Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

うたとリート

2023年03月31日 06時30分00秒 | Weblog
 風が(《心の四季》より):吉野 弘・作詞/高田三郎・作曲
 春よ来い:相馬御風・作詞/弘田龍太郎・作曲(寺嶋陸也・編曲)
 うれしいひな祭り:サトウハチロー・作詞/河村光陽・作曲(若林千春・編曲)
 こいのぼり:近藤宮子 作詞/作曲者不詳(寺嶋陸也・編曲)
 みどりのそよ風:清水かつら・作詞/草川 信・作曲(宇田川保明・編曲)
 海(文部省唱歌):作詞不詳/作曲不詳(寺嶋陸也・編曲)
 栄冠は君に輝く:加賀大介・作詞/古関 裕而・作曲(寺嶋陸也・編曲)
 少年時代:井上陽水・作詞/井上陽水・平井夏美・作曲(寺嶋陸也・編曲)
 初恋:島崎藤村・作詞/若松 甲・作曲(寺嶋陸也・編曲)
 野菊:石森延男・作詞/下総皖一・作(寺嶋陸也・編曲)
 耳をすましてごらん:山田太一作詞/湯浅譲二・作曲(寺嶋陸也・編曲)
 寒い朝:佐伯孝夫・作詞/吉田 正・作曲(寺嶋陸也・編曲)
 はるかな友に:磯部俶・作詞作曲
 思い出のアルバム:増子とし・作詞/本多鉄麿・作曲(鷹羽弘晃・編曲)
[ アンコール曲 ]
 花は咲く:岩井俊二・作詞/菅野よう子・作曲

シューベルト:歌曲集《冬の旅》D911

 「日本のうた」は、毎回ほぼ満席となる人気のシリーズだが、解説が非常に面白い。
 「うれしいひな祭り」については、サトウハチロー氏が歌詞を間違えて作っている。
 「おだいり様とおひな様」は誤りで、「おびな(男のひな)」と「めびな(女のひな)」が正しく、最後の「右大臣」も「左大臣」が正しいそうである。
 また、「こいのぼり」は、長らく作詞者・作曲者が不明だったところ、1993年に至って近藤宮子さんが作詞者として名乗り出たが、作曲者も、2番以降の作詞者も不明のままだという。
 1番の歌詞にはなぜかお母さんが登場せず、この点にジェンダー問題を指摘する向きもあるそうだ。
 さて、タレク・ナズミ氏は、昨年の「ローエングリン」でのハインリヒ役の歌唱が素晴らしく、私はひそかにマークしていたのだが、客席は4割くらいしか埋まっておらず、ちょっと気の毒になった。
 曲目はドイツ・リートのテッバンとも言うべき「冬の旅」だし、パフォーマンスが素晴らしい歌手なので、もっと入ってもいいと思う。
 日本では余り知られていない歌手の場合、「ワーグナー・シリーズ」に登場して注目を浴びる数日後くらいのタイミングに、ソロのリサイタルを設定した方がよかったという気がする。
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最後の棒倒し(10)

2023年03月30日 06時30分00秒 | Weblog
(「日本の安全保障に関する初歩的な確認」(続き))
 「今回病は亢進し、収奪頂点そのものがいよいよ自己収奪に転じ始めたのではないか、と疑われる。増税に向かうロジックが異常すぎるからである。つまり日本社会が完全なオートファジー段階に入った可能性がある。それならば軍事は唯一のコーズであろう。・・・
 やはり今回も結局は軍事で(ただし戦う前に)破滅するのか、というのが私の感想である。・・・
 刺激が来ると、やっちまえと暴走し、自爆していく、というメンタリティーである。本当に犠牲にされ虐げられた人々のメンタリティーではない。むしろ、相対的に恵まれチャレンジして挫折した層のメンタリティーである。アジア諸国を含め世界に拡がる新しい高等教育受容層に日本の相対的に若い世代がまるごと乗り遅れたということが大きく作用している。確実に言えるのは、このメンタリティーがヘゲモニーを握ったような社会は、外からの軍事力によってではなく、内側から破滅するであろう、ということである。」(p61)

 「政策的経費に充てる一般歳出のうち防衛費は公共事業費や文教・科学技術振興費を抜き、社会保障費に次ぐ2番目の規模に達した。さらに今後の支出に備え、税外収入などから成る「防衛力強化資金」を新設し3兆3806億円を確保。複数年度にわたり支出するこの資金まで含めると、防衛費全体は10兆円を超える。 

 日本社会がオートファジー段階に入り、破滅へと向かっているという指摘だが、結局のところ、日本社会のある層が、自ら破滅を希求しているためということのようだ。
 例えば、「それから」の平岡常次郎のような人物(「僕も一人なら満洲へでも亜米利加へでも行くんだが・・・」(新潮文庫版では157頁)と述べており、やがて”大陸に渡る”ことが暗示されている。)を想定すればよいかもしれない。
 この層が生れた背景には、高等教育→専門職という世界的な流れ、つまり「新しい自由」の担い手を生むトレンドに、日本の相対的に若い世代がまるごと乗り遅れたということがあるという。
 だが、私見では、この問題はなかなか容易ではなく、木庭先生の見解に100%賛成することは難しい。
 15年ほど前のこと、ハーヴァード大の学長が、日本のボストン総領事に対し、こんなことを言ったそうである。

 「他の国と比べて、日本からの留学生の数は極端に少ない。もっと日本からの留学生を増やして欲しい。

 この言葉は慎重に解釈する必要がある。
 というのも、その少し前まで、ハーヴァードを含むアメリカの多くの大学は、「他人の金」で専門職大学院への留学を試みる日本人たちを、書類段階で徹底的に落としていたからである(某経済官庁や某メガバンクからのMBA受験生が一人も合格できなかった年もある。)。
 口に出しては言わないけれど、「新しい自由」の担い手は、日本における「棒倒し」に象徴されるような、「他人の金」に依存する人間であってはならないというのが、基本的なコンセンサスなのだ(但し、他方において、米国の民間財団をスポンサーとする現旧共産圏からの留学生(奨学金付き)は、積極的に受け入れているようだ。)。
 この点で、日本はおおむね失格ということなのだろうが、かといって、アジアの他の国を称賛してよいかというと、おそらくそうではない。
 例えば、中国や韓国の高等教育受容層についてみれば、(税金・補助金に群がる)依存体質の人たち、あるいは能力がありながら政府・企業によって圧殺され活躍の場を失っている人たちを、私もたくさん見てきた。
 つまり、私見ではあるが、中国や韓国もおそらく”乗り遅れグループ”に含まれており、日本だけ取り残された状況にはないと思われる。
 したがって、絶望するのはまだ早いだろう。
 さて、そろそろ解散総選挙が近いという声も出ているが、そうなると、いよいよ新しい「棒倒し」(Japan’s Game Of War)が始まることになるだろう。
 だが、倒れる”棒”は日本という国・社会なのだから、今回ばかりは「最後の棒倒し」となる可能性が高い。
 そうならないようにするために、果たして何が出来るのだろうか?
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最後の棒倒し(9)

2023年03月29日 06時30分00秒 | Weblog
(「日本の安全保障に関する初歩的な確認」(続き))
 「「軍事利用可能な先端技術の開発」に向けて「国立研究開発法人」に資金を投下する「新たな仕組み」が検討されているという報道が11月9日付朝日新聞朝刊4面においてなされた。・・・
 今とりわけ自由で分散的な投資が一点集中の国家主導投資に優るということになった。ならば、軍事を離れ、まずは大学などを自由にし、他方経済社会の自律的回復を妨げないよう、徹底的に(これまで専ら政治から発してきた)阻害要因を取り除かなければならない。・・・ 
 大学に関わるものを含めて数ある「官民プロジェクト」「官民ファンド」の如きはことごとく fiasco に終わると前線(特に民間企業の従業員)の間では言われている。それでも跡を絶たないのは、この形で資金を循環させる以外の経済がなくなった、と言われるほど衰弱し、なおこの仕組の中で資金を吸い取るべく群がる人々がこれを推進するからである。」(p60)

 「当時のソニーとパナソニックの有機ELパネルの開発部門を統合して設立したJOLED(ジェイオーレッド)は27日、民事再生手続き開始を東京地裁に申し立て、受理されたと発表した。負債総額は約337億円。製造、販売事業から撤退し、石川県能美市と千葉県茂原市の生産拠点を閉鎖する方針も明らかにした。閉鎖時期は未定。政府系ファンドのINCJ(旧産業革新機構)が大株主で、巨額支援していたが軌道に乗らず経営破綻した。 

 殆ど付け加える言葉がない。 
 今は、「軍事一点集中の国家主導投資」に「資金を吸い取るべく群がる人々」の動きを注視し、これを何とか抑止する必要があるということになるだろう。
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最後の棒倒し(8)

2023年03月28日 06時30分00秒 | Weblog
  「経済評論家の山崎元氏もこう指摘する。
「銀行で取り扱っている投信の99%は検討に値しません。世の中には販売手数料ゼロ、信託報酬も0.5%以下の投信が多くある。それなのに、銀行がそうした投信を勧めることはありません」

 成年後見案件を扱っていると、かなりの確率で遭遇するのが、銀行から海外投資信託・債券を買っている(買わされている?)事案である。
 その中に、元本割れを起こしている銘柄があり、一定期間ごとに銀行から「現在の評価額は●●です」という電話がかかってくる。
 どうやら、元本割れ商品については電話で状況を説明する内規があるようなのだが、私が「どうして元本割れしたのですか?」と質問しても「リスク商品です」という説明しか返ってこず、担当者も商品の内容について理解していないことが判明した。
 外国証券等について言えば、証券会社も似たようなもので、私が売ろうとした銘柄について担当者が、「これは資源関係の銘柄なので、値上がりが見込めると思います。処分しない方がいいですよ」と言うので、「どういう場合に値上がりするのですか?」と質問したところ、まともな回答はなかった。
 ”売主本人も内容を理解していない商品”を、大金を出して買うのは恐ろしいことである。
 私などは、ここでもやはり、「いつか見た光景」を思い出すのである。

 「●サブプライム住宅ローンの証券化
 証券化とは、金融機関が発行した住宅ローン等の債権を特別目的事業体(Special Purpose Vehicle:SPV)と呼ばれる組織に集め、その債権から生じる収益を担保とする証券を発行して資金調達を図る手法のことで、住宅ローンを担保に証券化したものを住宅ローン債権担保証券(Residential Mortgage Backed Securities:RMBS)という。
 アメリカでは、70年代初頭から政府機関であるジニー・メイ(18)がFHA保険付ローンの証券化に対する保証業務を開始し、80年代にはGSEsも証券化業務に加わるなど、公的機関が中心となってRMBSの市場整備が進められた。
」 

 このように、ゆうちょ銀行は外国証券等(特に不動産ファンド等)への投資を積極的に行っているし、メガバンクをはじめとする銀行も、資金力のある高齢者層に外国投資信託・債券を大量に購入させている。
 この現象は、一見すると目新しいようだが、基本的な構造は昔から存在している。
 すなわち、わが国では、信用の機能不全のため、本当に必要とする人たちに資金が流れず、なぜか「不動産(というか土地)に金を肥料のように注ぎ込む」ことが繰り返し行われてきた。
 だが、リーマンショックも、もとをたどれば不動産投資(但し、こちらは土地というよりは、マイホーム)であり、これが地価下落が引き金となって崩壊したわけである。
 あれ、これは、「いつか見た光景」ではないか?
 ”歴史は繰り返す”なのか?
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最後の棒倒し(7)

2023年03月27日 06時30分00秒 | Weblog
 「22/3末の運用資産残高は229.6兆円となり、21/3末対比+9.0兆円。 外国証券等や預け金等の増加が主因。外国証券等のうち投資信託については、特に、不動産ファンド(デット)及び プライベートエクイティファンドの積み上げが進捗。預け金等は、貯金の増加等に伴う日銀当預残高の増加によるもの 。」(p13)

 ゆうちょ銀行の運用資産約230兆円のうち何と約74兆円が外国証券等に充てられており、特に不動産ファンド(デット)及びプライベートエクイティファンドの伸びが著しい。
 これを見ただけで、兄弟会社である日本郵政で起きた”事件”を思い出す。

 「15年2月18日、日本郵政がトールの買収を発表。高橋社長はオーストラリアの現地へ飛び、トール社幹部と共に華々しい会見に臨んだ。買収金額は実に6200億円に上り、社運を懸けた一手であることは疑いようがなかった。
 しかし、これが悲劇の始まりとなった。結論から言えば、この巨額買収は大失敗に終わった。当時を知る日本郵政関係者の証言からは、あまりにもずさんな「デューデリジェンス(資産評価)」「投資計画」の下で進められた買収であることが明らかになりつつある。

 私は、ゆうちょ銀行も、日本郵政と同様に、
リスク資産、特に不動産ファンド(デット)及びプライベートエクイティファンドの積み増し
を至上命題として「自己目的化」しているのではないかと懸念する。
 現場の職員にはノルマが課され、かんぽの「自爆営業」のような事態が起こっているかもしれない。
 グループとして見たときの企業風土は、(元金融庁長官が絶賛していた)S銀行と大きく違わない。
 そのうち、「いつか見た光景」が再現されるのではないか?
 もっとも、またあの時のように、「公的資金」が注入されるから大丈夫、という魂胆なのだろうか?
 木庭先生によれば、むしろ「破綻後の手打ち」を正当化するために、経営陣を含む「自己犠牲」が奨励されているということなのかもしれない。
 「一生懸命やりました。国債のような安全資産を買うと批判されるし、かと言って、運用しないと赤字になってしまうので、利益を出すための唯一の選択肢として、外国証券等に投資したのです。堪忍して下さい!」
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最後の棒倒し(6)

2023年03月26日 06時30分00秒 | Weblog
 木庭先生によれば、「改革」路線は日本社会破綻の直接的な原因だったという。
 そして、竹中平蔵氏は、”構造改革”を主導した人物とされているが、私は、彼は「日本棒倒し教」の開祖だと思う。
 彼(+小泉元首相ら)が行った政策のうち真っ先に挙げられるのは、おそらく「郵政民営化」だろう。
 これについては、私見では、彼の出自が大きく関係していると思う。
 中曽根内閣時代の「民営化」は、主に”出口”(運用)の失敗の後始末だった。
 ところが、竹中氏らが問題視したのは、”入口”(調達)の方であり、ゆうちょ・かんぽなどの膨大な資金であった(だが、民間金融機関ではなくゆうちょに資金が集まりすぎるということは、民間セクターにおける信用の機能不全の反映であり、こちらに手を付けなければ問題の抜本的な解決にならないのは当然のことだった)。
 さて、竹中氏は、前回指摘したとおり、ゆうちょ・かんぽ資金を原資として投資・融資を行う財政投融資機関の一つである”カイギン”出身であり(但し、仄聞するところでは、ハッピーな辞め方はしていないらしい)、このシステムが抱える「調達と運用の組織的な分離」という最大の問題について知悉していたはずである。
 すなわち、このシステム(「第二の予算」)にビルトインされている、プリンシパル=エージェント理論によって説明されるような、おおざっぱにいえばモラル・ハザードの問題のことである。
 竹中氏は、(善意に解釈すれば)これを「民営化」によって解決しようとしたわけであるが、事態をより深刻化させる結果となった。
 なぜなら、最大の問題は”国家”の不存在/不成立であって、そのため「私」による「公」の潜奪が容易に行われてしまうところにあったというのに、竹中氏は、「私」による「公」の潜奪を、”合法的に”、かつ大々的に行う例を作ってしまったからである。
 おそらく、これほどの膨大なカネ、つまり巨大な”棒”が「野に放たれた」のは、日本史上初めてのことだったのではないか?
 このとき、「日本棒倒し教」が公式に発足したといってよいだろう。
 予想したとおり、様々な怪しげな集団が、この”棒”をめがけてまっしぐらに突進してきたのである。


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最後の棒倒し(5)

2023年03月25日 06時30分00秒 | Weblog
 この”ライト・モティーフ”は、後の「『奉加帳方式』から『公的資金の注入』へ」という形で(ちなみに、アメリカでも最近「奉加帳方式」が利用されたようだ(ファースト・リパブリックの救済策、大手行の300億ドル預金も抜本的な解決とはならず))、さらにその後は、「官民プロジェクト」、「官民ファンド」という名称で繰り返されることとなる。
 さて、JRへの融資を急増させた日本開発銀行だが、私が大学生だったころ、主に経済学部生の間では、非常に人気のある就職先だった。
 経済学部・大学院を出て”カイギン”に入り、エコノミストになるというのが、一つのスマートな振る舞いとされていたのである(ちなみに、”カイギン”出身のエコノミストには、竹中平蔵氏(!)や藻谷浩介氏(但し、法学部出身)などがいる。)。
 ”カイギン”はその後「日本政策投資銀行」(サクギン)と名前を変え、一応民営化したかのようであり、「半沢直樹2」にも、「開発投資銀行」という名前の”善玉”民間銀行として登場する(民は善?)。
 だが、実際には”完全民営化”には至っていない。

 「もともと特殊法人だったのが2008年に株式会社化しており、その意味では2009年のJAL再建問題時には既に「民営化」していました。しかしながら、株式は100%政府(財務大臣)が保有(2020年統合報告書69頁)しており、未だ政府系の金融機関であることは変わりなく、「完全民営化」はしていないという状態です。ドラマの開投銀も、第7話開始時点ではおそらく同様の状態だったと思われます。

 「政投銀は、復興金融金庫、日本開発銀行、北海道東北開発公庫と旧日本政策投資銀行が統合して2008年に設立された、政府が100%株式を保有する政府系金融機関である。当初は12~14年をメドに株式をすべて売却し完全民営化される予定であったが、08年のリーマン・ショックや11年の東日本大震災に伴う危機対応から延期され、15年に5~7年後に完全民営化すると仕切り直された。 
 だが、「今回のコロナ対応で当面、完全民営化はなくなった」(メガバンク幹部)というのが金融界の共通した見方だ。

 ちなみに、原作の「半沢直樹2 オレたち花のバブル組」をざっとチェックしたが、「開発投資銀行」らしき銀行は登場しない。
 これはTBSの独創だったのだろうか?
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最後の棒倒し(4)

2023年03月24日 06時30分00秒 | Weblog
 今回の”投資”の特徴は、① 国家主導の、② 軍事一点集中、というところにある。
 これは、一見すると、80年代から続く「民営化」の流れに逆行するようにも見えるが、必ずしもそうではない。
 「民営化」という言葉を使うから錯覚してしまうのであり、問題点は共通していると見る。
 私見では、中曽根内閣時代の「民営化」と竹中平蔵氏以降の「民営化」とでは、異質な側面もあるが、やはり一種の継続性があると思われる。

 「国鉄末期の債務残高は37兆1,000億円と巨額であり、本州JR3社および貨物会社が11兆6,000億円を負担、残る25兆5,000億円を国鉄清算事業団処理としました。最終的にはJR本州3社が14兆5,000億円を負担。国鉄清算事業団は債務を減らすことができず解散、現在は鉄道・運輸機構が引き継いで処理を行っています。タバコ税の一部が国鉄債務償還に使われているのはご存じの通りかと思います。・・・
 なぜ、国鉄のままとJR転換でここまで変わるのでしょう。それは債務の有無です。JR北海道は国鉄債務負担を免除されました。その上で経営安定基金を付与され、その運用益で赤字をカバーすることにしました。そのため、最低限の車両などの設備に投資する資金は用意でき、設備改善で客が増えれば、さらにそれを投資に回せるというサイクルが生まれます。経営安定基金自体は税金ですが、これを取り崩すことは認められず、その運用益は税金では無いので、国としても補助金などで赤字補助する必要がないわけです。あくまでJR北海道は自主的に運営できる土壌を手に入れたのです。

 中曽根内閣が行った「民営化」の筆頭とも言うべき国鉄の分割・民営化について言えば、これが政府の一部門の「破綻処理」であり、一種の事業再生であったことは明らかである。
 だが、信用面では、「民営化」は行われたのだろうか?
 国鉄・JRの信用面に着目すると、国鉄時代の資金調達は、債券(主に)縁故債と借入金(主に資金運用部資金)の二本柱だったのが、JRになってからは借入金主体へとシフトしていることが分かる( 国鉄の資金調達システム:経営破綻と民営化・p17)。
 JR以降で注意すべきは、当初は民間借入金が増加していたが、やがて頭打ちとなり、代わりに日本開発銀行(当時)からの借入金が激増したことである(JR東日本:平成10年時点で約4000億円)。
 当時、日本開発銀行(当時)の融資は、資金運用部資金が主たる調達源となっていた。
 もっと細かいデータが欲しいところだが、差し当たり、「国から民間へと負債を付け替えようとして、最初は上手くいくかのように思えた。だが、その後民間金融機関に限界が来て、政府系金融機関への依存度が高まった」という分析が可能だろう。
 おおざっぱに言うと、結局のところ、中曽根内閣による「民営化」は、直ちには、「国庫(ないし公庫)という一元的信用装置」の解消には向かわなかったのである。
 
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最後の棒倒し(3)

2023年03月23日 06時30分00秒 | Weblog
(日本の安全保障に関する初歩的な確認事項(続き))
 「「反撃」は復仇(やり返すこと)と見なされる。・・・
 幾らこちらが「発射基地だけを攻撃するのだ」と言い訳しても(発射基地自体散開している、もしくは機動的でありうる)、全面的な撃ち合いになり、その場合結局相手との体力勝負になる。すると、さしあたり中国を想定するならば、そして北朝鮮だけに相手を限定することが不可能である以上、これに対して全面戦争をすることになる。だから、中国との全面戦争というものを検討しなければならなかったはずである。」(p57)
 「第二の逃げ道は、「抑止力」である。・・・
 しかし、このロジックは爆笑ものである。・・・
 トゥーキュディデースは、脅威作出戦術予防効果論を、本当にやってみせなければ相手にとって脅威にならない、恐怖の心理を植え付けられない、結局やって見せることになり、予防にならず、泥沼戦争を招く、と当時のアテーナイの軍事戦略を批判した。」(p58~59)

 「岸田文雄首相は27日の衆院予算委員会で、政府が保有を決めた敵基地攻撃能力(反撃能力)の手段を巡り、相手国の領空に自衛隊機が入って軍事施設を爆撃する可能性を問われ「あり得る」と述べた。

 「敵基地攻撃」が全面戦争を招くことは容易に予想されるところだが、政府内で、中国との全面戦争を具体的に検討した気配はない。
 常識で考えれば、局「内」中立というのが、ほぼ唯一に近い選択肢と思われるが、なぜかこれは排除されている。
 そして、国家による軍事分野への投資が、その内容を決める前に「額」だけ先行して決められてしまう。
 こんな風に、「敵基地攻撃能力」→軍事一点集中の「国家主導投資」というあらっぽい話が出てきたのはなぜか?
 それは、やはり、長年続いてきた「棒倒し」(木庭先生の言葉によれば、「絶望的な最後の万歳突撃」)をしたくてたまらない集団が、国の中枢に存在するからである。
 
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最後の棒倒し(2)

2023年03月22日 06時30分00秒 | Weblog
(「日本の安全保障に関する初歩的な確認事項(続き))
 「まず、中国は台湾について権原を主張し、この主張は認められている。アメリカも、「一つの中国」を承認している。「自分の領土だからと言って武力行使することは認められない」としているに過ぎない。・・・
 また、中国と台湾の和解という可能性も視野に入れるべきである。・・・
 いずれにせよ、台湾問題はまず米中問題であり、アメリカに付き従う分でだけ日本の問題なのである。」(p56)

 ここで木庭先生は、台湾問題を「日本の問題」として捉える見方に疑念を呈している。
 この見方によれば、中国と台湾の和解だけでなく、将来的には、アメリカと中国との(日本の頭越しの)”手打ち”の可能性も視野に入れる必要があるだろう。
 他方において、私見ではあるが、アメリカの衆愚政治と中国共産党&軍の”暴発”との相互作用によって、米中全面衝突の場面が生じる可能性もゼロではないと思う。
 また、ここ数年、アメリカの対中政策ブレーンが本格的に中国共産党の弱体化を図ろうとしていることも確実だろう。
 いずれにせよ、台湾問題に関して、日本が独自の判断で動く重要なアクターであるというのには無理があるだろう。
 さて、もっと重要なのは以下の点である。

 「要するに2014年以来のウクライナ侵攻の脈絡が台湾海峡にはない。したがって、アナロジーが成り立つ形での軍事侵攻は生じ得ない。
 アナロジーが成り立たない以上、中国がウクライナに対するロシアのようにして台湾へと侵攻するであろうとは言えない。そのように言える場合にさえ、NATOも、自分たちが攻撃されたとは考えず・ミサイルのポーランド着弾事件に見られたようにそう考えなければならないことを悪夢と考えている、くらいだから、台湾に連帯するとしても、経済制裁と間接的軍事援助の形態となる。参戦はおろか反撃もない。」(p57)
 
 つまり、「自分たち」(アメリカや西欧諸国等)と台湾との間には、市民社会レベルでの連帯が存在していない点が決定的に重要なのである。
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