「大接戦をきわめるアメリカ大統領選挙」
「アフガニスタンにて血みどろの死闘」
「神によって仕組まれた壮大なる出し物」
ときけば、2001年9月11日に起こった同時多発テロ事件を思い出すのではないか。ところが、上の3つの引用は、1851年に発表されたメルヴィルの「白鯨」の第一章からのものなのである(メルヴィルと白鯨については「秘島めぐり(その5)」で紹介した)。しかも、作者のメルヴィルは、世界貿易センタービルから数ブロックと離れていない、パールストリート(バッテリー・パークの隣)で生まれているのである!
この奇妙な一致については、巽孝之先生を含む多くのアメリカ文学者によって指摘されているらしく、その辺の事情は、「『白鯨』アメリカン・スタディーズ」(みすず書房)に詳しい。
恥ずかしながら、「白鯨」ときけば、バーディーは、小学生時代に見たテレビアニメの「ムーの白鯨」の方を先に思い浮かべてしまう世代である。とはいえ、メルヴィルの「白鯨」については、大学時代に読んだ記憶があり、かなり退屈な作品と思っていたのだが、アメリカ文学者の解説を読むと、あまりの深さに恥じ入ってしまうくらいの名作なのである。今では、文句なしに「世界の名作10大文学」の一つに入るだろうと確信している。
どれくらい深いかというと、この小説を読む前に、まず旧約聖書を読まなければ内容を十分には理解できないくらいなのである。例えば、白鯨に片足を食いちぎられ、復讐の鬼と化した「エイハブ船長」は、旧約聖書においてエホバの神を捨てたイスラエルの王アハブの英語読みなのである。このようなプロットはほかにもたくさんある(これらをわかりやすく指摘したブログを発見)。
うーむ、旧約聖書を再読してみるとするか。
「アフガニスタンにて血みどろの死闘」
「神によって仕組まれた壮大なる出し物」
ときけば、2001年9月11日に起こった同時多発テロ事件を思い出すのではないか。ところが、上の3つの引用は、1851年に発表されたメルヴィルの「白鯨」の第一章からのものなのである(メルヴィルと白鯨については「秘島めぐり(その5)」で紹介した)。しかも、作者のメルヴィルは、世界貿易センタービルから数ブロックと離れていない、パールストリート(バッテリー・パークの隣)で生まれているのである!
この奇妙な一致については、巽孝之先生を含む多くのアメリカ文学者によって指摘されているらしく、その辺の事情は、「『白鯨』アメリカン・スタディーズ」(みすず書房)に詳しい。
恥ずかしながら、「白鯨」ときけば、バーディーは、小学生時代に見たテレビアニメの「ムーの白鯨」の方を先に思い浮かべてしまう世代である。とはいえ、メルヴィルの「白鯨」については、大学時代に読んだ記憶があり、かなり退屈な作品と思っていたのだが、アメリカ文学者の解説を読むと、あまりの深さに恥じ入ってしまうくらいの名作なのである。今では、文句なしに「世界の名作10大文学」の一つに入るだろうと確信している。
どれくらい深いかというと、この小説を読む前に、まず旧約聖書を読まなければ内容を十分には理解できないくらいなのである。例えば、白鯨に片足を食いちぎられ、復讐の鬼と化した「エイハブ船長」は、旧約聖書においてエホバの神を捨てたイスラエルの王アハブの英語読みなのである。このようなプロットはほかにもたくさんある(これらをわかりやすく指摘したブログを発見)。
うーむ、旧約聖書を再読してみるとするか。