長野市には権堂という繁華街があり、商店や飲食店が多数営業しています。以前ほどの賑わいはありませんが、その権堂で喫茶店「奈良堂」は長く営業を続けています。シナモントーストやコーヒーを目当てに、今でも僕はたまに寄ります。BGMは、古い洋楽や軽いジャズを流しているので、何度かジュリー・ロンドンの「Cry Me A River」を耳にしました。「Cry Me A River」の聴けるアルバムです。
JANICE HARPER (ジャニス・ハーパー)
EMBERS OF LOVE (Capitol 1960年ころ録音)
「Cry Me A River」は、1955年にジュリー・ロンドンが大ヒットさせた歌です。作詞作曲は、アーサー・ハミルトンですが、あまり知られている人ではないようです。詞の大意は、「愛しているなら川のように泣いて頂戴」というもので、昔相手にされず泣かされた人に対して、「今度は愛しているよというなら、泣いてみてください」というちょっと怖い(?)内容です。
ジュリー・ロンドン以外にも多くの人が歌っており、ジュリーのように、静かに恨みを込めるような感じの歌唱が本来なのでしょうが、テンポを速めて明るめに歌ったものもあり、レスリー・ゴーア(アルバム「I'll Cry If I Want To」に収録)やジャニス・ハーパーの歌唱がそれに当ります。
ジャニス・ハーパーはクラブシンガーとして活躍した人で、高音のよく伸びるシルクの手触りのような美しい声や声量の豊かさなど華やかなショー・シンガーとしての魅力を持っています。この作品は、「Cry Me A River」、「Always」、「If You Love Me(愛の賛歌)」、「I'm Thru With Love」、「The Thrill is Gone」、「All The Things You Are」、「For All We Know」などスタンダードが収録されています。
編曲は、スタン・アップルバウムが担当しており、「Cry Me A RIver」のアップテンポ処理には最初驚きましたが、聴き慣れるとこれも悪くないです。スローテンポの「All The Things You Are」、「For All We Know」や、ドラマティックな「Just Say I Love Him」などなかなかよいアルバムで、特に「For All We Know」は彼女の特質がよく出ています。
長野市の老舗喫茶店「奈良堂」
キャピトルのイラストジャケは内容もいいですね。ジャニス・ハーパーはコパカバーナに出演して名が知れ渡ったシンガーですが、聴かせ所はさすがです。裏ジャケにはジャニスの写真もありますが、イラストジャケで正解。(笑)
キャピトルは、インストの方はいささか手薄ながら、ボーカルの方はいいものを多くだしていますね。これもその一枚だと思います。
「Cry Me A River」もキャピトルらしく、明るく余裕の感じられる編曲が施されています。