ディスクユニオンから発行されている「JAZZ PERSPECTIVE vol.11 2015年12月号」の特集は、カナダのジャズで、女性歌手の紹介など充実した内容です。ピアニストの山中千尋さんがインタビューして、ジャズ喫茶の店主と対談を行う連載企画の「ジャズ喫茶 極道烈伝」は、横浜のジャズ喫茶「マシュマロ」の上不三雄さんが登場しました。プロデューサーとして100枚近くのアルバムを作ってきただけに、それらの経験を踏まえた発言になっています。マシュマロレーベル制作のアルバム。
CARSTEN DAHL (カーステン・ダール)
BLUE TRAIN (Marshmallow 2004年録音)
デンマークのピアニスト、カーステン・ダール(1967年生まれ)は、最近では「ピアノ協奏曲」などクラシック作品まで手掛けていて、総合的な音楽家といっていい存在になりつつあるようです。バド・パウエルに基礎をおき、キース・ジャレットの影響も垣間見ることのできるピアニストと記憶していたのですが、その実例が、このマシュマロレーベルに録音したアルバムです。
メンバーは、カーステン・ダール(p)、レナート・ギンマン(b)、フランス・リフベアー(ds)。このトリオは、まとまりがあり、リフベアーのドラムスはよくスイングして心地よく、ダールは、伸び伸びとソロがとれているに違いありません。ダールは、はじめ打楽器奏者を目指していたせいもあるのか、リズムへの乗りや、間のとり方がことさらよく感じられます。
曲は、ジャズオリジナルとスタンダードです。「I'll Close My Eyes」、「All The Things You Are」、「Night and Day」、「In A Sentimental Mood」、ジジ・グライス作「Minority」、ジミー・スミス作「Mellow Moods」、「Autumn Leaves」、「What's New」、カーステン・ダール作「Warming Up For Mr.Johfu」、ジョン・コルトレーン作「Blue Train」、「Dear Old Stockholm」、「It Could Happen To You」の全12曲。有名曲が多く、聴き比べもできます。プロデューサーの上不さんのために、ダールが作曲したナンバーも聞き逃せません。
聴いていると元気が出てくるピアノトリオの快作。最初の「I'll Close My Eyes」からノリノリで楽しいことこの上なく、バップ寄りの「Minority」は気迫とスピードが溢れていて思わず引き込まれてしまう素晴らしいトラック。タイトル曲の「Blue Train」は、ためをしっかり作って重々しくプレイし、ブルージーな感じを出しています。他にも、リフベアーのドラムの推進力にも注目したい「All The Things You Are」や、北欧のスウェーデンのメロディである「Dear Old Stockholm」など魅力満載です。
【マシュマロレコード・ジャズ喫茶「マシュマロ」】
ホームページ:Marshmallow Records
【JAZZ PERSPECTIVE vol.11】