東京女子医大病院の医療事故で両親が告訴状
医療事故でわかった麻酔薬プロポフォール使用のムジュン
東京女子医大病院で63名の子供にプロポフォールを投与し、その後12名が亡くなっていたという事件が取りざたされてしばらくたつところ、被害者の一人の両親が医師らを刑事告訴した。
一般の人が見たらとんでもない事件だと思うだろうが、被害者側が民事訴訟を提起するとなると、過失の認定という高い障壁が待っており、必ずしも容易ではない。
例えば、「小児の救急医療の現場において約4割がプロポフォールを使用している」という報告もあることから、「2014年時点においては、小児の救急医療において、プロポフォールを使用してはならないとの『医療水準』が確立していたとはいえない」という認定を裁判所が行う可能性がある。
それだけではない。成人に許容されている量を超える大量投与の点についても、「小児が暴れることにより頸部が損傷するのを防ぐためには、継続的にプロポフォールを投与したことは医師の『裁量』の範囲内にあった」という判断がなされる可能性がある。しまいには、「プロポフォールの投与と死亡との間に因果関係があるとは認められない」という厳しい判断もありうる。
これが医療過誤訴訟の実態であり、だからこそ、認容率が3割未満にとどまっているわけである。