第2幕が始まってまず思ったのは、「選曲が進化しているな」ということである。
第1幕は、ドビュッシーに慣れ親しんだ人が観ると、音楽とダンスがややマッチしていないという印象を抱くところがあったと思う。
だが、第2幕では、そういうところがなかったのである。
誰か音楽の専門家が助言をしているのだろうか?
さて、若干ネタバレになるが、第2幕では「影姫」というオリジナルのキャラクターが登場する。
「影姫」は「帝」の正室という設定で、かぐや姫にぞっこんの「帝」を巡って、女のバトルが展開されることとなる。
つまり、かぐや姫は、「帝」によるセクハラと、「影姫」によるパワハラを同時に受けることとなる。
この設定は新鮮な気がする。
さらに、味方であるはずの「翁」は、かぐや姫を「帝」の正室にして自分も成り上がろうとしているから、いわば「敵」になってしまった。
唯一の見方は「道児」であるが、ラストでは姿を消してしまい、かぐや姫は完全に孤立無援となる。
ここで、「エシャンジュの客体にされ、孤立無援となる」という、ギリシャ悲劇以来の伝統的なストーリーが明確となった。
第3幕の展開としては、「道児」の再登場 → かぐや姫の救済というのが最も可能性が高いが、何らかの形で「道児」が死んでしまうというストーリーも有力だろう。
ただ、その場合、死に方次第では「人身供犠」パターンになりかねず、そうなると、東京文化会館は、またしても「カマリナ沼」と化してしまうことになる。