明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



今まで撮影に使って来たマンションの屋上の、2カ所ある出入り口が施錠されていた。1カ所は最上階の一番奥の私の部屋からすぐなので、機材その他、運ぶ手間がかからなかったので重宝していたのであるが。もう一昨年になってしまったが、三島由起夫へのオマージュの『潮騒あるいは男の死』で、海女着の女性に、ヒシャクでじゃぶじゃぶ水をかけながら撮影できたのも、この場所のおかげであった。屋上を一杯に使い、最適な光を求めて動き回ることはできなくなってしまったが、幸い主な被写体は小さな人物像なので、小さなスペースでも撮影は可能である。 雨の様子を見ながら撮影を開始する。柳田國男は濡れては困るので、河童の三郎のみ撮影する。三郎は、だいたい乾かないように霧を吹きかけながらの撮影なので、自分が濡れるだけで問題はない。 土下座して人間への復讐を願いでる河童の三郎。それをしゃがんで聞く柳田の翁である。 私はあくまで好色で自分勝手な河童として描いているが、撮影後モニターでチェックすると、三郎の表情が作者の私が意外に思うほど真剣なまなざしであった。お前はあくまで娘の尻を触ろうとして腕を折られ、筋違いの仇討ちを頼みにきたおバカな河童なんだぞ、と言い聞かせてみたが、まあこういうカットが1つくらいあっても良いだろう。採用。

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