今野敏著「任侠シネマ」(中央公論社 2020年3月刊)が、この4月に文庫化されたので購入しました。
表紙
(あらすじ)
(感 想)
今野敏著「任侠」シリーズの第5作目「任侠シネマ」(中公文庫)を読みました。廃業予定の北千住にある映画館「千住シネマ」を存続させるために、阿岐本組が奮闘する話で、ストーリーに無理がなく、喜劇的な要素もあって、しっくりとくるよい小説です。
営業の立て直しというよりも、廃業へ追い込み、そのビルを売却して儲けようとしている勢力を除外していくストーリーは、説得力があります。また、暴力団排除条例を盾に、組をつぶそうとしている署の係長も登場しますが、これも実際にありそうで、社会をよく描いているという感想ももちました。
「任侠シネマ」でも組長以下のキャラクターが面白く、人情喜劇の面もあって、それは第1作から一貫した魅力です。阿岐本組長はもともと映画ファンで、日村代貸、女子高生「香苗ちゃん」が映画の魅力にはまっていくところは感動もので、著者の映画愛が伝わってきます。
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(著者略歴)
【中央公論社 任侠シリーズを含む今野敏の著作】