明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



古来より星の数ほど描かれて来た寒山拾得であるが、ほとんどが無邪気な笑顔で、不気味な笑いを浮かべているのは極僅かで、日本の絵師に影響を与えた顔輝作が元祖だろうか。岸田劉生の『麗子像』などにも影響を与えたといわれる。 急遽ラインナップに加えることになった一休禅師は、小学生の時、伝記を読み感心した”門松や、冥土の旅の一里塚、目出度くもあり目出度くもなし“が急に想い出されたからであったが、そう思うと寒山と拾得の謎の笑いも目出度くもあり目出度くもなし、といえるのではないか。それこそが禅的であるのかは知らないが、私が惹かれた理由であり、無邪気な笑顔の寒山拾得など面白くも可笑しくもない。 陶芸家を志していた頃、最も好きだった陶芸家、河井寛次郎の詩に“鳥が選んだ枝 枝が待っていた鳥”というのがあり、これも十代終わり頃の私をいたく感心させた。 レスラーの巨人アンドレ・ザ・ジャイアントは普通の人間より歯の数が多かったそうだが、顔輝はニッと笑う寒山と拾得の歯を異様に多く並べる、という演出をしている、顔輝のどんな手でも使うぜ、とほくそ笑む様が浮かぶようである。



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