明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



三島は切腹願望が強く、そういった自身の写真を撮らせたり、同好の志との交わりも明らかにされてきている。明らかにされなくとも著作を読めば判ることであるが。三島で『男の死』となれば触れなければならないであろう。 私は以前、どこでも血だらけにする方法を考えた、と書いた。だが実際はある条件が必要で、どこでもというのはいいすぎであったが、大変上手くいき、披露した人をたじろがせるには充分なできであった。三島は映画『憂国』の撮影現場でもそうだったように“もっと血を”という人であった。舞台に僅かな傾斜を作り、流れ広がる工夫もしていたという。そんなこともあり、流血の背景画像に満足していた私だが、今になって考えてみれば個展会場を探すにあたり、まだ完成作がなかったとはいえ、先方にそれを披露していたのが断わられ続けた原因でもあったろう。私の作戦ミスであった。私としては『だってそういう人なんですから』。と単純に思っていたわけである。 告知ページにも書いたが、制作にあたっての私の発想は、たとえ故人であっても本人にウケたい、という想いであるが、結局三島以外の方々に披露することになるわけで、作者の私にしても、プロレスの流血がせいぜい、という実状もある。悩みどころであったが、本日、制作中の背景がピッタリということに気がついた。それは夜の屋外シーンであり、明るさの按配によって、仮に血以外の物まで出てしまっても加減できるというわけなのである。

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