安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ザ・ロネッツ THE RONETTES SING THEIR GREATEST HITS

2015-01-21 20:31:20 | ヴォーカル(S~Z他)

映画「ジャージー・ボーイズ」の記事をアップしたところ、ロック好きな友人から、「The Four Seasons」をよく取り上げてくれたとお褒めの言葉をいただきました。加えて、初期ロックあたりのアーティストのアルバムもたまには書けというリクエストをいただきました。拙ブログは、ジャズブログのつもりですが、ヴォーカルの延長で、ガール・グループを。

THE RONETTES (ザ・ロネッツ)
SINGS THEIR GREATEST HITS (Philles 1963~64年録音)

   

The Angels、The Chiffons、The Crystals、The Marvelettes、The Ronettes、The Shangri-las、The Shirelles、The Supremesなどとたくさんのガール・グループがありましたが、「Be My Baby」のヒットで知られている、「ザ・ロネッツ」をまずアップすることにしました。プロデューサーは、フィル・スぺクターで、僕の持っているのは1976年に日本ビクターから出された国内盤LPですが、内容は、Phillesから出された「Presenting The Fabulous Ronettes(Philles-4006)」と同じです。

ロネッツは、ニューヨーク出身のヴェロニカ(ロニー)とエステルのヴェネット姉妹と、そのいとこのネドラ・テリーの3人組みグループです。1961年に結成されコルピックスからレコードも出していますが、ぱっとせず、63年にフィル・スぺクターと出会い、彼のプロデュースでヒットを飛ばします。後年、ロニーは、ソロ歌手としてアップルレーベルからもレコードを出しています。

収録曲は次のとおりで、ヒットした曲はビルボード誌シングル・チャートの最高位を記します。

(A面)
Walking in The Rain (恋の雨音)  23位
Do I Love You (恋しているかしら) 34位
So Young
Breaking Up 39位
I Wonder
What'd I Say (ホワッド・アイ・セイ レイ・チャールズの曲)

(B面)
Be My Baby (ビー・マイ・ベイビー) 2位
You Baby
Baby, I Love You 24位
How Does It Feel? 
When I Saw You
Chapel of Love (恋のチャペル) 

ヒット曲に加え、ロネッツのライブを収録した「What'd I Say」や、出来がよくないという理由でPhillesが発売を見送ったのち、レッド・バード・レーベルでデキシー・カップスが取り上げ、全米1位を記録した「Chapel of Love」のロネッツヴァージョンが入っています。

ウォール・オブ・サウンドといわれる編曲がほどこされていますが、それをバックに、ヴェロニカの歌声は、甘くクールで、輝いています。「Be My Baby」や「Walking in The Rain」(恋の雨音)、「Breaking Up」といったヒット曲はもちろんよくできていますが、それ以上にアップテンポの「I Wonder」やライブ録音の熱演「What'd I Say」は迫力があって、可愛いだけでないガールポップが聴けます。そして、ヴェロニカ名義でリリースされた「So Young」は、三連音符の伴奏を伴うスローテンポのロッカ・バラードで、僕はぐっときます。

【ロネッツの映像】

Be My Baby

【オールディーズ(ロックン・ロール)の参考本】

今回は、ロネッツとフィル・スぺクター関連のところを読みました。

    

レコード・コレクターズ ガール・グループズを特集した1986年9月号とフィル・スぺクターを特集した1993年1月号。

       

ポップ・ヒットメイカ― データ・ブック(シンコ―・ミュージック刊) 資料としても便利です。

      

John Clemente著「Girl Groups」(krause publications) 60のガールグループの構成メンバー名、略歴、ディスコグラフィーが掲載されています。そのほかのグループ名や収集すべき500枚のレコードなど詳細です。僕は必要なところを読む程度です。


山梨県立美術館とLAIDBACKレコード店 (前編)

2015-01-20 18:25:40 | お出かけ・その他

先日、安曇野市にいて、掃除や買い物などをやっていましたが、半日ほど暇になったので、山梨県甲府市まで、片道約90分のドライブに出かけてきました。目的は、山梨県立美術館で絵を見ることと、レコード店に寄ることです。

 (1)山梨県立美術館

山梨県立美術館に到着して、駐車場から入口へ向かいますが、入館者の数が多いように感じました。ミレーの絵が収蔵されていることで有名な美術館ですが、佐伯祐三展が開催されていることもあったのでしょうか。

   

   

常設展では、ミレーの『種蒔く人』や『落穂拾い』といった著名作品の他、彼の宗教画や風景画など普段お目にかかることのできない絵も展示してありました。また、同時代のバルビゾン派の作品もあって、明るめの風景画があり、少し進むと印象派に数えられるような絵もあり、そのあたりもよかった。

      

今回出かけた最大の理由は、企画展として、『大阪新美術館コレクション 佐伯祐三とパリ ポスターのある街角』が開催されていることです。佐伯祐三(1898~1928)は、 30歳の若さでパリで没した大阪市生まれの洋画家ですが、パリの石造りの建物やポスターが貼られた壁をモチーフとして作品を描きました。また、人物象も残していて、ゴッホを連想させる絵もあります。

       

佐伯祐三は、ヴラマンクやユトリロに影響を受けたとのことですが、ごつごつした建物の壁の質感や、くすんだ色彩などを用い、パリの街をとらえていました。若干抽象的なものもありますが、それらも含めて、代表作を全部見ることができ、すごい展覧会でした。

ショップやレストランも充実していて感心しました。収蔵品の充実に加え、平成27年度の企画展は、「夜の画家たち」、「ピカソ回顧展」、「ノルマンディー展」と興味をそそられるものが並んでいます。地方の美術館の収蔵品や展覧会は、その土地に縁のある作家の作品であることが多いように思いますが、必ずしも、そういうことに拘る必要はないと考えながら、LAIDBACKレコード店に向かいました。

    

         

【山梨県立美術館】

住所:山梨県甲府市貢川1-4-27
電話:055-228-3322
ホームページ:山梨県立美術館 


フランク・フォスター BASIE IS OUR BOSS 

2015-01-18 10:00:17 | テナー・サックス

忘年会、新年会とホテルや大きな居酒屋が会場となる宴会が続いたので、気分を変えて、小さな居酒屋に寄ってみました。長野駅近くの「ろぐ亭」というお店です。お酒や食べ物の種類が豊富で、ボリュームがあります。ことに、「大根おろしをのせたカレイの唐揚げ」が美味。大人数が入らず、落ち着いた店内の雰囲気も気に入りました。お酒に酔ったので、リラックスした音楽が聴きたくなりました。

FRANK FOSTER (フランク・フォスター)
BASIE IS OUR BOSS (ARGO 1963年録音)

   

シカゴに本拠があったアーゴ・レーべルに対しては、ブルージーなコンボ演奏が聴け、深夜のクラブなどでお酒を飲みながら聴くのに相応しい乗りのよいものが多いというイメージを持っています。もちろん当たり外れや例外はありますけれど。これは、タイトルからも想像できますが、ベイシー楽団の仲間が集まり作ったものです。

メンバーは、フランク・フォスター(ts)、アル・アーロンズ(tp)、エリック・ディクソン(fl, ts)、ジョン・ヤング(p)、バディ・カトレット(b)、フィル・トーマス(ds)。このうち、ヤングとトーマスを除き、あとの4人は、ベイシーバンドのメンバーです。ことに、フォスターは、バンドの編曲も手がけていて、ここでも編曲は彼がやっているようです。

曲は、フランク・フォスター作が2曲で、「Vested interest」と「May We」、エドモンド・エドワーズ作「Samba Blues」、ウィントン・ケリー作「Kelly Blue」、あと2曲がスタンダードで、「Why Try to Change Me Now」、「I've Got A Lot Of Living To Do」。注目は、「Kelly Blue」が聴けることで、取り上げられたのは、ディクソン(fl)をフューチャーするのにちょうどいいからでしょうか。

肩の凝らない気軽に聴けるアルバム。最初の曲「Vested interest」から和みますが、この曲では、ヤング(p)が調子よくホーンに絡んでいます。「Why Try To Change Me Now」では、フォスター(ts)の迫力ある節回しのソロが聴け、「Kelly Blue」は、ディクソンのフルートがよく鳴っています。「I've Got A Lot of Living To Do」は、ミュージカル『バイ・バイ・バーディー』からの曲で、僕はジョーニーー・ソマーズの歌で覚えましたが、これを取り上げて、インスト・ヴァージョンを作ってくれたことに感謝。

【ろぐ亭】

住所:長野市南石堂町1279-8
電話:026-223-1885

 

外観です。入口は真ん中で、右の階段は、別のお店のもののようです。

   

まずは、ビールで乾杯。

   

新潟産かれいの唐揚げ。戸隠青首大根おろしぽん酢を添えています。美味しくて気に入った一皿です。

   

ウイスキー白州のハイボール。アルコール類は強くないのですが、これはすすみました。

    

食事として頼んだ、石焼あんかけ焼きそば。ボリューム満点です。


テイク ファイブ (長野県上田市)

2015-01-16 19:33:01 | ジャズ喫茶

先日、上田市方面に行ったので、喫茶店「テイク ファイブ(Take Five)」に久しぶりに寄りました。ログハウスの山小屋風の建物は、このあたりでは個性的です。薪ストーヴの煙突が目立ち、外には薪も積んでありました。入口のドアのところで、スリッパに履き替えてお店の中に。

   

   

こちらのお店は、珈琲とジャズのお店ですが、ジャンルを問わずいろいろな音楽がかかることもあります。オーディオを探求されていて、マスター自作のスピーカーがあり、音そのものを楽しむ、オーディオ喫茶といってもよいです。オーディオのことは、お店のホームページに詳しく載っています。

   

一人のお客様が、自分のアンプを持参してきて、お店のスピーカーなど機器につないで試聴中でした。かけていたのは、ダイアナ・クラール(vo, p)のアルバム「stepping out」でしたが、彼女の声が実に生々しく聴こえました。自分のアンプを持参して、それをお店の装置につないで聞くことができるというのは、オーディオファンにはありがたいのではないでしょうか。

   

珈琲とシフォンケーキを注文して、ヴォーカルに耳を傾けながら、文庫本を読みました。天井が高く清々とした空間なので、特にオーディオやジャズと言わないでも、普通の喫茶店として気持ちよく過ごせます。僕がお店を出た時に、入店してきたのは若い男女の二人でした。

   

   

CDを持参するとかけてもらえるというので、今度は、気に入ったCDを持って、伺うつもりです。

【テイク ファイブ】

住所:上田市小泉983
営業:10:00~17:30頃 火曜・水曜定休
電話:0268-26-5230
ホームページ:log-take-five 


キャスパー・ヴィヨーム FOOTPRINTS

2015-01-14 21:19:29 | ピアノ・トリオ

動物がレコードやCDのジャケットに登場することは珍しくありません。しかし、ジャズ批評誌の2015年1月号が猫ジャケ、犬ジャケの特集を組んだのには驚きました。ペットを飼っている人が非常に多いということでしょう。パラパラと中を見たところ、知らないものばかりでしたが、次のアルバムは登場していませんでした。

KASPER VILLAUME (キャスパー・ヴィヨーム)
FOOTPRINTS (Marshmallow 2006年録音)

   

キャスパー・ヴィヨームは、1974年生まれのデンマークのピアニストです。日本で知られるようになったのは、クリス・ポッター(ts)を迎えてニューヨークで制作されたアルバム「HANDS」(stunt)の好評によるところが大きいようです。日本のマシュマロ・レーベルにより録音されたものに、「ESTATE」(2002年録音)や、この「Footprints」があり、ボブ・ロックウェルと共に来日していることも知名度向上に寄与しています。

メンバーは、キャスパー・ヴィヨーム(p)、イェスパー・ボディルセン(b)、ラスムス・キルべり(ds)。ボディルセンは、深くて豊かなトーンをもち、ランニングの切れのよさは目を見張るものがあります。地鳴りのするベースといってもよく、ここでは、録音のよいこともあって、そのへんがよく聴きとれます。このアルバムを夜10時頃かけたら、奥様から苦情がきましたが、ピアノ、ドラムスもさることながら、ボディルセンのベース音が響いたようです。

曲は、ジャズ・オリジナルとスタンダードです。コルトレーン作「Mr. PC」、ジミー・フォレスト作「Night Train」、オーレ・アドルフソン作「Trubbel」、デューク・ピアソン作「Is That So」、オスカー・ピーターソン作「Place St. Henry」、ウェイン・ショーター作「Footprints」、あとはスタンダードで、「Nice Work If You Can Get It」(うまくやれたら)、「Theme From MASH」(マッシュのテーマ)、「All Of You」、「You Don't Know What Love Is」(あなたは恋を知らい)、「The Folks Who Live On The Hill」(丘に住む人々)の全11曲。 丘に住む人々のみ、ヴィヨームのソロによる演奏です。

躍動感に富んだピアノ・トリオの醍醐味を味わえる好アルバム。ヴィヨームの闊達なピアノ、ボディルセンの重量級ベース、軽快なキルべりのドラムスが一体となり、よくスイングしています。「Mr.PC」は、爽快ですし、「Night Train」は、オスカー・ピーターソンを髣髴とさせるグルーヴィーな演奏。ビル・エヴァンスに迫るようなソロが聴ける「Theme From MASH」や、ソロで演じた「The Folks Who Live On The Hill」も印象的。僕は、この「The Folks Who ~」(丘に住む人々)という歌が大好きですが、ヴィヨームはよいものを残してくれました。

【キャスパー・ヴィヨームのホームページ】

Kasper Villaume 

【ジャズ批評 2015年1月号】

   

ヴォーカル盤を4枚並べた表紙です。上左:ジェニー・スミス「Jennie」、上右:ペギー・リー「Spice」、下左:Diane Maxwell「Almost Seventeen」、下右:キャシー・カー「Shy」。ジェニー・スミスとキャシー・カーのLPはもっていますが、これらとペギー・リーのものは比較的手に入れやすい。Diane Maxwellのものは、非常に珍しいようです。

僕の持っている「Jennie」のジャケットを大きめに掲載してみます。蛍光灯の下で撮っているので、色合いが異なるかもしれません。