狙っているとの指摘もある。”【1月5日 産経】との報道もあります。

【原因はハマス】
ハマスは“イスラエルの犯罪”を声高に主張していますが、ブッシュ大統領・アメリカが言うように、また、英仏も認めるように、今回の衝突の原因はハマスの停戦拒否・ロケット弾攻撃にあります。

ハマスは、イスラエルのガザ封鎖が解除されないのでと言うのでしょうが、現状が認められないから攻撃するというのであれば、当然に相手も反撃しますので、至るところは今回のような戦闘しかありません。
それも、ガザ住民を巻き込んだ戦闘です。
和平の方向で一歩でも進もうというのであれば、現状をスタート台にするしかありません。

以前も触れたように、そもそもハマスのようなイスラエルとの共存を否定して武力闘争を掲げる組織は、闘いにあってこそ存在意義があり、和平を目指すインセンティブに決定的に欠けていると思われます。
イスラエルとの穏和な関係など最初から考えていません。

こうした組織がガザを実効支配している限り、パレスチナの和平は1歩も進まないことが容易に想像できます。
和平を進めるためには、ハマスに表舞台から降りてもらう必要があります。
そこで、今回のイスラエルやアメリカのハマスをなんとかしたいという思いは心情的には理解できます。

【武力は憎しみと対立を増長させるだけ】
ただ、懸念するのは、今回のような衝突は、たとえ原因がどちらにあるにしても、結果としてパレスチナの人々のイスラエルに対する憎しみを燃え上がらせ、これまでハマスの住民を人質にとるようなやり様に批判的だった人々をも、ハマス支持の方向に追いやってしまう結果になるのでは・・・ということです。

ガザ住民を取材した報道からは、すでにそのような傾向が見受けられます。
こうした流れは、ガザでのハマス支配を強めるだけでなく、ヨルダン川西岸を含めたパレスチナ全体のハマス化を進めることにもなります。
そうなると、パレスチナ和平など永遠に訪れません。

もし、イスラエルが武力でパレスチナを押さえこもうとするのであれば、パレスチナ住民全員を殺害するところまで行かないと抵抗はおさまらないでしょう。
たとえ全員を殺害しても、かつて自分達が経験した民族迫害の加害者になったおののきと、いつどこから復讐の矛先を向けられるかもしれないという不安は、イスラエル自体を呪縛し続けるでしょう。

原因はハマスにあっても、今回のイスラエルの反応は基本的に方向が違うように思われます。
イスラエルの立場にたったとき、向かうべき方向は、圧倒的に優位な立場にあるイスラレルが、ガザ封鎖解除・入植地からの撤退など一方的に譲歩することで、パレスチナの人々とイスラエルの経済的・社会的融和を進めることではないでしょうか。
その融和を阻止しようとするハマスなど武装勢力のロケット弾攻撃やテロなどはしばらく無視することです。

やがて、そうした融和が進めば、パレスチナの人々の中からロケット弾攻撃やテロに対し「余計なことをするな」という声が生まれてくることでしょう。

武力は憎しみの連鎖を生むだけで、その先には和平も共存もありません。


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タイ  スコータイの可愛い空港、再度お坊さんのこと

2009-01-05 14:55:06 | 身辺雑記・その他

(室内のため、画像が暗いですが、スコータイ空港です)

タイ(スコータイ)の旅行が無事終わり、早朝のフライトでバンコクを発ち、現在乗り継ぎの台北空港。
これから福岡に向かいます。(タイから来ると台北は空港内も寒いです。)
空港閉鎖など、心配していたバンコクの政情もなんとか事なきを得ました。
スコータイの遺跡で、数多くの仏様に、この1年の安寧と旅の無事をお祈りしたせいでしょう。
(お祈りが足りなかったのか、パレスチナ・ガザは戦火が拡大しているようですが・・・)

昨日のスコータイからバンコクへの移動はバンコク・エアウェイズ。
ちょっと楽しみにしていたのがスコータイの空港でした。
というのは、この空港はバンコク・エアウェイズのプライベート空港で、他社は利用できません。

スコータイに到着したときにも利用しましたが、おなかの調子が今ひとつで、トイレから出てくると市内への移動の車がスタンバイしており、慌しく空港を離れてしまいましたので、よく観察する時間がありませんでした。

改めて見ると、もちろん小さなターミナルですが、とても快適な空港です。
チェックインのときに胸にランの造花をつけてくれるのが気恥ずかしいところですが、出発ロビーではジュース・コーヒーなどが無料で飲み放題です。
単に機械が置いてあるだけでなく、紙コップに氷を入れてくれる女性がついています。

ロビーの建物は壁のない吹き抜け構造で、屋根には絶えず打ち水が流れているという気配りです。
飛行機へ移動する車も、遊園地で見かけるようなほほえましいものです。
20分ほど遅延することでしたが、そのくらいは気にならない快適さでした。

空港と公道を結ぶ道路も、1km以上にわたり、両サイド3,4mおきにブーゲンビリアでしょうか、色とりどりの花が咲き誇り、見事な眺めです。

もちろんこれらは、近隣都市へ乗り入れている他社便、長距離バスとの競合による営業政策によるものですが。
安価な長距離バスもいいですが、もしスコータイへ旅行する機会があれば、一度検討されるのもいいかも。

昨日のブログで、お坊さんのことを話題にしましたが、空港でもお坊さんは優先搭乗です。
タイの人々がお坊さんを敬うのは結構なことですが、ときにお坊さんの優遇ぶり、それを当然のごとく受け入れる様子には違和感も覚えます。

日本的感覚では、「どうぞお先に」と言われても、「いやいや拙僧は仏に仕える身、皆さんが乗り終えた後のあまった席で結構です。なんなら貨物室でも。南無阿弥陀仏」と言うのがお坊さんではないか・・・と思ってしまいます。

個人の解脱が眼目で、人々はそれを助けることで功徳を重ねることができる上座部仏教と、浅ましくも、愚かしくも生き惑う世の人々の救済を仏に頼み、また、人々を教え導く立場の大乗仏教の違いでしょうが。

スリランカで、地面に座りお坊さんの足元に額づく老女。
ラオスで、現地ツアーの他の客を1時間ほど待たせたあげく、一言の挨拶もないお坊さん。
なんか妙な感じがします。

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タイ  朝市とお坊さん

2009-01-04 11:33:41 | 身辺雑記・その他


タイを旅行中、北部の古都スコータイ5日目。

写真は先ほど朝食に出かけた際に立ち寄った朝市の様子です。
野菜、果物、香辛料、魚、肉、衣類、日用品・・・それらの発する強烈な匂い・・・アジアのどこでも目にする光景です。
時刻は8時頃、大勢の買い物客であふれていました。
昨日、郊外の大型ショッピングセンターを紹介しましたが、こうした伝統的な市場もまだまだ庶民の暮らしを支えるものとして健在です。
ただ、世の中の流れはショッピングセンター的な方向に向かっているように思えます。

タイの人々の暮らしは仏教と濃密なつながりがありますが、上座部仏教のこの国ではお坊さんはとても敬われています。(日本ではそうではない・・・と言うわけではありませんが)
昨日、博物館を見学した際、お坊さん達の一行が入ってきました。
博物館内は撮影禁止ですが、お坊さん達は正面に展示されている仏像の前に整列して記念撮影を始めます。
まあ、規則には例外がつきものですが、お坊さん達はなんでもOKのようです。

撮影後、数人の坊さんがリンガ(男根)とヨーニ(女陰)の展示物の前で立ち止まり、ヨーニのなかをしげしげと覗き込んでいました。
おそらく、仏教とヒンズーの文化的関係について考察されていたのでしょう。

5日目になると特に行きたいというスポットも思いつきませんし、昼過ぎにはバンコクへ移動しないといけません。
これから、再度遺跡公園へ出向いてみやげ物でも探して時間をすごそうかと考えています。
バンコクへ着いたら、伝統的人形劇(日本の人形浄瑠璃みたいなもの)でも行けたらと考えています。

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タイ  賑わう郊外大型ショッピングセンター 進行する新しい生活スタイル

2009-01-03 21:21:10 | 身辺雑記・その他


写真はスコータイ郊外のショッピングセンター“ビッグC”。

タイを旅行中で、北部の古都スコータイ4日目。
郊外の遺跡にソンテオと呼ばれる乗り物(荷物も運ぶ、低料金のトラック改造バスといったイメージ)で移動して、遺跡エリアをレンタサイクルでまわるというスタイルです。

遺跡エリア主要部は公園として整備されており、大勢のタイ人家族連れで賑わっています。
そのタイの人々は殆ど皆、車でやってきます。
日差しの中自転車を漕いでいるのは外国人観光客だけです。

タイなどの熱帯の国々の人は暑さには慣れているのでは・・・というイメージがありますが、当たり前かもしれませんが、彼らも暑い中で汗をかくのは嫌いなようです
(特にタイの人は、“気持ちいい”かどうかが重要な価値判断基準です。)
東南アジアの人はちょっとした移動にも車、バイク、あるいはリキシャなどを使用することが多く、街中で重い荷物を背負って歩いているのも外国人旅行者です。

タイは、日本同様の車社会のようで、レジャーも上述のような感じですが、スコータイのような田舎町でも、住民のショッピングの中心は郊外の大型ショッピングセンターです。
冒頭写真のように、車でやってくる人(車がない人はソンテオなどでやってきます)で店内はごった返しています。
従来からのアジア的市場(マーケット)も存在していますが、市民生活の中心は車を前提にした新しいスタイルに変わっているように見えます。

もちろん、貧困層と中産階級、農村と都市では事情はまったく異なりますから、“タイは車社会”といった言い方は一面的でもあり、誤解を招きやすい言い方でもあります。
GWに旅行したベトナム北部のサパでは、少数民族が多く暮らし、遠方から歩いてマーケットにやってくる・・・そういう世界でした。
タイでも奥地・山岳部にはまだそういう社会もあることでしょう。

いずれにしても、タイでも豊かさを求めた生活スタイルの変化が進行しており、多様な階層が生まれていると思われます。
そうした社会の動きが、現在のタイ政治の混迷の背景にあるのかも・・・などと考えた次第です。

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タイ  元旦の托鉢と来ないバス

2009-01-02 22:58:28 | 身辺雑記・その他


タイを旅行中です。
北部の古都スコータイ3日目。

【元旦の托鉢】
昨日元旦の朝、と言っても9時頃になっていましたが、街に出ると通りに大勢の人だかりがあって、車に乗ったお坊さんがその人達にお祓いみたいなことをしながら向かいの建物に入っていきます。
どうもその建物は僧院のようです。
その後も人だかりは残ったままで、何かを待っているよう。
私も何がやってくるのか待つことにしました。

しばらくするとお坊さん達の一団がやってきます。
托鉢帰りの一行のようです。
托鉢自体は仏教国タイでは珍しくありません。
チェンマイでも見たことがあります。(多分)
ミャンマーやラオスでもよくみかけます。

ただ、この時間、街中で、しかも熱狂的な人々の歓待ぶりからすると、通常の托鉢ではなく、元旦の特別行事のように思えました。
普通のお米などを差し上げる人もいますが、インスタントラーメンとか牛乳パックとかスナック菓子などをこぞってお坊さんが手にしている鉢に入れています。
坊さん達の列に軽トラック2台が伴走しており、鉢がいっぱいになると荷台の米袋みたいなものに引き取ります。

それにしても、インスタントラーメンとかお坊さんも食べるのでしょうか。
厳しい戒律がある上座部仏教ですが、男性は一度は仏門に入るというように、ある意味では俗世間と緊密なつながりがあるとも言えますので、案外食べるのかも・・・。

托鉢の列は長いので、先頭の坊さん達はいろんな物をもらいますが、後ろの坊さんがやってくる頃には、沿道の人達もあげつくして、お米をもらうぐらい・・・といった感もあります。
でも、もらったものは全員で分けますので、別に問題はありません。
もらった者勝ちの俗世間とは違います。

【TIT】
今日も遺跡めぐりで、スコータイから50kmほど離れたシー・サッチャナーライ遺跡に行ってきました。 
バスで遺跡近くまで行き、レンタサイクルを借りて遺跡をまわります。
遺跡はなかなかのものでしたが、その写真などは別の旅行ブログに帰国後アップします。
見物を終えて、スコターイへもどる最終バスを待ちます。
4時ということなので、3時半過ぎぐらいにはバスが止まるところ(バス停の標識なんてしゃれたものはありません)にもどってきたのですが、4時を過ぎても一向にバスは来ません。

もう二人の外国人観光客(一人は日本人)とともに待ちますが、待てどくらせど・・・。
“今日はキャンセルになったのかも。でも、どうやって帰ろうか・・・。タクシーなんてないし・・・。地元の人の車をチャーターとかできるだろうか・・・”など思い悩みながら待ちます。

向かいのレンタサイクル屋のおやじに一人が尋ねたところ、「5時に来る」と言っているとのこと。
(そのおやじも当初は「4時」と言っていたのですが・・・)
はたして、5時を5分ほど過ぎた頃バスが来ました。
タイ語はわかりませんので、どういう事情かは結局わかりませんでしたが、とにかくスコータイへもどれることになったので“やれやれ”といったところでした。

もちろん、日本でも正月休みスケジュールはありますが、スコータイのバスターミナルの職員も、レンタサイクル屋のおやじも「帰りは4時だから遅れるなよ」なんて言っていたのですが。
なんだか適当に予定が変更になり、その情報が周知されない・・・というあたり、“This is Thailand”(TIT)といったところでしょうか。

でも、政情が混乱してまた空港閉鎖なってことになったら、バスの1時間遅れなんてどうでもいいことです。


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