明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



房総に行ったとき、一番シャッターを切ったのが海、空、次に焚き火であった。焚き火を都内で、しかも夜撮影するのは無理であろう。サンマを七輪で焼いていて通報されるご時世である。その時は今やっていることに使うとは思ってもいなかった。あの段階では、「飛び越えて来い」の初江、監的哨のシーンの焚き火のつもりであった。ところがあれだけ撮ったのに、結局実際には思っていたようにはいかず描いた。焚き火を使うことはもうないはずであったが、消去しないでよかった。三島で“焚き火”といえば『金閣寺』である。 夕方30分ほど遅れて飯田橋の『ホテル メトロポリタン エドモンド』へ。数年ぶりなので道に迷い通行人に「デスモンド ホテルは?」それはクラリネットみたいな音を出すサックスプレヤーである。でも通じた。送られてきた地図は見えないよう握り締めていたのはいうまでもない。地図を持ちながらでは恥ずかしくて道は訊けない。 授賞式会場へ。人のお祝いに出かけている場合ではないが、出欠のハガキを投函したときは、渡辺温があれほど難航するとは思っていなかった。今回個展でお世話になるギャラリーオキュルスの渡辺東さんもお見えになるだろうと出かけた。会場に着くとTさんから、私の個展のDMに文章を書くことになり、と伺った。初耳である。東さんから頼まれると嫌といえないのは私も経験済みである。なにはともあれ有り難いことである。これで3人の方にお書きいただくことになった。DMが一番立派だったといわれないよう、数人にご挨拶し、とっとと退散して制作を続けたのであった。

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