明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



近所の古石場文化センターは、小津安二郎の地元だからだと思うが、映画に力を入れている。しょっちゅう某かの映画を上映しているが、今ロビーでは、区民が持ち寄った映画に関するコレクションが展示されている。私も些細なコレクションを提供しようと思ったが、ラナ・ターナーやキム・ノヴァクのサイン入りポートレイトはともかく、どちらかというと自慢すべきは、○○温泉芸者や尼物や海女物。その他極道系など、小学生がお絵描きしていたりするロビーで展示するのは、ばかれるポスターが大半を占めるので止めておいた。寄贈された撮影機材のアリフレックスを眺めていると、横のモニターでは、各国の映画監督が小津に対する想いを語っているビデオが流されていた。小津が演出している映像が珍しいが、さらに『晩春』の、笠智衆がリンゴを剥くシーンが流れた。磨きに磨かれたような、ほんの短いシーンに、それだけでジンときてしまった。2階から聞こえてくる大勢の主婦達の、下卑たはしゃぎ声がかき消された。

01/07~06/10の雑記
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