佐々木譲著「図書館の子」(光文社文庫)が5月に発行されたので、購入して読みました。
表紙
(裏表紙にある本書の内容紹介)
(目次)
「追奏ホテル」だけ「ランティエ」2019年2月号で発表されていますが、あとの5編は、「小説宝石」で、2019年1月号~2020年4月号に発表されたものです。
(感想など)
僕は佐々木譲さんの警察小説や冒険小説のファンですが、まさか、時空を超えて、過去と現代を往き来する者を描いたSFタッチの小説を発表していたとは、知りませんでした。遡るのは、第二次世界大戦前後の時代なので、そのへんが冒険小説と共通していますが、作風の広さに改めて、驚きました。
それぞれの物語は、二重の意味で謎めいていて、読ませます。一つは、現代から過去に行った者が戻れるのかどうかという点、もう一つは、過去の時代で起きたサスペンスに満ちたできごとそれ自体です。著者の物語作りは、上手で、全く飽きません。
特に面白かったのは、「追奏ホテル」(1935年の大連が舞台)と「傷心列車」(1931年の大連が舞台)で、どちらも、街の描写や謎めいたストーリーが見事でした。
(著者略歴)
【佐々木譲ホームページ】