明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



0系新幹線がなくなるそうである。先端の丸い部分が板金の打ち出しだったと初めて知った。開通直後、新し物好きな母方の祖母に連れられ,熱海まで行ってそのまま帰ってきた。祖母には申し訳ないが、子供のクセにただ景色が早く流れるというだけで全く興味がなく、ビュッフェの海老フライだけが嬉しかった。
借りてきた小津安二郎の『東京暮色』(57')と初カラー作品『彼岸花』(58')を観る。両方とも食堂は珍々軒で、バアの女給は桜むつこであった。始めてみる『東京暮色』には三悪追放運動の菅原通済もでていて、売春防止法の新聞記事を読んだり普通に役者していた。 女房に逃げられた銀行員の笠智衆に、子供を連れて実家に帰っている原節子。学生との子供を堕し、踏み切りで電車に引かれて死ぬ妹の有馬稲子。暗い場面で、なぜか春先にスキップのような軽快な音楽が流れていたりする。このシナリオで普通の監督が演出していたら、物凄くつまらないであろう。この一見奇妙ともいえる小津の演出法により、最後まで面白く観る。東京から女言葉がなくなって随分になる。

01/07~06/10の雑記
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