明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


外側にレンズを向けず、眉間にレンズを向ける念写が理想だ、などといっているが、外側の世界に対する興味が益々薄くなっている。旅行などめったにでかけない。かといって生まれ育った東京にしても、私にとっての東京は1964年の東京オリンピック以前の東京であり、以後、何が壊されようと出来ようと、まったく何も感じない。人間の味覚というものは、およそ7、8歳頃までの経験により決まるという。今度のオリンピック以後も私のような人間が続出することにならないだろうか。そもそも、ほとんど近所から出ないし、撮影に出掛けるのも、すべて背景撮影だが、できれば近場で済ませられればそれにこしたことはない。一度ツアーでニューヨークに行った時、中国人街やイタリア人街から一歩も出ないで死ぬ人がいる、と聞いた。バカなんじゃないか、とかつての私は思ったが、今や私がそんな状態である。絵を描いたり本を読んだりしていないと落ち着きがなく、多動症じみていた子供時代の私が知ったらさぞがっかりするだろう。しまいには刑務所に入れられても、粘土とちょっとした資料さえ差し入れてくれたら、たいしてクオリティーの違わない作品を持って出所してやるぜ、なんていっている始末である。 それはともかく、いい加減突然降ってくるイメージに、訳も判らないがままやらされて、などと常々ぼやいているが、その出所の解明に、そろそろ立ち向かう時期に来ているようである。私は何故私なのか。そんなことも、結局は創作行為により解明するより方法がない。
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『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家たち』 2018年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutube
2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube



『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載11回『猛虎図』連載

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