明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

浮草  


小津が大映で撮った『浮草』を観る。大映の作品は、子供の頃から音声が入力オーバーのような気がしていた。市川雷蔵や勝新太郎、田宮二郎など、記憶の中ではセリフがすべてバリバリいっている。以前何かのおり、関係者に聞いてみたことがあるが、それは映画館固有の問題だろうということであった。確かに賛同を得たのは、小学生の頃に、大魔神やガメラを、時に舞台の上のムシロに寝転がって、一緒に観た友人だったので、そんなもんかと思ったのだが、このDVDでも他の松竹作品と違ってオーバー気味に音が割れていた。 映画は里見とん原作の作品で、小津には珍しく土砂降りの雨のシーンがあるが、これはカメラの宮川一夫が進言したらしく、結果的にはメリハリが付き良かったように思える。それにしても中村雁治郎と、杉村春子の良さがたまらず、それを観たさに続けて2回観てしまった。まだ垢抜けしていない若尾文子に、お人形のような野添ひとみ。 旅回りの一座の話だが、まさかいないだろうと、適当な役者名の幟を作って立てておいたら、実在して問題になり、小津が気を使って当初のタイトル『大根役者』を替えたという説があるが、いかにもな話である。
産卵まじかと思いながら、一進一退を繰り返していたフラワーホーンのペアだが、いよいよ機が熟した感じである。

01/07~06/10の雑記
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