「最後に聴きたい歌」という特集に釣られて、「pen」(CCCメディアハウス発行)という雑誌を買いました。かつては、この種の雑誌で、ジャズ喫茶やライブハウスの特集が組まれることもあったのですが、ターゲットとする世代の交代のせいか、いまやそういう特集は皆無です。今号の「pen」のように、幅広く音楽に着目したものも珍しいような気がします。ウェイン・ショーター作曲の「JUJU」を挙げた方がいたのには驚きました。
WAYNE SHORTER (ウェイン・ショーター)
JUJU (BLUE NOTE 1964年録音)
この曲を挙げたのは、「JUJU」さんという日本人の女性歌手です。「ジャズシンガーを目指しながらニューヨークで生活していた頃、このアルバムをヘビーローテーションでかける時期が何年か続いたんです。」と語っています。JUJUという名前も、この曲からだそうです。ウェイン・ショーターのブルーノート・レーベル2作目で、「JUJU」(魔術)をはじめ不思議なムードの曲が多い、おなじみのアルバムです。
メンバーは、ウェイン・ショーター(ts)、マッコイ・タイナー(p)、レジー・ワークマン(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)。名前を見ただけで、音が聴こえてきそうですが、タイナーとジョーンズが入り、全体を通して聴くと、ショーターの演奏も、コルトレーンに近いような感じもあります。
曲はすべてショーターのオリジナルです。「Juju」、「Deluge」、「House of Jade」、「Mahjong」、「Yes Or No」、「Twelve more Bars To Go」の6曲。「Mahjong」は、マージャンのことですが、4人でやるゲームから、この曲は4小節単位で構成されているということです。「Yes or No」は、タイトルどおり、対照的な明暗が続くイメージです。64年8月の録音ですが、翌9月からは、ショーターは、マイルスグループに参加することになります。
全曲がオリジナルですが、曲と演奏の双方が優れています。ショーター(ts)のフレーズは長めだったり、大らかであったりして、つかみどころがないところがありますが、聴いていると実に気持ちがよい。「House of Jade」は、ジャズスタンダード化してきているようですが、メロディとアドリブが美しくて、最も好きなトラックです。モーダルな演奏が続きますが、「JUJU」や「Yes or No」など聴きどころ満載です。タイナー(p)、ジョーンズ(ds)も熱演しています。
【pen 2015年3月1日号】
JUJU・・・・18歳からニューヨークに渡り、2004年メジャーデビュー。06年「奇蹟を望むなら・・・」がロング・ヒット。その後はヒット曲多数、カバーライブ「じゅじゅ苑」の人気を博す。最新曲は「Hold me, Hold you/始まりはいつも突然に」 (引用させていただきました)