血のつながり

　「娘婿」という立場は微妙なものであるということを、最近よく感じるようになった。当然だが、娘婿では血のつながりを超えることはできない。
　具体的にいうと、例えば、オーナー社長が娘婿を後任の社長に据えたとする。ところが、その後、夫婦関係が疎遠になったとすれば、ただちに夫の地位のみならず、社長の座も危うくなり、失業の危機となる。これでは、娘婿は、公私ともに気の休まる暇がない。
　さて、競馬界でも、「娘婿」という立場を活かして活躍してきた人がいる。元騎手のＫさんは、有力な調教師の娘婿となり、その主戦騎手としていい馬に乗り続け、引退後は義父の厩舎を引き継いで調教師となったが、その直後に離婚している。長い間耐えてきたのだろうか。