近田春夫著「グループサウンズ」(文春新書、2023年2月刊行)を読みました。GSのムーヴメント、ブームの検証を試みた良書です。
(著者の近田春夫さんについて)
1951年東京都生まれ。音楽家。慶應義塾大学文学部中退。75年に近田春夫&ハルヲフォンとしてデビュー。その後、ロック、ヒップホップ、トランスなど、時代の最先端のジャンルで創作を続ける。また、タレント、ラジオDJ、CM音楽作家、作詞家、作曲家、プロデューサー、文筆家としても活躍。
オフィシャルサイト:近田春夫オフィシャルサイト (chikadaharuo.com)
(カバー裏にある本書の紹介)
グループサウンズ GSの最盛期は昭和41~45年(1966~1970年)の5年間である。その間に100以上のグループが生まれては消えた。誰もが知る楽曲やアーティストを辿りながら、GSとは何だったのかを探る。また、元タイガースの瞳みのる、元ゴールデン・カップスのエディ藩、作曲家・鈴木邦彦との対話で、その内側からも深掘りする画期的な試み。
(大まかな目次)
【第1部 近田春夫によるグループサウンズ論】
プロローグ まず、エレキありき
第1章 ザ・スパイダース
和製ロックの萌芽を有したスター集団
第2章 ブルー・コメッツ
GSの方向性を決めた一発屋
第3章 ザ・タイガース
派手な振付の先駆者となったGSの王者
第4章 ザ・テンプターズ
日本で初めてロックを体現した不良の魅力
第5章 ザ・ゴールデン・カップス
ロック魂を持ち続けた自由な集合体
第6章 ザ・ジャガーズ
メンバーより楽曲が評価されたグループ
第7章 オックス
アイドル性を優先した元祖・失神バンド
第8章 ザ・ワイルド・ワンズ
自作自演を貫いた西海岸的お坊ちゃんバンド
第9章 ヴィレッジ・シンガーズ
後進に模倣されたカレッジフォーク的バンド
エピローグ 忘れがたきバンドの数々、そしてGSの終焉
【第2部 近田春夫による対話編】
第10章 瞳みのる&エディ藩
2大グループの内側から見たGS
第11章 作曲家・鈴木邦彦に根掘り葉掘り
【第3部 近田春夫が選ぶGS10曲】
(感想など)
外国のロックにはあまり馴染めない僕でも、ワイルドワンズの「思い出の渚」など、その日本版ともいえるグループサウンズ(GS)の曲には好きなものがあるので、GSについて書かれた本書にはたいへん興味を惹かれました。
ロックを根にもつGSのヒット曲の多くは、レコード会社主導によるロックから歌謡曲への接近を図ったことがヒットした要因であることを、具体的事例で述べてあり面白い。しかし、そのへんが時代を感じさせ、また、ロック畑の方には残念な点のようです。
近田さんは、キーボード奏者、友人としてGSのメンバーなどと交流があり、音楽的な面ばかりでなく、ミュージシャンやレコード会社などの内幕も含めて書いてあり、社会史的にも価値があります。対談内容も面白い。
【僕がたまたま持っているグループサウンズのEPジャケット】
こんな機会でないと、ブログに載せることもないので、掲載してみました。
ザ・スパイダーズ「夕陽が泣いている」
ザ・スパイダース「太陽の翼」
ジャッキー吉川とブルー・コメッツ「北国の二人」
ザ・タイガース「君だけに愛を」
ザ・タイガース「銀河のロマンス」
ザ・テンプターズ「神様お願い!」
ザ・ジャガーズ「君に会いたい」
ザ・ジャガーズ「マドモアゼル・ブルース」
ヴィレッジ・シンガーズ「バラ色の雲」
ヴィレッジ・シンガーズ「好きだから」
ザ・サベージ「渚に消えた恋」
奥村チヨ「北国の青い空」。番外編ですが、ベンチャーズ作曲の和製ポップス。奥村チヨの歌が素晴らしい。