明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



実在した人をわざわざ作るのであるから、ただリアルなだけなら、残された写真があれば良い。本人はやるはずがない、やったとしても、そんな写真は残っていない、というものにならないと意味が無いのである。小津安二郎の場合、私の頭に最初に浮かんだのは、小津が息子のように可愛がり、自宅に小津設計の、小津自身の部屋までつくった佐田啓二。その遺児である中井貴一に、演技指導する小津安二郎である。 佐田啓二は小津の亡くなった翌昭和39年、後を追うように自動車事故で亡くなったが、父親の甘さには及ばないものの、中井貴一は最近実に良く似てきている。小津の亡くなる直前、入院中の小津と並んだ幼い写真も残っている。 我ながら面白いアイディアだと思ったが、実際依頼する場合の、実務上の諸々の問題を考慮する以前、中井貴一は、はたしてシャレが通じる人物だろうか?そんなことしか頭にない私である。着想の時点で、イメージ通りの小津像が完成するのか、ということもあり、この案はとりあえず鞘に収めている次第だが、さてそうなると次の一手である。 私は特に乱歩の撮影で、撮り終わった後、どうにもしようがない品々が手元に残ったが、今回も撮影に使える確証がないまま、只今注文したところである。

01/07~06/10の雑記
HOME

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )