ホンダの車を使っているので、会社としてのホンダにも関心をもっているのですが、ちょうど「ホンダジェット」という文庫本を書店で見かけたので、購入して読んでみました。著者は、前問孝則(まえま たかのり)さんで、石川島播磨重工(現IHI)でジェットエンジンの設計に20年余従事して退職し、執筆活動をされている方です。
(感 想)
読み始めたら止まらず、短時間で読了したエキサイティングな本です。今まで僕は、「ホンダジェット」は、ホンダがアメリカの航空機大手と組んで合弁で子会社を設立して飛行機を開発、製造していたと思っていたのですが、ホンダ本体の技術者が開発し、事業化もホンダがリスクをとって行っていたので、まずそのことに驚き、開発に加え、すごい決断をしていたのだと認識しました。
1986年に新技術の研究テーマの一つとして、小型ジェット機および小型ジェットエンジンが選択されて、そこから開発の歴史が始まり、本書の大部分は開発のヒストリーです。この研究に、入社3年目の現ホンダエアクラフトカンパニー社長の藤野道格さんが指名されて、次第に中心的なリーダーになっていく過程はスリリングです。
量産まで持って行った過程を読むと、斬新な機体の設計を行った藤野さんの苦悩や活躍ぶりはもちろん、背後で支えたホンダ本体の経営陣の決断など、企業物語としても面白いものです。開発から量産の主なところは、アメリカで行っていて、飛行機に限らずビジネス活動の舞台をどこに選ぶかということは、どの分野でも重要なポイントだと改めて思いました。
非常に丹念に取材し、取材を受けた人の息遣いまで聞こえてきそうな文章が続いて、そういう面でも読み応えのある本です。
【ホンダのホームページからお借りした写真】
とにかくかっこいいですね。遠くからでいいので、一度実物を見てみたいものです。
HondaJetのこだわり
先進設計1
他のビジネスジェットにはない
主翼上面エンジン配置
先進設計2
Honda独自開発の
自然層流翼と自然層流ノーズ
先進設計3
一体で成型する
新たなつくりの複合材製胴体
先進設計4
軽量・コンパクト・高性能
ターボファンエンジンHF120