安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

小宮正安著「ヨハン・シュトラウス」(中公新書)と3種類の喜歌劇「こうもり」(DVD)の感想

2020-06-20 20:00:03 | クラシック

指揮者のカルロス・クライバーのCDやDVDを先日まとめて視聴しましたが、ヨハン・シュトラウス二世の喜歌劇「こうもり」(DVD)がとりわけ気に入りました。そこで、関連の本を読み、クライバー以外の指揮者が振ったDVD2作品も観ました。

【小宮正安著「ヨハン・シュトラウス(中公新書)】

   

カバー裏表紙にある本書の紹介

(著者略歴)

著者の小宮さんは、1969年生まれ、東京芸術大学非常勤講師(本書執筆時)などを経て、現在横浜国立大学教授。研究領域はヨーロッパ文化史、芸術社会学、ドイツ文学など。雑誌「レコード芸術」にDVD批評を掲載。

(内容)

ヨハン・シュトラウス(1825年10月25日~99年6月3日)の生涯と作品をたどりながら、ウィーンの街とそこで暮らす人々を描いた内容です。その時代は、ウィーンの都市改造が行われ、経済的発展も遂げたものの、1866年にはプロイセン軍に敗れ、ハプスブルグ家の支配力が失われていった落日のときに当たります。

(感想など)

シュトラウスの音楽は華やかで楽しく、山積する問題や不安を忘れさせてくれるので爆発的な人気に結び付いたと指摘していることが印象に残ります。踊るための実用音楽であったことも与ったと思いますが、それを離れて、1871年からはオペレッタに注力します。

当時の宮廷歌劇場総監督のグスタフ・マーラーはシュトラウスの音楽的才能を高く評価し、「こうもり」(1874年初演)を同歌劇場のレパートリーに加えました。マーラーが評価していたことを初めて本書で知り、意外だったので驚きました。

「こうもり」について、『ファルケによって仕組まれた舞踏会は、当時ハプスブルグ帝国が展開していた外交関係の縮図といった感がある。』と著者は書き、ロシア貴族、ハンガリーの貴婦人、フランス貴族などが仮装にせよ登場し、ファルケ(鷹)はハプスブルグ帝国を表し、アイゼンシュタイン(鉄石)がプロイセンを指すという深読みをしていて、新鮮でした。

【3種類の喜歌劇「こうもり」(DVD)】

(1)

カール・ベーム指揮ウィーンフィル、ウィーン国立歌劇場合唱団、エバハルト・ヴェヒター(Br)、グンドゥラ・ヤノヴィッツ(S)、レナーテ・ホルム(S)、エーリヒ・クンツ(T)、ウォルフガング・ヴィントガッセン(T)、オットー・シェンク(演出、監督)。 1971年録画

   

劇場ではなく、セットを組んで撮影された映画。歌手陣が素晴らしく、グンドラ・ヤノヴィッツやウォルフガング・ヴィントガッセンといった、オペレッタには縁のなさそうな人も出演し、さすがの歌を聴かせてくれます。ヴェヒターの演技、歌も冴えていて、かなり楽しめる映画版です。

カール・ベーム(指揮)。クライバーに比べると遅めのテンポですが、ウィーンフィルが演奏していることもあるのか、細部まで磨き抜かれた演奏のように思えます。

豪華なセットが組まれています。オルロフスキー役のヴィントガッセン(T)がシャンパンを称える歌を歌っている場面。 

(2)

ウラディーミル・ユロフスキ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、グラインドボーン合唱団、パメラ・アームストロング(S)、トーマス・アレン(Br)、スティーヴン・ローレス(演出)。2003年録画、グライドボーン歌劇場(イギリス)

   

指揮がユロフスキーなので期待はしたのですが、歌手陣、演出ともにもう一つでした。ことに女性陣の歌が揃って、高音を張り上げる絶叫型で、その点が気になって仕方ありませんでした。また、余分な科白が多くて、劇場で楽しんでいる分にはいいと思いますが、DVDでは冗長に感じました。

ウラィディミール・ユロフスキー(指揮)

アデーレがシャンパンを称える歌を歌っているところ。舞台が狭いせいもあり、装置は比較的簡素です。

(3)

カルロス・クライバー指揮バイエルン国立管弦楽団、バイエルン国立歌劇場合唱団。パメラ・コバーン(S)、ジャネット・ペリー(S)、エバハルト・ヴェヒター(T)、オットー・シェンク演出。(1986年バイエルン州立歌劇場で録画)

   

カルロス・クライバー指揮のものが、音楽が流れに流れ、愉悦感、祝祭性が漲っていて最も面白かった。ヴェヒターの演技は相変わらず巧くてちょっと歌手とは思えず、パメラ・コバーン、ジャネット・ペリーという女性歌手陣も素晴らしい。

カーテン・コールには、カルロス・クライバー(指揮)も登場

アデーレ役のジャネット・ペリーがシャンパンを称える歌を歌っているところ。伴奏の管弦楽も含め、盛り上がります。この場面に続く第2幕のフィナーレでは、ポルカ「雷鳴と電光」が演奏され、舞台の上はそれにのって大騒ぎ。

みんなシャンパンのせいだと歌う最後の場面。歌っているのはロザリンデ役のパメラ・コバーン。

とても歌劇場だとは思えない豪華な舞台。


レストラン・ヨーデル金谷 (フレンチ・洋食 新潟県上越市大貫)

2020-06-19 19:37:25 | グルメ

上越市のレストラン「ヨーデル金谷」(Jodel Kanaya)に入ってみたいと思っていたのですが、先日、ようやく念願が叶いました。ごちそうサラダのランチセットをいただき、メインはハンバーグにしましたが、丁寧に作られていて美味しくいただきました。

レストラン近くの金谷山スキー場は、明治44年(1911年)、オーストリア・ハンガリー帝国の軍人、テオドール・フォン・レルヒ少佐によって、日本にはじめてスキー術が伝えられたところで、周辺は公園として整備されているので、寄ってみるのも良さそうです。

   

看板が大きくてわかりやすい。

大きな建物です。営業開始のちょっと前なので車は少ないです。

入口

店内。天井が高くて広い店内。

せっかくなので、ノンアルコールビールをいたさきました。

ごちそうサラダのランチセットを注文しました。サラダは盛りだくさんで量もありました。

サラダアップ。

スープ

メインのハンバーグ。お腹が空いていたので、珍しくライスにしました。

ハンバーグは意外とボリュームがあります。柔らかめで肉汁たっぷりで、気に入りました。

ドリンクバーがあります。

オレンジジュースは、サーバーではなくガラス容器に入っているもので、品質がよいものでした。

デザートのプリン。上の方はやや固めですが、中は柔らかく、カラメルソースも絡んで、なかなかよいものでした。また寄りたいお店です。

【レストラン・ヨーデル金谷】

住所:新潟県上越市大貫2丁目17-40 
電話:025-523-0681
ホームページ:jodel-kanaya.com


ホンダヴェゼルの安心快適点検(半年点検)と自動車保険の見直し

2020-06-18 20:01:40 | お出かけ・その他

愛車のホンダヴェゼルの安心快適点検(半年点検)を、ひと月早く昨日(6月16日)行ってもらいました。初度登録は2019年の1月で、1年半くらいの間に37,700km程度走っています。高速道を中心に走っていることもあり、法定点検の谷間の半年点検も欠かせません。

あわせて自動車保険も少し変更しました。今のところ、ヴェゼルはたいへん快調で気に入っているので、当分乗り続けます。以下概要です。

当日の朝のヴェゼル

(走行距離・平均燃費)



2019年  1月25日(初度登録)              0km         
2019年12月16日(法定12ヶ月点検)     25,041km
2020年  6月16日(半年ごとの点検)     37,703km

走行距離については、ここ半年で12,662km走っていて、ひと月だと2,110kmになります。結構走っていますが、長野市と安曇野市の往復や登山口までの往復、県外都市へのお出かけなど、高速道路の利用を中心に距離が伸びています。やむを得ないところです。

平均燃費は、自動車のパネルに表示されていて通算で19.2km/lとなっています。夏のシーズンにはいくらか伸びるかもしれません。  

(整備の概要)

   

購入時に点検パックに入っているので、エンジンオイルの交換も含め上記表の1の項目の費用はかかりません。今回は追加で2~4を行ってもらいました。下部洗浄は、春先まで道路に散布する塩カルによって汚れているだろうと思い行っていただいたもの。

撥水洗車は、梅雨時なのでそれに備えて、また、1年半使っているので室内の除菌消臭も行い、車内が爽やかになりました。特に不具合はなく、これで半年は快適に走れると思っています。

(自動車保険)

   

保険は、前は別の会社のものに入っていましたが、ヴェゼル購入を契機にホンダの販売店が代理店になっているものに替えました。今まで、1年間の保険期間の契約だったのですが、今回、保険期間を3年間とし、支払いは一年に一回という形にしました。併せて、内容も若干見直しました。

(前の契約は1年間)

(今回から3年間)

これで3年間は特に手続きをする必要がなく効力が続きます。また。販売店の担当者と話して、細部を少し充実させました。お世話にならないのが最もよいので、運転には注意を払っていきます。


クリス・コナー「WITCHCRAFT」とケーキ店「La patisserie VINGT-SEPT」などの話題

2020-06-17 20:13:02 | ヴォーカル(A~D)

上田市の「サントミューゼ」と長野市の「長野市芸術館」が協力して作っているKnotという無料情報誌があります。両ホールの音楽会の紹介が主な内容ですが、アーティストが街を歩き飲食店などを紹介する「Chottそこまで」というページが面白く、出ていたケーキ店「La patisserie VINGT-SEPT」に行ってきました。ほんのり甘さもある歌声を。

CHRIS CONNOR (クリス・コナー)
WITCHCRAFT (ATLANTIC 1959年録音)

   

クリス・コナー(vo, 1927~2007年)のベツレヘムやアトランティックレーベルに録音したアルバムは、いづれもジャズヴォーカルというに相応しいもので、多くが愛聴盤となっています。伴奏は、小編成のコンボからビックバンドまでありますが、これはビッグバンドが伴奏したもの。

編曲と指揮は、リチャード・ウェスが担当しています。クリス・コナーは、1949年にニューヨークへ出て、クロード・ソーンヒル楽団、ジェリー・ウォルド楽団で歌い、52年から53年まではスタン・ケントン楽団で歌っているので、ビッグバンド伴奏による歌唱も余裕が感じられます。

曲は次のとおり。スタンダード曲集です。

1  Witchcraft  (Cy Coleman / Carolyn Leigh)
2  I'll Never Be Free  (Bennie Benjamin / George David Weiss)
3  The Lady Sings The Blues  (William Engvick / Alec Wilder) 
4  Come Rain or Come Shine  (Harold Arlen / Johnny Mercer)
5  When Sunny Gets Blue  (Marvin Fischer / Jack Segal)
6  How Little We Know  (Carolyn Leigh / Philip Springer)
7  I Hear The Music Now  (Sammy Fain / Jerry Seelen / Ambroise Thomas)
8  Baltimore Oriole  (Hoagy Carmichael / Paul Francis Webster)
9  Just in Time  (Betty Comden / Adolph Green / Jule Styne)
10  Like A Woman  (Frank Loesser)
11  Skyscraper Blues  (Gordon Jenkins / Tom Adair)
12  You Don't Know What Love is  (Gene DePaul / Don Raye)

リチャード・ウェスのビックバンド編曲がサックスセクションなどの低音も効かせ、クリス・コナー(vo)のややハスキーでウォームな声質とあいまって、カラフルでブルージーな名曲集となりました。特にちょっとひきずるようなクリスのフレージングが聴きもので、「The Lady Sings the Blues」、「How Littl We Know」、「Skyscraper Blues」といった遅めのテンポのものが素晴らしい。大スタンダード曲の「Come Rain or Come Shine」や「I Hear The Music Now」が収録されているのも嬉しい。

【上田市サントミューゼと長野市芸術館のPR誌 Knot】

   

表紙。地域のシンボルである、上田城(左側)と松代城(右側)の写真が掲載されています。

   

サントミューゼと長野市芸術館のホールの紹介ページ。両ホールの催し物案内のページがあります。

   

出演アーティストに街歩きをしてもらって、作ったページ「Chott そこまで」。こちらは、大萩康司さん(ギター)が上田市内を紹介したもの。

   

塚越慎子さん(マリンバ)が、長野市内を歩いたもの。

   

ここで紹介されていたケーキ店「La patisserie VINGT-SEPT」へ行ってみました。

【La patisserie VINGT-SEPT(パティスリー・ヴァンセット)】

住所:長野市鶴賀南千歳876-16  平和ポエム街E号テンポ1F
電話:026-477-2749
ホームページ:facebook.com/patisserie27  (facebookです。)

長野駅に近い「しまんりょ小路」です。

お店外観。太陽を遮るために遮光カーテンを。下ろしています

ケーキのショーケース。

迷いましたが、オランジェリーを購入。珈琲とともに2階のイートインコーナーでいただきます。

2階のイートインコーナー。厨房は本格的で、珈琲はこちらで出しています。

壁に沿ってカウンターが作られています。後から2組の方が入ってきました。

ケーキのオランジェリーとブレンドコーヒー。

オレンジの酸味と生チョコレートがまじり、甘酸っぱい美味しさでした。職場から近いので、ランチの後に寄るのにもよさそうです。


中原中也詩集(ハルキ文庫)を読みました。

2020-06-16 20:02:44 | 読書

ハルキ文庫にある詩集を読んでいますが、今回は中原中也です。高校生の時に友人から「汚れつちまつた悲しみに」を教えてもらい中原中也の詩を初めて知ったのですが、深い寂寥と言葉運びのテンポの良さに惹かれました。他の詩や翻訳詩も学生時代などにたまに読んでいました。ごく久しぶりの再読です。

   

表紙

(略歴)

中原中也は、1907年山口県山口市湯田温泉生まれ、小林秀雄や大岡昇平らとの文学的交友、長谷川泰子との恋愛と失恋、愛児の死などの体験を経て30歳で夭逝。詩集「山羊の歌」や「在りし日の歌」、また、アルチュール・ランボオの詩の翻訳などがある。次は、この本の裏表紙にある中原中也の紹介です。

(感想など)

中原中也の詩は、詩集に「山羊の歌」と「歌」がつけてあり、リズミカルで、詩のひとかたまりがまるで歌詞のようでもあり、音楽的なところがあるように感じます。難しい言い回しは少なく親しみやすさがありますが、切なさや悲壮感といったものが漂っていて、それがリフレインされて、訴えかけてきます。

「汚れちまつた悲しみに」や「除夜の鐘」は個人的に忘れがたい詩ですが、僕ももうかなり年齢を重ねてきて先が見えているだけに、詩集「在りし日の歌」に収められた「頑是ない歌」が今回は特に心に沁みました。次にその一部を掲げます。

頑是ない歌

思へば遠く来たもんだ
十二の冬のあの夕べ
港の空に鳴り響いた
汽笛の湯気は今いづこ

雲の間に月はゐて
それな汽笛を耳にすると
悄然として身をすくめ
月はその時空にゐた

それから何年経つことか
汽笛の湯気を茫然と
眼で追ひかなしくなつてゐた
あの頃の俺はいまいづこ    (以下続きます)

   

「別離」という詩の一編が記されています。ハルキ文庫に掲載された写真です。

   

詩集「在りし日の歌」より「含羞」の一部が記載されたハルキ文庫の写真。

   

中原中也の写真