お正月は、昔からの愛聴盤を聴いています。新年の聴き初めは、アート・ファーマー(tp)の「アート」(Argo)でした。学生の時に購入したレコードですが、「Goodbye, Old Girl」とか、「Younger Than Springtime」といった曲のメロディを覚え、ファーマーやフラナガン(p)のプレイに心酔したアルバムです。それに続き、日本のレーベルが制作したファーマーのエリントン集を聴きました。
ART FARMER (アート・ファーマー)
TO DUKE WITH LOVE (EAST WIND 1975年録音)
1974年5月にデューク・エリントンが75歳で亡くなり、いろいろなミュージシャンにより追悼の意味も込めて、エリントン曲集が作られました。これもその一つで選曲はファーマーの手になるものと思われますが、僕の好きな曲が多いので、はじめはレコードで、最近ではCDで聴いています。
メンバーは、アート・ファーマー(flh)、シダー・ウォルトン(p)、サム・ジョーンズ(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)。ファーマーの吹いているのは、フリューゲル・ホーンで、トランペットよりも柔らかい音がしています。リズムセクションは、シダー・ウォルトン・トリオというべき、息のあったメンバーで、ファーマーの作品に相応しいサポートを繰り広げています。
曲は、エリントンのナンバーです。「In A Sentimental Mood」、「It Don't Mean A Thing 」(スウィングしなけりゃ意味がない)、「The Star Crossed Lovers」、「The Brown Skin Gal In The Calico Gown」、「Lush Life」、「Love You Madly」の6曲。「Lush Life」だけビリー・ストレイホーン作ですが、それ以外はエリントンの作品です。「The Star Crossed Lovers」の演奏は、トミー・フラナガン(p)にありますが、それほど思いつかないので、うれしい選曲です。
聴けば聴くほどよさがにじみ出てくる上質なアルバム。スロー・テンポのものが多いので、じっくりと耳を傾けました。最初の「In A Sentimental Mood」の暖かく包み込むようなバラード・プレイは、アート・ファーマーの真骨頂だと聴くたびに思います。同様に「Lush Life」もシブい演奏ながら、この曲の気分をすごく現しています。いくらか早いテンポの「It Don't Mean A Thing」は、サム・ジョーンズ(b)の前奏から始まり、ファーマーやウォルトン(p)のソロは快活ですっきりとまとまっています。
【2016年(平成28年)元旦に楽しんだアルバム(すべてレコード)】
有名アルバムばかりです。改めて聴くと、「ART」と「ZOOT」が素晴らしい。一見地味ですが、内容は豊かです。CDも聴きましたが、ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)が弾いたサミュエル・バーバーのヴァイオリン協奏曲がよく、今年は、クラシックも聴きたい年になりそうです。