明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



河童の三郎の頭部、喜怒哀楽他の表情を作ったのは今年の正月であったが、ここへきてようやく三郎のカットの仕上げに入っている。人間に対する河童の復讐譚であるが、主役の河童より先に、人間パートを済ませておいて良かった。近所の素人役者の方々が、想定外の演技、表情を見せてくれた。 先日編集者と打ち合わせの際、「このタクシー運転手、自腹で帽子まで用意してくれたのに1カットしか出ないから、もうちょっとこっちに」。(※私は計3カット提案したが却下されている。「炎天下、これだけやって使われるのは1カットだったりして」。という運転手の言葉が耳に残る。)アダージョで三島由紀夫を制作したとき、当初一人の練習生の顔に完全に文字がかかっていた。郷のお袋さんに表紙に出ること、すでに伝えているに違いない。デザイナーにお願いして顔が判るよう文字をずらしてもらった。私はそういう人間である。しかし編集者は違う。「もういいじゃないですか。人間部門が濃いので」。という訳なのであります。以上。 もっとも主役が不在のデータなので余計にそう見える。主役は河童の三郎である。あくまで人間達が三郎の喜怒哀楽を引き立たせる脇役になっていなければならない。結果、近所の役者の皆さんにハードルを上げられ、三郎を塗りなおし、甲羅をバージョンアップ、髪も変更することになった。後の素人役者の奮闘を知らずに三郎を先に仕上げていたら、こうはいかなかったであろう。

 

『三保の松原世界遺産に』 富士山に駿河湾。あと足りないのは三保の松原だ、といっていたのだが。

過去の雑記

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