苦労と不幸

　「若いうちの苦労は買ってでもせよ」という。のちに役に立つからというのだ。
　うちの顧問先の経営者で、裸一貫で東京に出てきて、その後いくつか会社をつぶしながらも最後には成功し、現在裕福な生活を送っている人がいる。若いころの苦労は並大抵ではなかったらしい。だから、どんな逆境にも耐えられたのだろう。
　だが、「不幸」となると話は違う。フランソワーズ・サガンの「すばらし雲」だったと思うが、こういう一文があった。

「不幸は人間に何も教えず、人を醜くするだけだ」

　まさに至言。「若いうちの不幸は金を払って逃げよ」

学力の低下

「ｈｅ（彼）」を「ヘー」と発音したりする新入生
　学力の低下は、約３０年前から始まっていたが、「ゆとり教育」の導入により本格的に加速化したそうである。日本人（15歳）の学力テストの点数は確実に低下しているらしいし、英語力に至っては、ＴＯＥＦＬスコアーでいうと、かろうじて北朝鮮を上回るブービー（アジア諸国中）というありさま。大前研一氏の指摘では、ハーバードに留学する日本人は１人か２人しかおらず、その程度の英語力なのだという。
　国立大学の中には、ＡＯ入試を廃止するところも出てきたが、私立大学はある意味では客商売なので、少子化が進む中、厳しい試験を課すことは難しいだろう。
　悲しいことだが、多くの学生にとって、いわゆる「勉強」とは受験勉強とイコールであって、それ以外の目的を持って勉強する人間は少ない。かくして、学力低下に歯止めはかからないと思われる。

あるまいか

「注文者が瑕疵の存在することを知りながら何等の留保をせずに引渡を受けた場合・・・・・・は、原則として（瑕疵担保請求権の）放棄の意思が表示されたとみてよいのではあるまいか」（我妻栄「民法講義・債権各論中巻２」ｐ６３６）。

　我妻栄先生の「あるまいか」は、先輩弁護士によると、「断定」と見てよいそうである。
　このような「約束事」は、独学者には分かりにくい。

強力犯？

「産ませたら不幸になる」　容疑の医師が供述　不同意堕胎事件
　「不同意堕胎」という珍しい罪名で、捜査１課が担当しているそうだ。
　捜査１課といえば、殺人や強盗などの「強力犯（ごうりきはん）」が捜査対象なのだが、今回の事件はどちらかといえば「知能犯」的な犯罪であり、捜査２課の手法が合っているような気がするのだが・・・。

却下

元局長、無罪の公算…部下の供述調書不採用
　検察の無理筋が破たんしつつある。論告が書けないのではないかという声もある。
　かつて、事務所事件で、被告人の供述調書の申請が「必要なし」との理由で却下されたことがあり、結論は有罪だった。だから、郵便不正事件も、無罪と言い切るのではなく最後まで分からないと言っておくのが無難かもしれない。

半分本気

北、韓国との関係断絶
　こういった言動が得意の瀬戸際戦術だと思って油断していると、前線の兵士がちょっとした隙になだれ込んできて、ドンパチが始まる・・・などという想像をしてみる。
　軍事演習をしていたら交戦が始まったなどという例もあるし・・・。

保守って何？（その２）

治安維持法(大正14年法律第46号)
　第一条　国体ヲ変革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シ又ハ情ヲ知リテ之ニ加入シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス

　平沼赳夫氏が「新潮45」（6月号）に「なぜ自主憲法を持たないのか」と題する論文を寄稿している。
　平沼氏のことを「保守の政治家」と呼ぶ政治評論家がいるけれども、その評価は疑問である。例えば、
「この天皇という存在を中心にして、・・・いかにして国益を守るかに腐心することが重要なのだ」（ｐ２８）
とあるくだり。天皇制と国益（おそらく経済的利益）を並列扱いしているのは、上掲の治安維持法第１条と同じである。
　天皇制（国体）と資本主義（私有財産制度）を並列扱いする発想が奇妙だ。これは「文化防衛論」で三島由紀夫が指摘したことなのだが。

内定率

内定率また下がって４７．８％に急落 (ゲンダイネット)
学生を接待漬けにしていた！ [バブル時代の就職活動]
　少子化のせいもあり、花よ蝶よと大切に育てられてきたのに、社会に出ようとするとくじかれる・・・大変な時代である。
　バブル時代は、ハワイに拘束旅行（他者に内定者を奪われないように内定者を集めて遠方に旅行に行くこと）に連れて行った企業もあった。
　諸行無常。

リーク戦術

大阪・淀川ポリ袋女性遺棄　養父の死に飛び交う憶測 (ゲンダイネット)
　捜査の詰めを行わないまま情報をリークしたために養父の死（自殺）を招いたという指摘は一理あると思う。
　情報を小出しにリークして重要参考人を追い詰めていく作戦はよく見られるが、本件のように自殺のおそれがある場合にこれをやってしまうと、真相解明ができなくなってしまいかねない。
　ところで、バーディーが経験したところでは、警察がマスコミにリークした情報が正確でないことはよくある。被疑者が否認しているのに、新聞には「容疑を認めているという」などと書かれていて唖然としたこともある。

女帝

名門セイコー　ホールディングス　殿と女帝が取締役会クーデターで「電撃解任」されるまで
　「女帝」のパワハラでうつになった社員もおり、興信所に依頼してターゲットの社員を尾行させていたそうである。小さな独裁国家である。
　こういうパワハラの温床となったのは「女帝」を徴用した会長であり、会長にモノ申す人間がいない同族経営であった。社外取締役の原田明夫（元検事総長）の動議がなければ解任されなかったのだ。
　やっぱり同族経営はいかんというのが結論か。