明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



午前中に、神社額の前にひれ伏す河童の三郎を作る。いよいよ姫神様に人間どもへの復讐を願いでるわけである。そこでまず登場するのが、姫神の後見人?柳田國男の翁である。河童の皿がまだできていないが、後ろ向きで地面に頭をこすりつけている場面なので頭部が見えない。なんであろうとまず三郎を一カット撮りたかった。鏡花の文章は時に時間が前後する。おかげでたびたび作り間違えてしまった。読んですぐに画が浮かんでしまい、それが頭の中で固定してしまうせいである。そこで私も時間をいじってみた。右ページにひれ伏す三郎。左に初登場の翁。白い蝶を左から右に、一瞬前の時間に向け飛ばしてみた。書籍ならではである。 午後ようやく皿に毛を張り付ける。一度失敗していて二枚目。この一枚を使い回しするつもり。これで明日は怒濤の撮影に入る。制作となるとせっかちな私が、主役の河童の撮影を、何ヶ月待ったことであろう。

5時半に木場駅でYさんと待ち合わせ志らく一門会へ。私は国立の知人のお誘いで、嵐山光三郎さん主宰の落語会で志らくさんの噺を何度か聴いている。始めて伺ったときに二次会に参加したら、唯一空いている席が正面が嵐山さん。横が志らくさんという、人見知りには針のムシロだったことを覚えている。たまたま廊下で出番を待つ志らくさんの死にそうな?横顔を見てしまい、芸人魂に触れた気がした直後だったのでなおさらであった。 Yさんがゲストのミッキー亭カーチスことミッキー・カーチスさんの楽屋へ顔を出すというので、古今亭志ん生のプリントを持ってきた。志ん生を拝ませてやろうと他の楽屋に見せに行くミッキーさん。最初の結婚式の乾杯の音頭をとったのは志ん生だったそうである。いやはや。ひとくさり志ん生の口まね。そっくり。Yさんから聞いてはいたが、大変気さくで、TVで拝見するそのままの方であった。今日はまだ演目を決めていないという。 開演。しかしここで肝心なことが発覚。本日は志らく一門会にかかわらず志らくさんの出番はなし。なにしろ誘ってくれてチケットを取ってくれたYさんが、私と一緒に驚いている始末である。今日のハイライトはミッキーさんの『饅頭怖い』となる。饅頭怖いのが隣の外人というのがミッキーさんならでは。 休憩になりどっと疲れがでた。どうもさっきから足許がふらついている。寝不足である。そこで急遽有楽町のガード下に飲みに行くことに。Yさんと久しぶりにああだこうだと楽しく過ごす。

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