明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



しばしば、奥さんが朝定食の準備に起きてくる5時まで飲んでしまうT屋だが、主人のHさんからよく聞く話で、私の住むマンションの横を流れる大横川で、川鵜が極太のうなぎを、懸命に飲み込んでいるのを見たというのがある。誰も信じてくれないので、密かに仕掛けをしたというが、当然のように捕まえた話は聞かない。焼酎のコップを持ったまま、身振り手振りを交えて「ウソじゃないって」。釣り人の中には、鱗一枚を一匹と数えることに決めているのではないか、という大ボラ吹きもいるが、Hさんは、根が真面目で、そんなウソをつく男じゃないことはもちろん知っている。問題は、目撃したのが、飲酒の揚句の朝帰りの時だということである。「そんな酔ってなかったって」。酔っ払いはみんなそういう。誰かから幽霊の目撃談を訊いた場合、「それはまさか、寝床の話ではないだろうね?」大概は寝床での話であり、もうその続きはけっこうということになる。 今晩はHさんに助っ人が現れた。一緒にウナギを目撃したKさんである。「いや、でかかったよなー。あの時デジカメもってたらなァ」酔えば酔うほど、この信じる心を持たない判らず屋に対して、身振り手振りの熱弁なのだが、同じ穴のムジナが鱗の数ほど現れたところで、私の見解が揺らぐことはない。あと2、3時間で、今日だって大ウナギが現れるぜ、といいたかったが止めておいた。

01/07~06/10の雑記
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