Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

全員求婚

2021年08月31日 06時30分12秒 | Weblog
オペラ公演ラインアップ「ルル」・・・東京二期会
 「かつて貧民街で暮らしていた少女ルルは、新聞社の編集長シェーン博士に拾われ、彼好みの女性として成長する。次第にルルは、妖艶な魅力を放つようになり、シェーンは彼女と関係を持つ。ルルと愛人関係を続けるシェーンだが、彼は高級官僚の娘と交際を始め、ルルを初老の医事顧問と結婚させてしまうのだ。
 ある日、ルルの肖像画を描いていた画家が、彼女に魅了され、言い寄り始める。事の次第を知った夫の医事顧問は、心臓発作で死んでしまう。ルルは画家と再婚するが、ルルの汚れた過去の真実を知り、彼もまたショックで自殺する。
 ルルはついに望み通り、シェーンと結婚する。しかし、男女を問わず怪しげな信奉者たちとの関係を続けるルルに、嫉妬で常軌を逸したシェーンは、ルルに拳銃を持たせて自殺を強いるが・・・。


 昨年7月に上演されるはずだった新作オペラの延期公演。
 あらすじをちょっと読むだけで、「これはヤバい」という感じだが、単なる「ファム・ファタル」ものではない。
 「ファム・ファタル」劇の場合、女主人公に翻弄される男(例えば、「カルメン」のドン・ホセ)の方に焦点があてられることが多いが、本作はそうではない。
 そのことを示すのが、ルルに寄り添うように動くダンサーで、これは彼女の魂を象徴しているらしい。
 これによって、本作が、自分の魂はすぐそばに・常に存在するにもかかわらず、そのことに気づかなくなってしまうルルの物語であることが分かる。
 ルルに近づく男たち(及び同性愛者の女性)はみなルルに魅了され、全員が彼女に求婚するような有様である。
 ルルの方も、12歳のころから娼婦のように育成されてきて、周囲の人間が自分を性の対象としてしか見ないため、自分自身を、魂の抜けた抜け殻=身体のみの存在としてしか把握できなくなってしまう。
 要するに、アイデンティティが完全に他者によって規定されてしまうために、自分の魂が行方不明になっているわけである。
 なんだか、原作が読みたくなってきた。
 
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笑う人・笑わない人

2021年08月30日 06時30分39秒 | Weblog
「笑ってはいけない」が大ピンチ! 〝痛みを伴うネタ〟BPO審議入りでお笑い界に激震
 「BPOの青少年委員会は、視聴者やBPOの中高生モニターから、出演者に痛みを伴う行為を仕掛け、それをみんなで笑うような、苦痛を笑いのネタにする各番組は「不快に思う」「いじめを助長する」などの意見が継続的に寄せられてきていることなどを踏まえ、議論した。その結果、青少年に与える影響の重大性を鑑みて、審議入りすることを決めた。

 この問題は相当難しい。
 私の世代だと、とりわけ教育現場において、体罰が日常化していた。
 小学校時代に宿題を忘れるとホウキで「百叩きの刑」(スパンキング)を受け、中学校時代の部活では飛び蹴り指導するバレー部の指導者がおり、高校時代は部員の顔面にグーでパンチをして奥歯を折った(但し伝聞)剣道部の顧問もいた。
 私の見る限り、これに対する反応は二極化するようで、① 体罰を含む暴力全般に嫌悪感を抱くようになる、② 暴力に対する感覚がマヒしてしまい、加害者を模倣するかのように、他者に対し「これくらい大丈夫」と暴力をふるってしまう、というものがみられる。
 他人が苦痛を感じる場面を見て「笑う」のは、おそらく②のタイプだろう。
 人間の本能に攻撃的な衝動が含まれていることは間違いないが、これを抑圧しないと正常な社会生活を営むことは不可能である(「不快感を感じる」というのは、おそらく抑圧の一作用と思われる。)。
 だから、普通の人間は、少なくとも人前では攻撃的な衝動を隠すものだが、これを抑圧しない人も一定数存在する。
 いわゆる「識者」が指摘しているのは、問題なのは、暴力を容認するかのような映像が日常的に流れる環境で育つと、「暴力なんて抑圧しなくていいんだ」と勘違いしてしまう人が出てしまいかねないということである。
 これは、確かに正しいようである。

「体罰」を禁じることで若者の暴力性が劇的に減少することが88カ国40万人を調査した研究で示される
 「この結果について、主任研究者でモントリオールのマギル大学のフランク・エルガー准教授は「現時点で言えるのは、体罰を禁止している国で成長した若者は、そうでない国の若者に比べて暴力性が低い、ということです」と述べています。
またこの傾向は、国ごとの裕福さや殺人率の違いには関係ないことが確認されているとのこと。つまり、成長期にある子どもに体罰が加えられる環境があるかどうかによって、その国の若者の暴力性は一定の影響を受けるということになります。体罰を受ける子どもは「自分は望まれない人間なんだ」と考えることや、体罰を受けた子は大人をまねて自分も体罰で「しつけ」をする連鎖が生じることも明らかになっているとのことです。


 こういう調査を見ると、「暴力的な映像は一切禁止するのがよい」という結論になりそうだが、そう簡単ではない。
 暴力を禁圧して日常から締め出してしまうと、(ガス抜きがないために)かえって攻撃衝動がマグマのように溜まって増幅されてしまう(格闘技に反則技を多く設定すると、「地下格闘技」が流行するようになるのと似たような現象かもしれない。)、あるいは、抑圧された人間の本能的な攻撃衝動(「死の欲動」を含む)が自分自身に向かい、神経症やうつ病などを発症する、というリスクも考える必要がある。
 妥協点を見出すとすれば、「夜11時以降のみ、スパンキング程度を限度とする映像であれば許容する」というものが考えられる。
 
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ロレンス不在

2021年08月29日 06時30分06秒 | Weblog
何が悪かったのか:アフガニスタン政権瓦解を生んだ国際社会の失敗
 「現地情勢を行う分析官の多くが現地語を理解せず、もっぱら翻訳されたものや中東系移民からの情報に依存して、自身でナマの情報を扱わない。イラク戦争の数年後、イラクやアフガニスタン情勢を分析報告する米シンクタンク系の第一線の専門家に、アラビア語は読むのか、と聞いたとき、こう答えたのが印象的だった。「情報が多すぎる。現地語で読んでいる暇はないので、全部通訳に依存している」。なるほど、今回、数多くのアフガニスタン人通訳が真っ先に国外脱出を希望したのは、それだけ米軍や米関係企業が通訳や現地助手に依存しなければならなかったことをよく表していよう。
 だが、こうして、情報が歪む。じかに社会に接しての情報や知識が、得られない。

 「かつて現地の方言を駆使し、地元部族とツーカーの関係を積み上げて大英帝国の植民地統治に大いに貢献した、T.E.ロレンスやガートルード・ベルのような考古学者が重用されていれば、米国はアフガニスタンで成功したのだろうか?」

 米政府が情勢を読み誤った原因の一つとして、「翻訳情報への依存」が挙げられている。
 政策立案者がアラビア語を解せず、イスラム教を知らないというのであれば、正確な情勢分析が難しいというのは一理あるだろう。
 例えば、BBCなどを観ても、タリバンに good faith (信義誠実)があるかどうかを見誤ったのではないか、要するに相手の「肚の内」が分からなかったのではないかという指摘が出ているが、おそらくそうなのだろう。
 こういう風に考えてくると、アラビア語やアラブの文化に精通した「アラビアのロレンス」のような人物が政権中枢に不在であったことが、今回の悲劇の一因だったのかもしれない。
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カスタマイズ

2021年08月28日 06時30分49秒 | Weblog
今、中古マンションが予想外の売れ行き。値引きしなくても成約続出する複雑な事情とは
 「まず、「中古マンションを買いたい」という問い合わせが多く、売り物が出れば短期間に成約する。その事実だけをみると、「中古が売れている」ということになる。
 が、一方で、「売り物が極端に少ない」とすべての不動産仲介会社が口をそろえる。
「買いたい」という人が多いのに、売る人が少なく、希に売り物が出れば短期間に成約するという状況が生まれているわけだ。それは、成約価格にも影響している。


 中古マンションの需要が伸び続けているらしい。
 背景には、言うまでもなく、コロナ問題による「巣ごもり」がある。
 会社に近い都心ではなく、郊外の中古物件を、自分の好きなようにリノベするというパターンが増えているらしい。
 これがマチベンの業務にどう影響するかというと、おそらく、離婚の成立を促進する作用があると思う。
 というのは、持ち家が高く売れるうちに離婚を成立させ、「ローンを完済して再出発」という方向に傾くのではないかと思われるからである。
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ソーシャルレンディング

2021年08月27日 06時30分19秒 | Weblog
政界を揺るがす大事件か!?これぞホントの"疑惑のデパート" 関係者にはビッグネームが続々!!事情聴取直前の不審死が怖すぎる。。。
 「手首切ったくらいじゃ人間死なないから・・・。見せしめだ・・・。」(19:05~)

 相も変らぬ「政・官・財の échange」の一場面だが、ソーシャルレンディングが絡んでいる点が目新しい。
 ソーシャルレンディング会社(「財」のヴィークル)からの融資金額は数十億から百数十億にのぼっており、政府系金融機関(「官」のヴィークル)の数億円とはケタが違う。
 この種の集団にとっては、ソーシャルレンディングという仕組みは使い勝手がよいのかもしれないが、さすがに規制の強化が必要なことは間違いない。
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メダル不要

2021年08月26日 06時30分29秒 | Weblog
パラリンピックきょう開幕 史上最多4400人参加
 「学校連携観戦では障害を乗り越えて限界に挑む姿を通して、障害のある人への理解を深めるという意義もあります。この大会を通して子どもたちだけではなく、社会全体で多様性を認める共生社会につなげていけるのか、きょうからその13日間がスタートします。

 パラリンピックが開幕した。
 だが、「多様性を認める共生社会」と言っておきながら、「障害を乗り越える」という発想から脱却出来ていないのは不可解である。
 私が違和感を抱くのは、パラリンピックが、「障害の克服」を前提として、オリンピックと同じ「勝敗・優劣を競う」という枠組みの中で行われている点である。
 「勝利と優越」を重視する立場からすれば、「敗者・劣者」は切り捨てられてしまうはずであり、こうした発想が障害者差別と類似したものであることは否定できないだろう。
 パラリンピックの存在意義を否定するわけではないけれども、あえて「勝敗・優劣」とは異なる発想に立つことによって、「多様性」を生み出すべきではないかと考えるわけである。
 そのためには、メダルの廃止、あるいはこれに代わるものを創出することも一案ではないかと思う。
 
 
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干す

2021年08月25日 06時30分12秒 | Weblog
「雨上がり決死隊」解散でわかった吉本興業の深謀遠慮 宮迫博之に“倍返し”も達成
 「これに対してSNSでは、《テレ朝の宮迫への決別か》といった声も上がっていた。ところが、「吉本興業が宮迫に突きつけた“完全決別”だった」と言うのは、民放ディレクターだ。
「番組でも、今年4月に蛍原さんから解散を切り出したと言っていましたが、宮迫さんにとっては、コンビ解消は地上波テレビへの復帰への道が閉ざされることになるため、ずっと断り続けていた。しかし、実際は吉本興業が今回の解散発表を進めてきたのです。吉本は2年前に宮迫とは契約解除しているにもかかわらず、彼が『吉本に戻りたい』と言ってみたり、彼のYouTubeに吉本の後輩芸人などを出演させることを、快く思っていませんでした。所属する芸人には、『宮迫のYouTubeチャンネルには出演しないように』とも言ってきましたが、あまり強制力もなかったため、古くからつきあいのある芸人たちは彼のYouTubeに出演してきた。これらをやめさせたかったんです。あえて彼らの冠番組『アメトーーク!』のセットを使い、正式な解散発表であることを視聴者や芸人にも知らしめ、さらに『今後、絶対に宮迫を起用するなよ』というメッセージを全テレビ局に伝えるための公式イベントなんです」


 独立阻止の時点である程度予測出来たが、芸能界ではよくある「干す」動きがまたもや見られた。
 闇営業問題において、宮迫氏に背信的な行為があったことはある程度知っているけれども、他の芸人と比べてあまりにも厳しい対応であり、「見せしめ」の感が強い。
 やはり、この件でも私は、「集団が個人を抑圧する構図」を見るようで、不快な気持ちになるのである。
 
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生き延びたトリスタンとイゾルデ

2021年08月24日 06時30分35秒 | Weblog
第16回〈世界バレエフェスティバル〉―ベジャール振付「椅子」上演にあたって
 「2.老人:セミラミス、お客さまですよ。さあ、急いで。お待ちかねだよ、お客が。
 家内はけっしてうそはつきませんですよ。
 そりゃ、わたしどもは年寄りですが、恥ずかしい真似はいたしません。
 お茶をお飲み、セミラミス。あなたがわたしのイゾルデになってくださったら。そして、わたしがあなたのトリスタンに。美しさは心の中にこそあるのです......おわかりでしょう。


 ウジェーヌ・イヨネスコの「椅子」に基づくバレエ作品。
 「95歳の老人と94歳の老婆が、おびただしい数の椅子が運び込まれた舞台で過去を振り返りながら、人生の意味についての重大な発表をするために姿の見えない客を呼び集めるという設定」らしいが、「年老いたトリスタンとイゾルデ」というのは絶妙である。
 Liebestod (愛の死)を生き延びて95歳・94歳になった二人は、時間の中で迷子になってしまい、美しい過去の瞬間を探し求めているようである。
 これはもはや、バレエというよりは、バレエを裏側から眺める演劇のようなものである。
 プログラムの中にこの種の”アンチ・バレエ”をぶち込んでくる主催者とフェリ&ロマンには拍手を送りたい。
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無条件アウト(2)

2021年08月23日 06時30分13秒 | Weblog
小言幸兵衛の日記:国語を大事にしない国民が繁栄できるはずはない
 「「さらに」という副詞は 存在するが、「一層の」という意味での「さらなる」という表現は正し い日本語ではない。
 「以上の議論に対して、「誤った用法でも、広く使われているものは認め るべきだ」との意見があるだろう。確かに、一般的にいえば、言葉にはそ のような側面がある。 しかし、ここで重要なのは、言葉や表現に対する感覚である。この場合 でいえば、「さらなる」という表現を珍妙と感じるか否かなのである。

 もう1つの「無条件アウト」が「さらなる」を用いることである。
 野口先生は、「言葉や表現に対する感覚」の尺度としてこれを用いており、「さらなる」を用いるような「国語を大事にしない」人は「アウト」だとしている。
 私は、「さらなる」に「漢字と平仮名の混在」を付け加えたいと思う。

「進捗」を「進ちょく」と表記することが、日本人の頭を悪くする
 「「被曝」とかは最近は「被ばく」って書いたり、顰蹙なんて「ひんしゅく」って全然漢字じゃないじゃないか!って私は怒り心頭に発しているところです。この他にも「謙遜」が「謙そん」に、「進捗」が「進ちょく」に、「危惧」が「危ぐ」になったりして、一体この国はどこまでおバカになったんだ?と思うわけです。

 こちらの問題も深刻だと思うのは、漢字と平仮名とでは、脳内処理が全く違っており、活動する脳領域が違うからである。
 「進ちょく」などという言葉を記憶した子供は、おそらく一生これに応じた脳内処理が染みついてしまい、「進捗」を受け入れられなくなるのではないだろうか?
 
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無条件アウト

2021年08月22日 06時30分49秒 | Weblog
たった一言で信頼を失う (野口悠紀雄)
 「私は次の2つの場合には、無条件に「アウト」と判定している。
私の名前を「野口悠紀夫」と誤記してある場合。名前を間違えるのは、私のことはどうでもよいと考えている証拠だからだ。間違えている本人にその意識がなく、単に誤記された名簿を機械的に使い続けているだけだとしても、そうである。
「さらなる」という表現が用いられている場合。「さらなる」という日本語は誤りである(詳しい説明は、拙著『「超」文章法』(中公新書)の第6章を参照されたい)。これを平気で用いている人は、文章についての気遣いがないことを暴露している。そうした人の書くものは信頼できないと考えて、間違いない。


 この前半と同じ内容は、学生時代に別の本で読んで強い印象を抱いた記憶がある。
 それからというもの、私の名前を誤記する人は注意深く観察してきた。
 多くの人は、特に被害を受けることはなかったのだが、手紙やメールの宛名の私の名前が間違っているので、何度か「間違っていますよ」と指摘したにもかかわらず、名前を訂正しないまま3年ほど放置していた人の件で、つい最近、ちょっとしたトラブルが起きた。
 ある事件で、私はその人と一緒に仕事を行うことになり、私は、その人が作成する書類に連署して裁判所に提出する立場となった。
 ところが、その方が記載した事件名の記載が全部間違っていたというので、書記官から電話があり、気を利かして「こちらで作り直しますね」と言ってくれて事なきを得た。
 それが去年の話で、その際、「事件名の記載が間違っているので、今後は訂正して下さい」とメールをしておいたのだが、今年になっても訂正されていなかったのである。
 私が知る限り、裁判所というものは、「事件名・事件番号を間違える」といったたぐいのミスに対してはかなり厳しいはずである。
 本当のところ、わざわざ書類を作り直す書記官の手間暇を考えると、非常に申し訳ない思いがする。
 「無条件アウト」という野口先生の指摘は、正しいように思うのである。
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