明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



1957年公開、松竹の木下恵介監督、佐田啓二、高峰秀子版。レンタルショップに行き、別店舗から取り寄せてもらうことになったが、女の子が電話に向かって「~悲しみもイクツキ」といっている。電話の向うでなおされたらしく「あ、イクサイゲツですか」。 目的は海上保安員の制帽の帽章を確認するためである。昭和三十年代がどうだったか知りたかった。海上保安庁が協力しているので間違いはないだろう。若干かもめの羽の形が違うようにも見えるが、仮に違っていたとしても、私の作品の中では全く問題はない。国際信号旗を三十年代仕様にしたのに、帽章が違っていたら台無しである。 私の作品は関節で動くわけではないので、ポーズごとに作らなければならないが、例えば銃撃される灯台守の、後ろにのけ反った状態を、写らないところまで作る理由がない。なるべく省エネでいきたいわけだが、切腹している明治のラストサムライを作るに際し、肝心なのは露出している胸と腹のはずだったが、調子に乗って全身の裸の状態を作り始めてしまった。裸は着衣と違って仕上げに格段の時間がかかるのだが。そうすると作った物は見せたくなるものである。この上から粘土で装束を着せ、撮影後それを剥がして、別バージョンを、というのを考えている。 今頃何を悠長なことを、ともう一人の私がいっている。

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