夜遅くまで居酒屋やスナックの梯子を続けていたためか、とうとう風邪にかかってしまいました。土曜日になじみのお医者さんにいって薬をもらい、今日は午前中ずっと寝ていました。幸いインフルエンザではなさそうです。さすがに寝ているのも飽きたので、ジャズを聴こうと取り出したのはレーベル名が優しそうなTheresaレーベルの作品です。
JOHN HICKS (ジョン・ヒックス)
IN CONCERT (Theresa 1984年録音)
はじめてTeresaレーベルを知ったのは、ファラオ・サンダース(ts)の「LIVE」をあるジャズ喫茶で聴いたからですが、まさに激烈、痛快な一枚で、すぐに買いに走りました。Theresaは80年代に現れた硬派レーベルだと、その時目を見張りました。今日聴いたのは、ジョン・ヒックス(p)の同レーベルにおける3枚目のリーダー作です。
ヒックスは、アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズの一員で1965年に来日しており、亡くなる2006年まで活躍を続けました。歌の伴奏を行うなど間口の広いピアニストですが、力強く鍵盤を弾き切るプレイが印象に残ります。
本作品は西海岸ツァーでのライブ録音です。メンバーは、ヒックス(p)の他、ウォルター・ブッカー(b)、アイドリス・ムハマッド(ds)のトリオに曲によりボビー・ハッチャーソン(vib)、エリーゼ・ウッド(fl)が加わります。1曲目はピアノソロによる「Some Other Time/Some Other Spring」ですが、途中ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」の響きを想起させるところがあったり、美しい演奏です。
ハッチャーソンが加わったS・ロリンズ作の「Paul's Pal」、ピアノ・トリオの「Pas de Trois」、ピアノとフルートのデュオで「Say It」、トリオのM・ウォルドロン作「Soul Eyes」とLPでは5曲です。「Pas de Trois」や「Soul Eyes」における疾走感溢れるアドリブでヒックスは本領発揮しています。風邪にはよくないでしょうが、興奮しました。
ヒックスのライブをお聴きになったとのこと、うらやましいです。僕も聴きたかったのですが、もうかなわなくなってしまいました。
そういえば札幌のヴォーカリスト、黒岩静枝さんのアルバムで歌伴をしているヒックスが聴けます。一度だけ、彼女の経営するクラブ「デイ・バイ・デイ」を訪れたことがあります。ああ、夜の札幌に行きたい(笑)
本年はありがとうございました。よいお年を!
Theresaは60年代のESPを思わせる一貫した姿勢がありますね。こうしたマイナーレーベルがジャズの底力といえるものでして、メジャーにはない飾らないダイレクトなジャズを伝えてくれのでしょう。
ヒックスは一度生で聴きましたが、タッチは強く脇目をふらず黙々とピアノを弾いておりました。ジャズと向かい合う真剣な姿勢に心打たれます。
良いお年を、そして楽しいジャズライフを!